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さくらの詩

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ゆだねる

ゆだねる

大丈夫
守られているんだから

心の中にいる
不安そうにしている私に
「心配しなくていいんだよ」
って声をかける

大きな流れにあらがうことなく
身をゆだねていれば
私は私の人生を歩むことができる

過去の悲しみも
未来への不安も
手放して

思いきり息を吸える今に
心をゆだねる

アメノヒノヒトリゴト

アメノヒノヒトリゴト

降り続く雨
湿った空気

気怠く眠たい午後に
あの時の自分を思い出す

空っぽで

いつも心の中で
「助けて」
って叫んでいた自分

よく頑張ったね

もう
全部終わったんだから
良いんだよ

そう声をかけて

私は
あの時の自分を抱き寄せて
髪を撫でる

そうか
もう大丈夫なんだね

あの時の自分が微笑んた

夢とも現実ともつかない
あの時の自分とのひととき

外は相変わらずの雨

私は湿った空

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アンスリウム

アンスリウム

熱気でむせかえるような夏の日に
私はあなたと出会いました

アンスリウム
花言葉は「恋にもだえる心」

花桶の中のあなたは
スッと背筋を伸ばし
何かを耐えるように上を向いていました

もしかしたら あなたは
言葉にできない
恋焦がれる感情を

その燃えるように赤い衣で
隠して立っていたのかもしれません

帰り際
私はあなたと
目があったような気がしました

あなたは
ほんの一瞬かなしそうな顔を見せ

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セミ

セミ

地を震わせるように
轟く雷鳴

篠つく雨

それでもあなたは
謳うことを止めない

少し雨宿りすれば良いのに

そう思ったのだけど

ああ、そうか
あなたには時間がないのね

あなたは
雷鳴にも負けない声で
謳い続ける

命の足跡を残すかのように
空に向かって
謳い続ける

いつもそばにいるね

いつもそばにいるね

秋を思わせる風の中に
あなたのにおいを感じました。

わたしの思い出のなかのあなたは
「ボクをみてみて!」
ってときどき笑顔でふりかえり

わたしの前を
楽しそうに歩いています。

でもね

乾いた冬の風のなかも
あまい香りの春の風のなかも
湿った夏のかぜのなかも

いつだって

あなたはそばに
いてくれるんだよね。

そう思いながら
青い空を見上げました。