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原草稿『形而上学 この私が今ここにあること』 この<私>とその影 あるいは<私/X>
※以下は、拙稿『形而上学 この私が今ここにあること』原草稿 第2章 のⅠである。いずれ格段にかみ砕いてリライトされる。
Ⅰ この<私>と<X>の出会い
『序論』では、この<私>の唯一かつ同一の記述として、先の想定とともに、以下の想定が提示されていた。以下に再び転載する。
「<X>は、一枚の紙に線を引いている。その線は、曲線を含む図形であったり、(絵)文字であったりもする。<X>は線を引きながら、しばし目を閉じて、しかし線を引く手を休めることなく、その線を思い浮かべる。そしてしばらくして眼を開き、線を引く。その後、<X>は手を休め、やや離れた部屋の中のテーブルまで視線を移す。<X>はまた眼を閉じ、世界の果ての彼方の、無限遠点 (point at infinity) を思い浮かべる。目を閉じたまま、<X>は、まだ幼かったあの遠い日の白い砂浜の情景を思い出す。」
『序論』では、この<X>について、「把握の仕組みの非存在という事態を表現する存在者」と記述されていた。もちろんこの<X>は、この<私>の唯一かつ同一の記述としての想定である。さらに、『序論』では以下のように記述されていた。
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