信じて待つ
住宅街の中にある
小さな私設図書室。
さつまいものポタージュと
手作りパンのセットが
私のお気に入り。
ポタージュは
さつまいものやわらかな甘みと
奥の方でふんわり香るミルクが
たまらない。
ふわっともちっとした食感に
ほのかな塩味がアクセントの
手作りパンによく合っている。
今日一日を
ゆっくり振り返りたいとき
私はよくここにお邪魔している。
「いらっしゃい」
「どうぞどうぞ」
「またおいでね」
オーナーご夫婦の
あたたかい雰囲気が大好きなのだ。
昨日の夕方も
まったり一日を振り返りたくて
お店にお邪魔させてもらった。
泣きつかれた私には
ピッタリの居場所だからだ。
何かをコントロールしようとしたり
何かを装飾しようとしたりしなくていい。
手つかずの自然が美しいように
今目の前の人のそのままが美しい。
手つかずの自然に生命力が溢れるように
今目の前の人の中にも生きる力は溢れている。
人が自分で受け取り感じて
人が自分で自分を育てる力を
信じて待ってあげましょう。
絵本講師の方は
そう絵本の読み聞かせについて
語ってくださった。
読み聞かせをするあなた自身も
自然のままでいい。
こうせねばならない
ああせねばならない
そう思わなくていいんです。
そんなことをしなくても
絵本はちゃんと
人の心に届くように
作られているし
聴く人もちゃんと
何かを感じているのだから
とにかく
信じて待ってください。
そんな絵本講師の方の言葉が
私の心の中にこだまする。
信じて待つ。
究極の愛だと感じた。
私が涙したのは
絵本講師の方が
最後に読み聞かせしてくださった
とある絵本。
苦しかった過去を思い出し
不器用だった私を思い出す。
ああ、あのときの私は
本当は誰かに
待っててほしかったんだな。
不器用だから時間がかかるけど
ゆっくりゆっくりやってみたい。
そんな私の本音を
叶えたかったんだな。
そう気がついたとき
過去の私をお迎えできた気がして
嬉しくなって
涙が止まらなかった。
信じて待つ。
私にもできるかな。
信じて待つ。
私もやってみたい。
ポタージュと手作りパンのおかげで
エネルギーチャージ満タンの私は
次の夢を描いていた。