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今回は大阪人として物申す!

「殿、決してお忘れあるな。わたくしはどこまでも、殿と一緒でござる」

石川数正は自ら裏切ったのか、それとも家康の命でスパイとして送り込まれたのか。
どちらの説を採るのか、ある意味楽しみにしていましたが、なるほどこうきましたか。

大坂の繁栄ぶりや秀吉の言動を冷静に観察し、自らの独断で相手の懐に入り込んだわけですね。
捨て身の言動には迫力すら感じました。
演者の松重豊さん、とても「孤独のグルメ」での俳優と同一人物とは思えません。

徳川家を離れた本当の理由も不明なので、この辺りは存分に妄想できる範疇です。
今後の展開でいつかその理由が見える事を期待せずにはいられません。
もしそれがあれば、涙を誘うシーンになるかもしれませんね。

史実ではこのまま秀吉に仕え、没年もハッキリせず、「関ヶ原の戦い」以前の秀吉もまだ生存しいた1592年ごろに没しているので、家康の天下取りを見ることはできなかったわけです。

ただ、私の一番好きな城、「松本城」を築城したのが彼で、今も現存しているのを思うと数正の意思はまだ生きているように思えます。

「この老体に鞭打って大暴れいたしましょう!」

最後の家康との対面でのこの言葉は、これからの大きなネタ振りになりそうです。

「松本城」
2013/6/9撮影

今回はこれからの展開に向けて、大阪人としての本音を語りたいと思います。


徳川以外はすべて悪?

今年の大河「どうする家康」は、徳川家康が主役だという事は十分承知していますが、それにしてもその他の武将を極端に悪く描き過ぎる。

明智光秀(酒向芳さこうよし)は話にならない。
酒向さんがどうのというわけではなく、智将として名高い明智光秀を、あまりにも矮小な人物として描き過ぎです。

あんな人間を信長が取り立てるわけがない。

そして信長の遺臣、池田恒興(徳重聡とくしげさとし)と森長可ながよし(城田優)もまるで悪人みたいに描かれていました。

信長の乳兄弟ちきょうだい・池田恒興

恒興の母は、織田信長の乳母であり、彼女の夫(恒興の父)が没した後、信長の父・信秀の側室となり、のちの小田井の方を産んでいます。

信長とは実の兄弟のように過ごし、池田家は親族としての扱いを受け、厚遇されてきました。

それが、まるで極悪人のような描き方でした。

信長協奏曲コンチェルト」で向井理さんが演じたのと同じ人物とは思えず、イメージは丸潰れです。

確かに時世を見る目には長けていたのかもしれませんが、ちょっと違いすぎましたね。


森家の次男・長可ながよし

森長可は森家の長男だと思いがちですが、実は次男なのです。

なんと、9人兄弟でそのうち女子が3人、男子6人で、
長兄の可隆よしたかは信長の朝倉攻めの時に、19歳の若さで討死したため、早い時期から長可が長男の役割を果たしてきました。

兄弟すべてが信長の小姓を勤め、蘭丸を含め3人の弟たちは信長とともに本能寺の変で討死し、この徳川との一戦で長可が戦死すると、末弟の忠政が残るのみになりました。

今にも滅んでしまいそうなところ、かろうじて続いた森家は、その5代後の長継ながつぐの時に赤穂藩主となるのです。

そう。あの「赤穂浪士」の浅野家が減封と移封されたあとに領主となりました。


黒田官兵衛がいない

なぜ秀吉の軍師である黒田官兵衛が登場しないのか不思議でなりません。

彼の息子・長政は、今後の「関ケ原の戦い」で徳川にとって心強い仕事をするのですから、その親子関係にも少し触れておくべきではないでしょうか?

突然、降って湧いたように息子の長政(阿部進之介)だけを登場させては、物語の深みはまるでないものになります。

そもそも黒田官兵衛の存在こそ、秀吉の人物像を描くのに必要不可欠なキーマンの一人なのです。
軍師として厚遇され、後に冷遇される彼は、優秀ゆえに秀吉に最も警戒された家臣でした。


秀吉はまるで異常者扱い

そもそも何より、最初の登場からそのキャラに異常さを感じたのは羽柴秀吉。

薄気味悪い危ない奴やん。

この秀吉を見た時から、今後の各武将のキャラクターが極端に描かれることは予想できました。

こんな風に「欲」だけで常に腹に一物を抱えているのは、秀吉だけに限らず、すべての武将に当てはまり、家康も例外ではないと思います。


大坂方から見れば
家康こそが悪

私の本心を言えば、徳川家康こそが「悪」です。
これからの展開を考えれば、かなりズルい事をするからです。

正直、天下人になれたのもほんの紙一重の事で、秀吉が作った基盤をほぼ横取りしたに過ぎない。

秀吉の人たらしぶりに恐怖を抱いているけれど、後の家康の「たぬきおやじ」ぶりは、大坂方から見たらかなりの狡猾さでした。

裏工作の達人に変貌したのは、信長や秀吉に鍛えられた成果なのでしょうか。


真田親子の登場

武田の遺臣だった真田は領土安堵を条件に徳川の傘下に入るものの、徳川は上野国こうずけのくに沼田を北条へ譲ってしまいます。

このあたりの詳細はなぜかカット💧

家康にとっては小さな真田など微塵も重要視していなかったのでしょう。
ところが今後、その小さな真田に最も苦しめられる事になります。

優れた策略家である父の真田昌幸、演者の佐藤浩市さんは連続大河出演で、昨年同様に痛恨の死を演じることになりそうです。

もしかしてばっさりカットかもしれませんが。

父の死後、兄の信幸(吉村界人かいと)、弟の信繁(日向亘ひゅうがわたる)(幸村)の生き様に注目です。


秀吉はどうして
徳川を潰さなかった?

不思議なのは、この時期に秀吉が徳川をどうして一気に潰さなかったか?

「関白」と言えば天皇の補佐役で征夷大将軍より立場は上です。

家康の策略と三河武士の恐ろしさを嫌というほどわかっていたのに、「関白」としての権威と武力でここで潰しておくべきでした。
この後、北条を滅亡させたように、秀吉には簡単にできたはずで、後の事を知る私には、ここが徳川を潰す絶好のチャンスだったと思います。

そうしなかった理由とは?

・理由①家臣団の抵抗を恐れた?
三河武士の勇猛さをよく知っていたので、せっかく天下統一を果たした直後なのに、必ず起こるその後の反乱を避けたかった。

・理由②石川数正の出奔
家康の懐刀ふところがたなと言われるほどの重臣がなかば人質として、こちらに来た気持ちを主君のためだと重々理解し、これだけの信任篤い家臣を持つほどの家康を恐れた。

これが理由の一つなら、
数正はかなり良い仕事をしました。


・理由③実母と妹を徳川に差し出す

ご丁寧に秀吉は、妹の旭姫(山田真歩)を築山殿が没して以来空席だった正室の座にと与えます。母の大政所(高畑淳子)の大きなおまけ付きです。
妹の旭はすでに既婚者でしたが、わざわざ離縁させての再嫁でした。
これには秀吉の苦肉の思案と、家康の有難迷惑さが見え、双方の思いがどうにもかみ合っていないのが想像できます。


大阪城内で女の戦いもある?

秀吉の正室・寧々(和久井映見)が初登場です。
今まで、信長の正室・帰蝶すら登場しなかったのに、これは関ケ原~大坂の陣で、彼女の役割をクローズアップさせるのを予想させます。

茶々との関係もどう描くのでしょうか。


そして、家康が孫娘の千姫(原菜乃華はら なのか)を秀吉の遺児・秀頼に嫁がせ、利用する経緯。
もし千姫と秀頼の間に男児がいたら、まず間違いなく家康はひ孫であっても処刑していたでしょう。

そうなれば多少の悪評は残り、いなかった事は家康にとってはラッキーでした。


敵も敬意をもって描くべきでは?

今までは、徳川以外の織田勢や豊臣勢を極端に人間味を欠いた描き方をしてきました。

とっても悪意が感じられました。

今後の主要人物となる、真田親子をはじめ、石田三成(中村七之助)、大谷吉嗣(忍成修吾おしなりしゅうご)、島左近(高橋勉)など豊臣勢も同じようにガッカリな人物像として描くのでしょうか?

各武将の生死を賭け、主君の恩に報いた戦いぶりには豊臣も徳川も、西も東も関係ない。
たとえ敵方であってもその精神を讃えて尊厳をもって描いて欲しいものです。


さて、今後の天下分け目の決戦に向けての複雑な展開に引き続き注目です。



※トップ画像は、
北から見た「大阪城天守」(2013/10/2撮影)
昭和6年(1931)に再建された3代目なのに、どうして秀吉の「黒い天守」にしなかったのか疑問に思います。
これは完全に徳川の城であって、豊臣のものではない。


【引用文献】
どうする家康登場人物


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千世(ちせ)
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