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個性とつながる星月夜

ゴッホは心の病で
療養しているとき
この星月夜を描いたんです。

ゴッホは
どんな気持ちで
夜を過ごしたんでしょうね。

先生はそう言って
キャンバスに絵具をのせていく。




雪が深々とつもる
日曜日の夜。

まちのブックカフェで
アクリル絵具を使った
ゴッホの絵の模写体験があった。

私を入れた4人と
絵を教えてくれる先生と
ブックカフェのご夫婦で
星月夜を描いた。



刺繡みたいですね。
ゴッホの絵は。

そうなんです。
ゴッホは絵具を細かく
のせるように描くんです。
刺繍みたいですよね。



このうねる雲は
風が吹いているのかな。
それとも
心の病で世界が
ゆがんでみえるのかな。

ゴッホの心の状態を
表しているかもしれませんね。
不思議な世界ですよね。



感性豊かな皆さんと先生の
会話にときどき参加しながら
私も絵具をのせていく。




じっと観察していると
見慣れたはずの星月夜から
いろんな色が見えてくる。

煌々とした月と星は
希望の光だったのかな。
渦巻く雲と柳は
理想と現実の葛藤なのかな。



少しずつ少しずつ
色を重ねていると
夜の夢を見ているような
感覚になる。

ゴッホもこうやって
孤独や悲しみを
絵具で埋めていたのだろうか。




できあがった星月夜たちを
テーブルに並べる。

同じお手本で
同じ画材で
描いたはずなのに
みんな全然違って見える。



ハリーポッターのような
魔法がかかったような星月夜。

目玉焼きやクロワッサンのような
美味しそうな星月夜。

プルンとした可愛い雲が
印象的な星月夜。

力強い和風テイストな柳が
特徴の星月夜。



どれも個性的で
どれもいい。

思わずみんなで
見入ってしまった。



お互いの個性を
素敵だねって認め合う
穏やかな雪の夜。



アートを通じて
誰かの心に触れる時間が
とても愛おしい。



これから先も
星月夜を見るたびに
この夜の思い出に浸れるのだと思うと
大切な宝物を手に入れたような
あたたかな気持ちになった。