天王寺歴史散歩①一心寺・安居神社
四天王寺では毎月22日に聖徳太子の一生を描いた壁画のある「絵堂」を開放しています。
ちょうど2カ月前の8月に朝からチコさんと訪ねたのですが、その絵解き話が14時からなので、時間的に無理で断念した出来事がありました。
それならば、いっそのこといつもの「レキジョークル」メンバーの参加を9月と10月のどちらかで募って出直そうと考え10月22日に決まり、行ってまいりました。
メンバーはミコさん、ロコさん、私の3人です。
実は前回一緒に行ったチコさんは予定が合わず、一足早く9月に行ってきたらしく、「絵堂」の絵解き講和は大変な混雑だったとの情報を得て、かなりの気合を入れて向かいました。
というのも、この日の四天王寺は「経供養」の日でもあり、「雅楽」の奉納もあり、しかも日曜日なので、かなりの人出が予想されたからです。
前回、聞けなかった「絵解き講和」を最優先にしたスケジュールを立ててこの日は臨みました。
〈寄り道1〉
一心寺・存牟堂・三千佛堂
ミコさんもロコさんも、一心寺やその関連の施設に行ったことがないというので、まずは私の拙いガイドでエスコートさせていただきました。
上記記事でチコさんと行った通り、存牟堂で「大坂夏の陣」の動画を観て、「三千佛堂」でたくさんの仏様を拝み、スタンプ帳を完成させ、それなりに楽しんでもらった後、「一心寺」へ向かいました。
二人のお目当ては御朱印ですが、私はすでにいただいているので、第一の目的は、こちらで骨仏となった義父母のお参りです。
朝だというのにすでになかなかの混雑ぶりで、「本多忠朝の墓」や「東軍戦死者招魂碑」「真田の抜け穴」など、せっかく一心寺内の歴史ポイントを巡ろうと思っていたのに、すっかり失念してしまいました。
家康を助けた「霜降りの松」
まともにちゃんと見る事ができたのは、北門近くにある「霜降りの松」です。
「霧吹きの松」とも言われています。
「大坂夏の陣」で家康がちょうどこの松の陰に隠れていたところ、真田幸村(信繫)隊の突撃を受けましたが、この松が霧を吹いて家康の姿を隠し、幸村隊が怯んでいる間に、徳川軍の援軍が駆けつけ、家康は一命をとりとめたという伝承の松です。
ほんまかいな。
そんなアホな
今では完全に枯れていて、残骸と化した木の幹が残され、すぐ横に新しい松が植えられてすくすくと生育中です。
どう考えてもこの話には真実味はないので、私としては、後年、家康を神格化するために作られたエピソード話だと思っています。
ここで家康が斃れていたら、面白い事になっていたのにと実は思っています。
〈寄り道2〉安居神社
霜降りの松を見た後、そのまま一心寺の北門から出て、25号線を挟んだ真向かいに真田幸村(信繁)の終焉の地・「安居神社」があります。
(トップ画像は本殿です)
一心寺で「霜降りの松」に邪魔をされた真田幸村は、徳川軍から猛攻撃を受け、瀕死の状態で逃げ込み、この神社で最期を迎えたと伝わります。
2パターンある真田幸村の最期
>パターン1
この境内の木にもたれて身体を休ませていた幸村は、越前松平家の西尾宗次に見つけられ、「この首を手柄にされよ」と言い、自ら討ち取られた。
>パターン2
ここから約1.5キロ北の生國魂神社周辺の高台で休んでいたところ、西尾宗次が幸村だと知らずに戦いを挑んで打ち取り、後に幸村の顔を知る知人が幸村だと指摘して判明したという史料が近年、発見されています。
いったいどちらが真実なのかは、今となってはわかりませんが、この真田幸村は父の昌幸とともに、大坂方にとってはヒーロー的な存在で、彼の最期の様子を想像すると、なんともやりきれない思いがします。
2016年の大河「真田丸」での、堺雅人さんの名演が蘇るのですが、今年の「どうする家康」ではどのように描かれるのでしょうか?
きっとまた家康に敵対する悪者として、描かれてしまうのでしょう。
せめて武将としての敬意を込めた人物像を描いて欲しいものです。
真田幸村(信繁)享年49。
いずれにしても家康を最後まで苦しめた真田幸村です。徳川軍にとって、第一級の手柄首なので、こぞって皆が欲しがったため、幸村の首だと差し出された首級は、多数あったと言います。
かんしずめの井
今まで何度か訪れていましたが、初めて見つけたところもありました。
社務所の脇に小さな看板を見つけて覗いてみると、降りるのをためらうほどの恐ろしく急な石段がありました。
ロコさんが、先だって降りて、「(井戸が)あるで~。」と手招きしてくれたので、こわごわ降りてみると、立派な玉垣に囲まれたた井戸がありました。
「かんしずめ」とは「癇鎮め」と書き、ここの水を子供に飲ませると「癇の虫」が治まるという伝承から名付けられたようです。
また、菅原道真が大宰府に左遷される途中にここに滞在し、その時に罹った病気もこの井戸水で治したとも伝わります。
「天王寺七名水」の一つにも挙げられ、一般には「安居の清水」と言われています。
あわやランチ難民!?
ここで11時ちょっと前だと気付き、ランチ予定のそば屋「はやうち」は11時30分からなので、微妙に早い。
先に四天王寺の御朱印だけでも頂こうと、いったん四天王寺の西門をくぐりました。
和柄探しに夢中
門をくぐると「極楽門」までの間にも、たくさんの店が軒を連ねて大賑わいで、ふらふらと立ち寄って商品を物色してしまいました。
その商品とは着物や帯の中古品。
その和柄が使いようによっては良い手作り品ができると物色してしまったのです。
というのも、私たちレキジョークルは、元々が手作りサークルだったの、本日参加の3人も一応はミシンが得意です。
かつてはみんなで生地を買い漁り、手作り作品を販売していた過去があります。
たくさんの和柄を見て、その時の感覚が蘇ったのですが、さすがに私とミコさんは今更する気になれませんでしたが、ロコさんだけは真剣モードに入りました。
3人でこの柄カワイイ!、これはシブイ!などと言いながら、生地のセレクトに夢中になってしまいました。
ロコさんは数点を買い求め、おかげで以後はかなり重たい荷物を持ち歩くハメになりました。
猿回し
今度こそ御朱印をもらおうと納経所へと向かったものの、その手前で「猿回し」が実演されていました。
これは仕方がない。
立ち止まってしばらく眺めて、撮影状態に入り、3人の足は再び止まりました。
今どこに向かっていたのか忘れかけそうでしたが、なんとか「納経所」に到着し、無事に3人とも御朱印を頂くことができ、今回、私は前回とは違うご詠歌付きのものを頂きました。
「薬師如来」
~かしこな 法のはじめの 名をとりて
なにわの寺は すえの世までも~
段取りの悪い店
グダグダと寄り道してる間に11時30分です。
急いで境内を北に進み、「太子堂乾門」から出たところにある「はやうち」へ向かいましたが、すでに長蛇の列でした。
とりあえず名前だけ書いて、並んで待つこと40分ぐらいでしょうか?
辛抱強く待っていたのですが、列が長くなるだけで、一向に店内から人が出てきません。
そう。まったく回転してないのです。
確かにテーブルも少なく収容できる数も少ないとはいえ、余程、段取りが悪いとしか考えられません。
シビレを切らしたミコさんがスマホで検索しはじめ、ロコさんにお留守番を頼んで、あちこちの店を見て回ることにしました。
偶然に見つけたファンキーな店
北へ進んでもどこも行列。
ならば南へと進み、とうとう四天王寺西門近くまで行き、その角の店に目星をつけました。
その名も「煩悩のかたまり 一瓢亭」
この店、以前も何度かグーグル検索で見かけた事はありましたが、なんかパッとしなさそうなので、行ったことはありませんでした。
しかし、この日はふと立ち止まり、外に立てかけられたメニューを物色していると、中からお兄さんが顔を出し、グイグイ呼び込みされました💧
「これ、おススメ!一番人気!!」
と言って指をさしたのが「かき揚げぶっかけおろしそば」。
「そやな。それいいな~」
間口は小さいお店ですが、2階部屋もあるので3人でも大丈夫というので、ここにすることにしてロコさんを呼び寄せました。
ぱっと見てもお値段もお安く、期待はできないとは思いながらも、背に腹はかえられません。
ロコさんが来る間でも、
「もう一人の人も同じでええ?」と聞いてくるほどのセッカチぶりです。
それもそのはず、一人で切り盛りしているようで、後になって、彼の仕事ぶりに心から感心するほど、段取り上手だったのです。
1階は赤いスツールのイス5脚ほどのカウンターのみ。
2階へ続く階段へ向かうと、
「あ、ちょっと待って。ご飯は自分で持って行ってください」
各自お茶碗のままの麦ごはんを渡され、それを各自が大事に持ちながら、狭くて急な階段を上って部屋を見て、思わず笑ってしまいました。
ビール箱の上に廃材のドアを載せただけのテーブルにバラバラのソファ。
おそらくどれもタダで調達したものでしょう。
あまりにもファンキーなインテリアになんとも楽しくなります。
だいたい、ご飯も本来はいらないのですが、麦ごはんである事と、トッピングの一つに生卵があり、卵ご飯もできると、お兄ちゃんのセールストークに乗せられて、思わず注文したのです。
おかげでお腹一杯になり、やはり食べすぎたと後悔することになりました💦
期待はしていなかっただけに、お蕎麦はコシがあって美味しくて驚きました。
様々なトッピングが自由に使えて、これで一人950円ほど。
安い!!
おそらく普通なら倍ぐらいの値段はするではないでしょうか。
会計の時も、手品のようにいつの間にか小銭を手のひらに乗せ、一瞬でお釣りを渡すという素早さに、またまた惚れ惚れしてしまいました。
✅安い
✅旨い
✅早い
✅段取り上手
✅売り込み上手
たった一人での切り盛りながら、なんとも5拍子揃った店で、苦しまぎれに入ったお店でしたが、大当たりだったのです。
店名の「煩悩のかたまり」の意味は、お金儲けのために常に先を考えているからのでしょうか。
そうとしたら確かに煩悩だらけのお兄ちゃんではありました。
本番はこれから💦
続きます>>>
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