正十二面体スピーカーを3Dプリンターで作る(9)
配線と音出しは7月上旬には終わっていました。完成直後はひどい音しか出ないものなので、慣らし運転しながら、また塗装をどうするか思案しながら3週間ほど冷静に眺めていました。
床から約1.7mの高さにダイニングテーブルを挟むように2個吊って設置してあります。重さは3.3kgのため耐荷重10kgのフックを使用しています。
内部配線およびパワーアンプとの接続は24AWGの細いケーブルを使用しました。前述のとおり12個のドライバを3直列・4並列で繋ぎ、約12kHzを約-20dB抑制するノッチフィルターを仕込んであります。
そしてエポキシ樹脂で上下パーツを封緘。
3週間経って多少はまともになりましたが、能率が低すぎて蚊の鳴くような音量しか出ません。そもそもこの形状ではバッフルで音量増大しないので、どうしても音量は小さく感じられるはずです。
200Hzくらいのサイン波を3V入力してみるとダイアフラムはブリブリと揺れますが、筐体はまったく振動しません。貧相な3Dプリンティング樹脂をエポキシとPPで補強したのが奏功しているようでした。
試しに既設スピーカーも並列で繋いで4本(2本+2球?)同時に鳴らして真ん中で聞いてみると、わずかに音場が広がるような感じが出るものの、素性が異なる2種のスピーカーが影響しあって、人の話し声や中音域が不明瞭になってしまいました。サラウンド用にするには相性悪そうですね。
そして測定。
水平方向で最もマイクを近づけやすそうなドライバを選び、Swept Sineで3V出るような音量で軸上1m farfieldとnearfieldを測定し、VituixCADで600Hzでmergeしました。結果はこちら。
2インチフルレンジを容積7Lの正十二面体に押し込んだものですから、やはり低音域はそうとう控え目です。あと12kHzノッチはやりすぎましたね。Directivityの評価の前に少し手直ししておきたいです。
音質は・・・なんだかあまり聞きなれない鳴り方なのでよく分かりません。ファーン(Ⓒマッシュル、甲本一)と鳴ります。この球体から音が出ているとは気づきません。不思議な感覚です。
さてさて、今後はスピノラマなどの指向性を評価するわけですが、さすがにこの領分は自作測定の限界を感じないわけではありません。ちゃんとJISやISOの測定環境を揃えている機関に持ち込んで、正当な評価をしてみたいものです。なんでもかんでも自前主義というのも、イビツというものでありましょう。
どこかで測定できないか探索してみます。
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