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#北欧文学
岩波少年文庫を全部読む。(123)荒唐無稽なスパイアクション、そして夏休みは人類最高の発明品 アストリッド・リンドグレーン『名探偵カッレとスパイ団』
先週、先々週に引き続き、もう言い切っちゃいます。 アストリッド・リンドグレーン『名探偵カッレとスパイ団』(1953。尾崎義訳、岩波少年文庫)は、岩波少年文庫最強シリーズ(3部作)の完結篇です。 そしてこの3部作は、文学史上最高水準の「夏休み小説」に属しているのです。 ロウティーンの終わり? 殺されたグレーンじいさんとの一件から1年。さて、今年も夏休みに入り、小さな田舎町リルチョーピングでは、〈赤バラ軍〉と〈白バラ軍〉の戦いがきょうも続いています。 今回は、アンデス、カッ
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岩波少年文庫を全部読む。(16)「南の島のハメハメハ大王」級の「やらかし」 アストリッド・リンドグレーン『ピッピ南の島へ』
(初出「シミルボン」2021年1月14日) 「常夏」への憧れと輝かしい幼年期の賞揚 『長くつ下のピッピ』、『ピッピ船にのる』に続く完結篇です。 世界一強い女の子ピッピの隣人であり、読者に視点を与える人物であるセッテルグレーン家のきょうだいトミーとアンニカは、物語冒頭、はしかで寝こんですっかり弱ってしまいます。 ピッピはふたりの両親にかけあって、3人は冬の北欧から、ピッピの父エフライム船長が王として統治する南島、クレクレドット島へと転地します。エフライム船長が船でやっ
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