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「主体的な学び」を実現する方法

おはようございます。“学びで人生を楽しく”と掲げて日々勉強を続けている小学校教員です。  


これまでの記事で、本当の意味で「主体的な学び」とはどういったものか改めて整理しました。そこでは、「主体的な学び」を語るとき、課題に依存した主体的学習の先に、「粘り強さ」や「自己調整」を視野に入れておく必要があると述べました。

「主体的な学び」とは?

その続きでは、「主体的な学び」を阻害している要因を分析しました。そこでは、教師の理解が不足していること、そもそも教師が主体的な学びを体験していないことが要因となっていると述べました。

「主体的な学び」の実現を阻害しているもの

今日の記事では、阻害要因を解決していくためのアクションプランを書いていきます。どれも私が実践して有効だと感じているものなので、少しでもお役に立てば幸いです。

「主体的な学び」を実現するアクションプラン

まず1つ目は、共通理解を図ることです。なにより「主体的な学び」に対する理解を確かにすることが最優先事項です。職員全体で「主体的な学び」とはどういうものなのか改めて共通認識をもつ場を設けましょう。

私の場合は、研究主任という立場であるため、職員全体で学び直す場を設ける機会があります。日々の授業検討会や協議会でも同様に、共有することができます。そうした立場である方は、みんなで学び直せるような場をつくることをおすすめします。

そのような立場でない方におすすめなのは、自分が率先して「主体的な学び」を意識した授業を公開し、見にきてもらうことです。どうでしょうか、ハードルが高いと感じたでしょうか。

若手の方であっても、年次研修や管理職の観察授業、校内研究など授業を公開するチャンスはたくさんあります。その機会を活用して、自分なりの「主体的な学び」を意識した授業をやってみてください。若手には新しい風を吹かせる力があります。

そうして授業観の転換を自分発信で広げていけると、少しずつ学校全体の「主体的な学び」に対する意識が変わっていきます。若手・中堅・ベテランどの層でも、この役割を果たせる人は求められると思います。

2つ目は、中長期的な人生の目標を設定することです。私たち教師の多くは学校で「主体的な学び」を体験していません。教師自身が「主体的な学び手」となって(Ⅰ)課題依存型の主体的学習(Ⅱ)自己調整型の主体的学習(Ⅲ)人生型の主体的学習を体験する必要があります。

溝上慎一『「主体的・対話的で学び」の指すものは深い。「個別最適・協働的な学び」の前に指導要領の徹底を!』より引用

そのために最初の一歩としておすすめしたいのが、中長期的な人生の目標の設定です。どんな自分になりたいのか、何を成し遂げたいのか、どんなキャリアを形成していきたいのか、一つ一つ言語化するのです。

そうした目標が明確になって初めて、自分の中で「主体的な学び」が駆動します。目指す方向に向かって、自分事として学べるようになります。

さらに、そこから自分の研究課題を決めておくと、より「主体的な学び」が持続するようになります。たとえば私は「学びで人生を楽しく」という指針を立てており、今は子どもが主体的に学ぶための課題設定・環境設定を研究課題にしています。

それにより、日々の授業をデザインし、やってみて振り返るという習慣ができています。ぜひ、中長期的な人生の目標を設定し、自分の研究課題を決めてみてください。

③最後に3つ目は、授業の中に「子どもに任せる時間」をつくることです。「主体的な学び」を実現する上で、教師が学びの主導権を握り続けるのをやめることが重要です。

子どもの実態や発達段階、1年間の時期に応じて、子どもに学びの主導権を受け渡します。具体的には、子どもが自己選択・自己決定できる機会をつくることです。

自己選択・自己決定の機会があるだけで子どもの姿は大きく変わります。自分なりのやり方で学ぶようになります。むしろ、そこで現れるのが本来の学びの姿だと思います。

ただし、すべてを子どもに丸投げして放任するのでは、うまくいきません。目指すべき方向性や学びの姿を子どもと共有すること。学習過程を可視化し、学び方と考え方を明示することで、自分の力で学習を展開できるようにすること。

さらには、教師や多様な友達と自らの意思でかかわることのできる環境を設定し、孤独な学びに陥らないようにします。

教師は教室中を動き回り、子どもたちの学びを観て、促して、支えて、つなげていきます。声かけやノートチェックによって個別フィードバックも徹底して行います。

こうした教師の入念な学習環境の準備や徹底した働きかけがあってこそ「主体的な学び」は成立し得ると考えています。子どもに任せるのは楽ではないのです。

ただ子どもに任せれば「主体的な学び」になるといった解像度の低い考えでは失敗して従来型に逆戻りするだけです。教師が覚悟を決める必要があります。

全3回の長文を読んでくださったか方、ありがとうございます。これからも、ともに「主体的な学び」を研究していけたら嬉しいです。

いま現在、教員や教員志望の方を対象にした学び場『ATTiTUDE』の企画を練っているころです。共に学んで共に成長できる機会にしたいです。


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