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【現代詩】『 初 夏 』
『 初 夏 』
あかきみどりむらさき
◇
みかんの房を頬張る飛沫に
乾ききった喉元が
呼応する
◇
見ず知らずの太陽が
妬けに馴れ馴れしいのは
ど う し て か
し ら ん
「 、 」
ゆっくりと たいせつに
登 り 詰 め て ゆ く
坂 道 の 途 中
小さな胸に
大きな宇宙を
抱き寄せるように
深 呼 吸 す る
◇
地平線に平行に
飽く迄洒落て
傾けてみた
「 、 」
麦茶の入った
ビールジョッキイ
焼け焦げるほどに、愛したお前は
天の上
◇
うだる・現世界
涙を拭いて涎(よだれ)も拭いた
古く湿気た塵紙が
軈(やが)て大きく膨れ上がって
お前を励ます
紫陽花になる
◇
2024
赤黄緑紫