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家族のおはなし

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大切な子どもたちのこと、夫のこと、親のこと。
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#ありがとう

卒業を迎える君たちへ

卒業を迎える君たちへ

車を運転しながら、何年かぶりに鼻血が出た。
期待と焦りと興奮と、4月のような陽気で少しのぼせたせいかもしれない。

近隣のケーキ屋さん巡りをして、3軒目も休みだった。
木曜は定休日が多い。
しかも、たまたま開いていたお店には、お目当ての商品が欠品していた。

「もういいか、ケーキはあきらめた!男子たちだから、パンにしよう!」

あと20分で娘を生活介護施設へ迎えに行く時間だったので、慌ててパン屋さ

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お姉ちゃんの結婚式に、みんなで行こうね

お姉ちゃんの結婚式に、みんなで行こうね

何日も前から天気予報ばかりを気にしていた。日曜日がどうか晴れますように、と願いながら。

4月23日、日曜日。
この日は長女の結婚式だった。

長女は結婚して約1年になる。
結婚式はしないかもしれないと言っていたが、昨年末に

「春になったら、家族だけのこぢんまりした挙式をしようと思ってる。ゆう(二女)も大丈夫なところだからね。」

と長女から連絡をもらった。
親に晴れ姿を見せようと考えてくれたの

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母がファンです

母がファンです

洗濯物を取り込もうと庭に出たら、向かいの家の奥さんが、フォーマルな装いで中学生の娘さんと帰ってきた。
卒業式だったんだな、と思った。

ふと、頭の中でいきものががりの「YELL」が流れる。

長女たちが中学校の卒業式で全員合唱した歌だ。この曲を聴くと、甘酸っぱいような、切ないような、そんな初恋に近い気持ちになる。

*****

今年の1月末、我が街にも久しぶりに雪が40センチくらい積もった。そん

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命が宿る庭木たち

命が宿る庭木たち

お隣と我が家との境には、大人の身長くらいの生垣がある。木がずいぶん成長して、剪定してもすぐに枝がお隣の敷地に乱入してしまうのがずっと気になっていた。

「道路側の生垣は生い茂っても迷惑にはならないけど、あのお隣に接している部分だけは伐採して、目隠しにフェンスでも作ろうか。」

夫と庭を眺めながら、夏ごろからそんな相談をしていた。

*****

我が家の庭木はすべて夫が一人で植えた。
約30年前に

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noteを始めて、一番よかったと思えたこと

noteを始めて、一番よかったと思えたこと

高専生の息子に勧められて始めたnoteも、一か月が経ちました。

先日、その息子がソファーに寝転がり、いつものようにスマホを見ていて。
通りすがりに、ふと彼を見ると、泣いていました。
私の書いた「娘の病気を告げられた日のこと 娘と私のプロフィール」の記事を、気楽な気持ちで読んでみたようです。

彼が親の前で最後に泣いたのは、はっきりと記憶にないくらいに、ずっと前のことで。
部活の試合で負けても、泣

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