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読書歴

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「成長」「やりがい」「共同体」が苦手な人だけに通じる本:『生殖記』#読書

「成長」「やりがい」「共同体」が苦手な人だけに通じる本:『生殖記』#読書

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■概要
共同体から距離を置くマイノリティの主人公について、その主人公の生物的な機能が語り手となり、主人公の思考について解説していく形。
小説というより、著者の意見が強く押し出されたビジネス書のような感覚。

■気になったところ、共感したところ

人間は常にやることを探している

開始数ページでいきなりぶっささる文章。
要はやりがい・生きがいを求める

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エンタメ大国の裏にある悲しみ|「隣の国の人々と出会う」#読書

エンタメ大国の裏にある悲しみ|「隣の国の人々と出会う」#読書

個人的に韓国語をかじっているので、韓国語と日本語の共通点などが書いてあると期待して購入。
実際、韓国語・日本語の対比やハングルの歴史などについてつづられている。
ただ、この本を読んだ後に一番感じられたのは悲しみだった。
というのも、韓国の文学、言葉の歴史をたどっていくとたくさんの犠牲を生んだ戦争、事件につながるからだ。

例えば、日本の支配下で朝鮮語の授業が廃止されたり、朝鮮が南北に分断された流れ

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失敗後に早く回復するためには、「いい人」であれ:『回復力』#読書

失敗後に早く回復するためには、「いい人」であれ:『回復力』#読書

失敗すると、特に周りの目がある中では精神的に落ち込むこともある。
そんな失敗後のメンタルや、失敗した時のための備えについて書かれた本。
著者は工学が専門の元教授だが、この本では理屈よりも心構えの方が主題。

◇3行まとめ
・人は失敗するとショックやダメージを受け、エネルギーを失い、その回復に時間がかかる。
・失敗する前にできることとしては、助けが得られるように普段から周囲に対してギブの精神を持つ、

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ネガティブな思考回路に気づくことから始める:『ややこしい自分とうまく付き合う方法』#読書

ネガティブな思考回路に気づくことから始める:『ややこしい自分とうまく付き合う方法』#読書

◆概要
精神科医が、ネガティブな思考に陥りやすい人=ややこしい人へ考え方、対処法を示した本。

◆ポイント
・「ややこしい」人にはいくつかの捉え方のパターンがある
(白黒志向、べき思考など)
自分の思考パターンを意識することが、その思考から離れる第一歩。

・ネガティブな思考に陥ったら、他の捉え方で考えてみる。
①もっとひどい状況②過去にうまくいったこと③原因が自分以外である可能性④今後のステップ

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『人生は20代で決まる』を読み、20代が過ぎた結果 #読書

『人生は20代で決まる』を読み、20代が過ぎた結果 #読書

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かなりの煽りタイトルだが、プレゼンプラットフォームTEDの”Why 30 is not the new 20”(30代は昔の20代ではない)で知られるアメリカの心理学者による本。

20代前半で結婚・出産が当たり前だった親世代と比べ、女性の社会進出が進み、20代で結婚する人は親の時代の半分に減り、20代は自由な時間を持つようになった。
子供と自立し

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映像化(多分)不可。最後に先入観が覆る:『ずっとそこにいるつもり?』【本紹介】

映像化(多分)不可。最後に先入観が覆る:『ずっとそこにいるつもり?』【本紹介】

短編集5編からなる小説。
全体的に、最後に読者の思い込みがひっくり返される、という構成。
登場人物を思い浮かべながら読み進めると最後にあれ?となり、また最初から読み返したくなる。
文章だからできるやり方なので、映像化はできなさそう。

一番印象に残ったのは、最後に掲載されている「まだあの場所にいる」。
主人公の教師が、転校生の倉橋美月と周囲の距離感が不自然に近いことに違和感を抱く物語。

短い文章

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人生の潮目を読んでチャンスを掴む:『仕事にしばられない生き方』

人生の潮目を読んでチャンスを掴む:『仕事にしばられない生き方』

仕事から自由になる!という内容を期待していると、違う意味で驚かされる本。
自分は仕事を辞めたいと毎日毎日悩んでいた時、この本のタイトルに惹かれて手に取ったのだが、内容は予想と全く異なっていた。

テルマエ・ロマエで知られる漫画家である著者が、子供時代からさかのぼり仕事・人生の遍歴を書いた本なのだが、これまでの道のりが普通ではない。

・急に行けなくなった母親の代わりに14歳で1ヶ月ヨーロッパに知人

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人口減の正体とは:「居場所がない」人たち

人口減の正体とは:「居場所がない」人たち

■気になった点

・子育て支援は少子化対策にはならない

一人の母親が産む子どもの比率は現在と1980年代でほぼ変わらない。
出生数が減っているのは、子どもを産む対象である女性の絶対人口が減っているため。

・人口減少の理由

人口が減少する要因は少子化だけではなく、死亡数が出生数を上回ることも含まれる。
1951年~2011年まで、人口千対死亡率が10%だったことにより一気に世界一の超高齢国家に

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日本人は海外グルメに寛容と見せかけて、不寛容:「異国の味」

日本人は海外グルメに寛容と見せかけて、不寛容:「異国の味」

■概要
料理人/飲食店プロデューサーである著者が、日本における異国料理レストランの変遷について語るエッセイ。

■気になったところ
・日本人ほど積極的に世界の料理を食べたがる民族はいない。一方で、日本人向けにアレンジされていなければ受け入れないという姿勢も見られる。

・各国、現地の味を再現する→日本人のウケが悪いので日本人向けにアレンジするという変遷を辿っている。
例えばバーミヤンも元々は中国料

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閉塞感、行き詰まりへの共感:小山さんノート

閉塞感、行き詰まりへの共感:小山さんノート

■概要
「小山さん」と呼ばれた女性が遺した膨大な日記を有志メンバーによって文字起こし、抜粋した一冊

■感想
公園でのテント生活という厳しい環境の中でも、百円を拾った、喫茶に行った、等小山さんが小さなことに喜びを感じていたことが伝わってくる。

一方で、小山さんの鬱屈とした、どうにもできない閉塞感、同じことを繰り返していることへのやるせなさが全体を通して感じられる。
自分も数年前の日記を読んだとこ

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[読書]心の病気ってなんだろう?

[読書]心の病気ってなんだろう?

■概要
精神疾患の症状や患者の中で起こっていることについて中学生向けに書かれた本。

■気になった部分
〇統合失調症 
主な症状は幻聴、妄想。思春期-青年期にかけて発症が多く、患者は「いい子」だった傾向が強い。
「いい子」であったことから主体的に何かできる、と言う感覚が少なく、主体的な自分がない、と感じるようになり、しっかりとした自分を見出そうと行動的になる。それが焦りにつながり、自律神経症状を発

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時間を作って行動に移す:”私の時間”はどこに消えたのか

時間を作って行動に移す:”私の時間”はどこに消えたのか

■印象に残った部分
〇「時間給」に換算しない
時間をかければ必ずしも良い結果が出るわけではない、という指摘は確かに。
時間給労働から脱出したい。

〇スケジュールは前倒しで管理する
前倒しだからちょっとずれてもいいか、と結局なりがちだが、前倒しのスケジュールで終わるに越したことは無い。

〇やる気に頼らずついでの5分で取り掛かる

やる気に頼っている時点でやらない方向に進んでいる、という指摘は胸に

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生成AIは物語の一部でしかない:東京都同情塔

生成AIは物語の一部でしかない:東京都同情塔

■あらすじ

■感想
〇生成AIの文章を実際に使ったことで知られているが、それは小説の一部で、それよりも短い文章の中でいろんな要素が詰まっていることが印象的だった。

・カタカナ語への嫌悪に始まる言葉への執着
・犯罪者の家庭環境
・AIとの対話
・東京オリンピック
・性差別

〇カタカナ語への違和感については、自分もカタカナ語が嫌いなので、よくぞ書いてくれた、という感じ。

〇全体的に主人公の頭の

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[やりたいことリスト80]宗教に関する本を読む

[やりたいことリスト80]宗教に関する本を読む

海外旅行で教会とか行きながら、宗教について全く理解していないと思い、こちらを購入。

■印象に残った部分

・ユダヤ人でビジネスの成功者が多いのは、「学ぶことが大切」「時間当たりの成果を意識する」等の教えがユダヤ教にあるから。もう1点、キリスト教社会の中で差別されたことで、政治家や完了は目指せない代わりにビジネス・金融等で人生を切り開こうとしたから。

・「労働は辛い義務」という認識のカトリック→

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