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熟議のために

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日本の政治において、熟議を定着させ、物事が拙速かつ強権的に決まらない社会にしく方策を考えていきたいです。
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マルチレベルの熟議

マルチレベルの熟議

 熟議を巡る様々な議論の中には、「マルチレベルの熟議」というテーマがある。公共圏とは、その参加において、ある種の普遍性が求められる存在なので、排除されないという意味での「唯一性」という性格を有することになる。というのも、境界線によって複数に隔てられた「圏」ということになれば、それは参加に制約がある複数の公共圏の分立になってしまうから。
 他方、熟議というものが、「公共圏」のみでしか背率しえないとい

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政党組織法制についての、いくつかのアプローチ

政党組織法制についての、いくつかのアプローチ

 組織の在り方を強行規定(それを守らないと法的に無効となったり、ペナルティーを科される規定)で定めることは、憲法上の「結社の自由」からして、例外であり、何らかの必要性、目的(いわゆる立法事実)が必要となる。
 強行的な組織規範立法として政党(組織)法を規定する場合、会社法や一般法人法のような汎用的な組織規範立法はあまり参考にならないのではなかろうか。
な ぜならば、両法の第1条の目的規定からすろと

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自分ごと化会議における無作為抽出の市民委員の意識変容

自分ごと化会議における無作為抽出の市民委員の意識変容

公共的な地域課題について議論するべく、市民を無作為で選んで参加してもらう「自分ごと化会議」。

会議に参加してくださった市民委員からは、様々なコメントをいただくことができます。そのコメントの中には、委員自身の考え方が変わり、地域課題が「自分ごと化」「身近な課題化」する様子がよくわかるものも多数あります。

 

 共通した意識変容としては、

 ・日常的に接する可能性の低い生活圏に分散していたはす

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実は、非当事者も子育てのことを熱心に考えているのです

実は、非当事者も子育てのことを熱心に考えているのです

 ある自治体の自分ごと化会議において、子育て支援、こども支援を市民参加の元、地域福祉とて実施していくことの課題について議論しています。

 その中で、子育当事者でもなく、子育て経験者でも、無作為抽出で選ばれた市民委員が、こんなに熱心に子育てについての議論に参加しているということに、ともて驚いた、という趣旨の感想を話してくれました。

 子育て、子育て世代というのは、当事者同士で固まって、これほど「

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「ガバナンスコード」の政党システムへの応用可能性

「ガバナンスコード」の政党システムへの応用可能性

証券取引所の定める「ガバナンスコード」を、政党あるいは政党システムに応用することで、コンプライアンスの強化策を講じることができるのかについて、少し考えてみました。

大前提として、自民党は、ガバナンスコードを策定、公表していますが、当該コードを自民党自身が守っていないという評価をされているようです。
https://storage2.jimin.jp/pdf/news/information/20

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第2勢力の力量を見てみたい。

第2勢力の力量を見てみたい。

 2024年10月の総選挙の結果、現与党の過半数割れとなった。この結果を受け、「躍進」した国民民主党が政策決定のキャスティングボードを握ったと、マスコミは喧しい。
 しかし、議席数で言えば、国民民主党は第3党ですらなく、第4党である。加えて、その議席数は第1党、第2党に対して、100議席以上の差があるのであり、議決において決定的な力を持てるというのは、冷静に考えるとおかしい気がする。
 現在のイス

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与党過半数割れの状況での国会審議の新しい姿の検討が必要では。

与党過半数割れの状況での国会審議の新しい姿の検討が必要では。

 2024年10月の総選挙において、自公の与党は衆議院議席の過半数を失いました。この選挙で議席を伸ばした国民民主党の玉木さんは、この与党過半数割れの状況を受けて、「どの党も過半数を取らない状況になれば、各党のさまざまな意見を聞いて物事を決めていく新しい政策決定のルールが必要だ」と述べています。
 いわば、国会審議ルールの改変の時という話をされていますね。

 国会では、本会議質疑は言うまでもなく、

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政治参加意欲の相移転を目指して

政治参加意欲の相移転を目指して

政治が実施する政策を、何とかして、リバタリアン的性質の強い状態から、地に足のついたリベラルや地球規模の環境制約をも意識したコミュニタリアイズムにもっていく行くことを目指している。
代表制民主議をある程度認めても、行政執行をコントロール・統制する必要がある。くじ引き民主主義の場合でも、それは同じ。

となれば、行政執行をコントロールする組織体の基盤が、広く厚いものでなかればならない。そのために、市民

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労働者協同組合とDAO

労働者協同組合とDAO

 労働者協同組合は、DAOと親和性が高いのではないかと漠然と考えていた。
 しかし、経営と労働従事を極力近づける仕組みであるから、関係性の広がりを志向するDAOとは、実はあまり相性が良くないのかもと思い直した。

労働者協同組合とDAOが「噛み合う」のは、

・意思決定サイクルがものすごく短い場合で、少人数でも対面の合意形成が難しい場合

・事業、業務の内容がスマートコントラクトによる自動実行の面

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「生政治」に対抗する「くじ引き」

「生政治」に対抗する「くじ引き」

 「生政治」、つまり、死なせないためにコントロールする政治は、人気投票による選挙制議会が生み出している。多数派の「鋳型」に閉じ込めて、死なせないようにする。同時に、このメカニズムに、人気投票で選ばれた当人たちも絡めとられていく。
 
 また、専門知=試験にる選抜機構も、この「絡み」を打破する方向に、結局は作用しなかった。むしろ、メリトクラティックな選抜によって、部分社会は同質化し、強化されていった

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「半代表制」を具体化する政党組織

「半代表制」を具体化する政党組織

 昨今の政治資金の問題に端を発し、政治組織の資金統制というものがどうあるべきかが気になっています。
 そこで、自民党の党則と立憲民主党の党規約で、それぞれの機関がどうなっているのか確認しました。

 両党とも、いわゆる包括政党として組織を形成していると思いますが、この両党では、党員総会ー役員会という院外活動=党務を担う系列と、両院議員総会ー総務会/常任幹事会という院内活動=国会活動を担う系列という

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