80歳からでも切ない「愛」は描ける「ポーランドの人」
<文学(25歩目)>
狂おしい愛にひたすらひたってみる。おどろきの美しさでした。
ポーランドの人
J.M.クッツェー (著), くぼた のぞみ (翻訳)
白水社
「25歩目」は「老い」と「愛」を考える作品。
72歳と49歳の「愛(love)」の感覚は、クッツェーさんでも80歳にならないと描けなかったのか?
あるいは、肉体の衰えが目立っていても、脳は素晴らしい「愛(love)」を描くテキストを生み出せるのか?
瑞々しい愛の感覚と、老齢における愛の感覚が融合された作品で、私にとっても未来に老いてから再読確実な作品です。
J.M.クッツェーさんはノーベル文学賞受賞者だから「特別」なのだろうと思いましたが、読めば読むほど現代人が多忙な中で不感症になってしまっていることを人生の中でたくさん吸収されているからだと思いました。
※不感症は「愛(love)」「芸術」「ビジネス」色々なもので範囲はとても広い。おそらく肉体が枯れても、好奇心旺盛なクッツェーさんの様な生き方が、長命がアタリマエの時代には必要なのかな?と感じました。
年齢差によりとまどうベアトリスの心に求愛がどう映るのか。男女の感情で起こりがちなことが丁寧に美しく描かれていて「いいね!」をつけたくなった。
クッツェーさんのファンでなくても、現代の高齢化社会に対して突き付けた可能性だと思います。
この物語はクッツェーさんの洗練された文体(でもくすりと笑える)で考える以外にも、場所を変えてテレビドラマにしても面白いかも。高齢化社会の今だからこそ面白いと思いました。そして最終章が光る。涙と笑いが止まらない作品に昇華しています。
「愛なんか」と言いたくなる人にこそ読んでもらいたい「愛(love)」の作品です。
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