W. Hirasawa

3Dプリンターや自作スピーカーのことを考えながら、A Tribe Called QuestやChance The Rapperを聞いたり、人文科学系の本を読んだりしています。うつサバイバー、日系企業で部門長、二児の父、博士(薬学)。ENTJ。

W. Hirasawa

3Dプリンターや自作スピーカーのことを考えながら、A Tribe Called QuestやChance The Rapperを聞いたり、人文科学系の本を読んだりしています。うつサバイバー、日系企業で部門長、二児の父、博士(薬学)。ENTJ。

最近の記事

【読書】2024年10月に読んだ本

映画『ラストマイル』を見てきました。満島ひかりが見せる外資系女子にありがちな一挙手一投足にまんまとイライラしました。また、外資系企業にもれなく整備されている「わが信条(Our credo)」が社員の不作為を社員同士で論難するための根拠となり、また言い訳を反駁するための正当化にしか使われていない様子に、既視感と諦めしか感じませんでした。映画が何かを嫌がる一般市民の様子を描き、そして視聴者もまた同じように嫌がることができたので、とても良い映画だったと思いました。 10月は以下の

    • 【読書】2024年9月に読んだ本

      飲まない日はないと言えるくらい酒が大好きな私ですが、プチ禁酒することにしました。特に理由はありません。理由なく習慣を変更してみようと思っただけです。毎週火曜日と木曜日は禁酒デーです。夕食後は、雨が降っていなければ時速約7kmでウォーキングを30分します。 酒という刺激物の代わりとして、台湾茶や烏龍茶を調べて茶葉を買い、かわいらしい急須と茶器も買い、お茶を飲むようにしました。戴雲山東方美人や安渓鉄観音などです。 9月は以下の本を読んでいました。(写真はSenya Mitin氏

      • 【読書】2024年8月に読んだ本

        昨年の今ごろ見ていたテレビドラマを覚えていますか? みなさん「VIVANT」を見ていたはずなんですよ。私は昨年9月にVIVANTを題材に「なぜ人は伏線をありがたがるのか」という記事を書きましたが、無茶苦茶な論旨で、伏線というものについてもう少しインプットし、適切に訓練してから書くべきでした。 8月は以下の本を読んでいました。 飯城勇三『本格ミステリの構造解析――奇想と叙述と推理の迷宮』(南雲堂) 目次を見たところ第十六章に「伏線を回収する推理━━西澤保彦と舟木章子を例に」

        • 【読書】2024年7月度に読んだ本(後編)

          周囲で三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)を読むのが流行っているようなのですが、私の固有スキル「読んでいない本について堂々と語る」を発現するかどうか迷っています。 前編に続き2024年7月度の読んでいた本を紹介します。 青井博幸『ビールの教科書』(講談社学術文庫) 2003年に刊行された本の文庫版。説明すべき点は多くないのですが、教科書と謳うだけあって知識の伝授だけでなくオルグを欠かしません。「日本の一般的なビール好きは、ビールに対してあまりにも

        マガジン

        • 月次読書感想文
          19本
        • 正十二面体スピーカー製作記
          12本
        • 5次楕円関数フイルタ2wayバスレフ製作記
          3本

        記事

          【読書】2024年7月に読んだ本(前編)

          巨大地震注意や台風に対する心配を最大限重く捉えた結果、8月連休に予定していた泊まり旅行を2件キャンセルしました。物足りない夏休みになりました。 7月に読んでいた本を前後編2回に分けて紹介します。 野田智義、金井壽宏『リーダーシップの旅 ─見えないものを見る』(光文社新書) 会社の研修の課題図書。レポート提出を求められたので6,500字の読書感想文を提出しました。 著者らは自らのスタンスを「リーダーシップの身のつけ方について、あれこれ読者の皆さんに話すつもりもなければ、そ

          【読書】2024年7月に読んだ本(前編)

          正十二面体スピーカーを3Dプリンターで作る(9)

          配線と音出しは7月上旬には終わっていました。完成直後はひどい音しか出ないものなので、慣らし運転しながら、また塗装をどうするか思案しながら3週間ほど冷静に眺めていました。 床から約1.7mの高さにダイニングテーブルを挟むように2個吊って設置してあります。重さは3.3kgのため耐荷重10kgのフックを使用しています。 内部配線およびパワーアンプとの接続は24AWGの細いケーブルを使用しました。前述のとおり12個のドライバを3直列・4並列で繋ぎ、約12kHzを約-20dB抑制する

          正十二面体スピーカーを3Dプリンターで作る(9)

          【読書】2024年5,6月に読んだ本

          飛行機の前ポケットに読みかけの本を忘れてしまいました。なんということ。良いご本だったのに。買い直すことを検討しています。写真は、その本を忘れたオヘア空港。 村山修一『本地垂迹』(ちくま学芸文庫) 半分しか読めていません。だって飛行機の前ポケットに忘れてしまったから。具体的なページ数と内容をお示しして敷衍できないのが残念です。 わが国の歴史を一般教養として学べる箇所が数多くあり、教科書として読めて、とても勉強になります。日本における土着信仰(神さま)と外来宗教(仏さま)が

          【読書】2024年5,6月に読んだ本

          ワシントンDCでの見聞(食事)

          2024年5月下旬に美国の华盛顿DCを訪問しました。消化器系の学会DDW 2024(Digestive Disease Week)に参加するためです。仕事のことはさておき、ワシントンDCでの食事のことを書き残しておこうと思います。 各国大使館が多いエリアであるDupont Circle近辺で5泊過ごしました。夕食の内訳を数えると、ステーキハウス2回、ギリシャ料理2回、アメリカ海鮮料理1回でした。半年前に行ったバルセロナでもそうでしたが、海外で外食するとき偏食にならないように

          ワシントンDCでの見聞(食事)

          正十二面体スピーカーを3Dプリンターで作る(8)

          数か月前に、仕事でも3Dプリンターを使い始めた云々と申し上げたところですが、共同研究先の先生がもの凄い勢いで進めてくださっているので、私はほとんど触らなくなってしまいました。また、趣味で取り掛かっている正十二面体スピーカーにおいても(試作は自分でやったけど)結局外注で製作しましたから、私は結局公私ともに3Dプリンターを使っているわけではなくなりましたね。スピーカー以外の用途を考え始めようと思います。 上の写真はRebecca Hansenによるもの。 さて、ドライバTect

          正十二面体スピーカーを3Dプリンターで作る(8)

          【読書】2024年4月に読んだ本

          今年も新卒新入社員が入ってきました。上司は部下に育てられるものですので、今年も精一杯(私自身を)育てていただきます。毎年ありがとうございます。 ヘイシャは社史の編纂を検討することになったため、歴史の語り方に関する本が読みたくなり、4月は以下の2冊を読んでいました。 恒木健太郎、左近幸村 編『歴史学の縁取り方 ─フレームワークの史学史』(東京大学出版会) 第7章「読者に届かない歴史」で著者(小野塚知二)は「読者の史観を無視・軽視する歴史研究者は、おのれの史観についても無頓着

          【読書】2024年4月に読んだ本

          正十二面体スピーカーを3Dプリンターで作る(7)

          正十二面体を構成する12枚の正五角形プレートの試作と修正を何度かおこない、以下のような形でいったん最終版にしました。 我が家では雰囲気温度の管理が難しくヒートベッド直上で激しく反ってしまうため、PLAですらまともな精度が出ません。残念です。秋冬シーズンはおとなしく外注しましょう。まずは、正五角形プレート裏側の充填部の具合を確認するために複数枚を自宅で印刷しました。 プレート1枚は64gです。正五角形プレート裏側をポリプロピレンビーズ21gとエポキシ樹脂28gで充填しました

          正十二面体スピーカーを3Dプリンターで作る(7)

          2000年代バイオバブルの源流にあったものとは

          私は2002年に四年制大学を卒業しました。専攻は理学部生物科です。世は空前のバイオバブルを迎えていました。ヒトゲノム計画によるDNA配列のドラフト論文がnatureおよびScience両紙で公表されたのが2001年2月で、多くの学生が世界の潮流を信じてバイオ系の大学院に進学します。私も例に漏れず進学しました。 数年後、バイオ系のポストを巡る熾烈な競争に巻き込まれます。優秀な方でも学位を取ってもポストがない。ポスドクのポストすら少ない。修卒で就職する場合でもバイオの専門性を活

          2000年代バイオバブルの源流にあったものとは

          【読書】2024年2月に読んだ本

          NASを置いてネットワーク経由で音楽を聞くようになったため、約600枚あったCDをすべて売りました。ああすっきり。25年前に購入したものもありましたが、購入総額の約3%で引き取ってもらえてよかったです。これでJLCPCBの外注費用をまかなえそう。 今月は以下の本を読んでいました。 文學界(2024年2月号) 「酒井泰斗+吉川浩満 読むためのトゥルーイズム ――非哲学者による非哲学者のための〈哲学入門〉読書会」を読みたくて購入。p206~209のあたりのやりとりは(非)哲学

          【読書】2024年2月に読んだ本

          正十二面体スピーカーを3Dプリンターで作る (6)

          一辺約80mmのウェーブガイド付き正十二面体用プレートを試作しました。さっそく2インチフルレンジドライバTectonic TEBM35C10-4 BMRを取り付け、振幅f特と軸外特性(水平方向)を確認してみます。 箱は約22L密閉箱。対照は直接取り付けたもの(surface mount)です。マイクはドライバ軸上1m、床上約90cm。出力は1Wもなく、ホワイトノイズ2.0V相当の音量で評価しています。700Hz程度まで観察したかったためゲートを長めにとっており、床からの反射

          正十二面体スピーカーを3Dプリンターで作る (6)

          正十二面体スピーカーを3Dプリンターで作る (5)

          YouTubeやRedditで情報収集していると、3Dプリンターでスピーカー筐体を作るのはもはや何も珍しくないことが分かります。PLAで18mm厚の箱を試作したとき、インフィル99%であっても筐体が盛大に響き、防音制震に工夫が必要だと気づきました。箱鳴り対策をみなさんどうされているのでしょうか。 そんななか以下の動画から示唆をいただきました。 小型ミッドバス2発の3way TQWTという凶行に及んでいます。 箱鳴り対策はどうしているかというと; まあそうするしかないよね

          正十二面体スピーカーを3Dプリンターで作る (5)

          【読書】2023年11-12月に読んだ本

          子らの成長に伴い、なんとなく本棚部屋として曖昧に運用していた部屋などを整理し、子供部屋を2部屋作りました。本棚スペースは削減。いよいよ電子書籍を考えねばなりません。新書や文庫は電子書籍のほうがいいかもしれませんね。結構な頻度でポイントセールやってますし。 昨年末に読んでいた3冊を紹介します。 松沢裕作『生きづらい明治社会 ─不安と競争の時代─』(岩波ジュニア新書) p69-71には、今日の日本における苦労の源流のひとつが示されています。金を持たない信用度の低い明治政府は高

          【読書】2023年11-12月に読んだ本