マガジンのカバー画像

26
運営しているクリエイター

記事一覧

剣 あとがき

剣 あとがき

はい、終わりました!
自分の第2期を飾る時代劇、第1弾!

この物語は老人クレーマー問題が始まりでした。
自分、普段は接客業をやっておりましてぇー
いつかこのテーマはやらねばならん!と思っていました。

しかし、ただ不平不満をぶつけ書き殴るだけでは、こちらも何も変わらない。ではどうするべきなのか?
そう考える中で、体力が落ちても判断力が落ちてもプライドは衰えないというポストを偶然見ました。

これ

もっとみる
剣 25(完)

剣 25(完)

今は生きる時なのだ。
人を殺すに躍起とならず我が身を守る為に剣を取る。

生き残った者が正しい。それは戦国から変わらぬ事だが、人を殺す事を主に置いた考え。
世の中には悪者もいる。災いが襲ってくる事もある。
そこにこちらから斬り込むのではない。

向かってくる災いを退け、生きる為に守るのだ。
自ら振るわず退けた剣こそが、今の剣となる。

それが人の願いであり、世の目指す先となる。

ーーーーーーーー

もっとみる
剣 24

剣 24

さてもさてさて

本日は種明かしの時。何故、この場に町奉行の捕り方は現れたのか?大沢美好は何をしたのか?

つまりは人の思考が柔軟さを取り戻した時、発想はどう変わったのか?それを伝えるのが、この物語なのですから。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「医者は!医者はどうなりましたか?」

落ち着きを取り戻した大沢美好が町奉行所の者に尋ねる。皆川良源の事を言っているのだろう。

もっとみる
剣 23

剣 23

さてもさてさて

先伸ばす時は過ぎました。戦う、対峙するという事を甘く考えてはいけません。その手に得物を掴んだのであれば、それは傷付ける意思の証。僅かな後に倒れている者がおり、それを見下ろす者がいるという事。

想像しなければなりません。剣を抜くとは何者をも殺さずに済む行動ではないと。一度抜いた剣はただ戻る事を拒むのです。

脅しや愉快では扱ってはならない。それが本当の剣の意味なのです。

ーーー

もっとみる
剣 22

剣 22

さてもさてさて

我も忘れて柄頭を玉千鳥の顎に食らわせた大沢美好。
その目には煌めくものがあります。本当に怖かったのでありましょう。

そのまま背にした戸をゴロゴロと立ったまま転がり、荒い息をしたまま間合いを広げています。

心なしか身体が震えている様に見えます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

玉千鳥の男は早急に仕留める事しか狙っていなかった。
だから美好が暴れたとしても、

もっとみる
剣 21

剣 21

さてもさてさて

とりあえず決着の刻を先延ばしにしている大沢美好。
しかし、、一体どうするつもりなのか?
どの道、一か八かの勝負ですから今が攻め時な気がします。必殺の剣がネタバレしているハンデはあれど、この玉千鳥相手に繰り出した訳ではありません。

秘剣中の秘剣、、果たしてその真価の程は。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あー面倒臭ぇや。」

余裕の笑みを見せていた大沢美好

もっとみる
剣 20

剣 20

さてもさてさて

精神的に相手を追い詰め始めた大沢美好。
とはいうものの、側から見れば時間稼ぎの悪あがきにも思えます。実力というより場数は圧倒的に相手に利がある。

ここからどうしよう、、なんて思ってなければ良いのですが、、、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

畳み掛ける様に美好は続ける。

「ひとつ聞きたい。何故、俺を仲間に誘ったのだ?」

「死ぬ野郎には関係あるめぇよ!」

もっとみる
剣 19

剣 19

さてもさてさて

悟りを開いた大沢美好。とは言うものの、意固地に張っていた無駄な意地を捨てただけなのですが、、、

いよいよ玉千鳥との対決の時は迫っております。
その行く末は如何に。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

身体を冷やしてくれていた夜風に熱が通った気がする。
美好はその感覚を信じて、団子屋の閉められた戸に背をピタリと貼り付けた。

熱は通りの向い側からと思えた。仮にこ

もっとみる
剣 18

剣 18

さてもさてさて

その夜を迎えております大沢美好は、居酒屋にて酒を飲んでおります。これから命のやり取りに向かう身としては、末期の酒といったところでしょうか。

それでも酒は一本きり、大根と卵を食べると店を後にしていきます。まだ亥の刻には多少の間がありますが、辺りの店はとうに閉まり、人通りも疎らとなってきております。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(夜風が気持ちいい。)

もっとみる
剣 17

剣 17

さてもさてさて

皆川良源の診察所で玉千鳥について尋ねる大沢美好であります。しかし何故、急にここを訪れたのでしょう。
朴訥に見える美好ですが、果たして本当にそれだけでありましょうか。まあ、あまり期待は出来ないでしょうが。

対する皆川良源は何やら目を細めている様子。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「実は私、玉千鳥に狙われております。」

美好は真っ直ぐに言う。

「玉千鳥に

もっとみる
剣 16

剣 16

さてもさてさて

ここだけの話、大沢美好は実は泣きそうだったのです。
虚勢を張り肩を怒らせた以上、引くに引けない。
ただそれだけを困っていたのです。

辻斬りの真似事さえ実は真似事に過ぎず。もしあの場に玉千鳥が現れなくとも、美好には人は斬れなかった事でしょう。酔って正気の無い者に唾を吐き掛けるのが関の山だったのです。

(実際の戦さ場は、怖かったんだなあ。)

美好があの夜に心底思った事でありまし

もっとみる
剣 15

剣 15

さてもさてさて

玉千鳥からのお誘いを受けた大沢美好であります。
一度戻り、暮六つ(大体18時)前にまた現れて、亥の刻(大体22時)を待とうかと考えます。

しかし、戻る?

屋敷に戻った所で落ち着きはしない美好の足は、意図せずつい先程後にした神代兵馬の道場へと向かっておりました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

道場では数人の門弟が木刀を振っている様子だった。
それを師•神

もっとみる
剣 14

剣 14

さてもさてさて

いつ玉千鳥と呼ばれる殺し屋が、自分の前に現れるのか?それを考え何としても斬ってみせると、どれ程残されたか分からぬ時を過ごす大沢美好。絵空事が現実になった今、自ずとその足が地に着いてきております。

しかし、そんな充実とも言える日々がずっと続く訳はありませんでした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

美好がその大店の通りを抜けようとした時、耳元に声が届いた。

もっとみる
剣 13

剣 13

さてもさてさて

幾日かの時が過ぎております。大沢美好の元に怪し気な輩が現れる事は、まだ有りませんでした。
美好はこれを好機と捉え、連日、神代道場へと来ております。そこで延々と木刀を振り、帰れば真剣を振っておりました。その目は何者かの姿を見据えているかの様であります。

そして本日は、師である神代兵馬が直々に相手をしようと申し出てくれた様子。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

もっとみる