山田夢猫

サンプルシナリオ各種を公開しています。

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最近の記事

【男子学生】短編

心機一転! 【吉川】 「あー入学式、ちょーダルかったー。どーっこいしょ」 【山岸】 「あの……吉川くん、そこ、僕の席なんですけど」 【吉川】 「ん? おまえ誰?」 【山岸】 「山岸っていいます、席、間違えてるんだけど……」 【吉川】 「ああー、マジか、俺の席、一個うしろか」 【山岸】 「はい……」 【吉川】 「あ? なんで顔そらすの?」 【山岸】 「い、いえ別に」 【吉川】 「あー! 思い出した! おまえ小学生の時一緒だったヤギーじゃん」 【山岸】 「そのあだ名は卒業したん

    • 【一人称女】短編

      愛の数だけ花束を 東京の会社を辞めて、田舎に帰ってきた。 ちょうどひと月になるだろうか。 引退した父から継いだ家業の花屋の店先で、私は一人作業していた。 花の手入れはなかなか根気のいる作業だ。 集中していると、いつの間にか店内にお客が来ていた。 きれいな白髪を後ろでひとつにまとめた、おばあちゃんだ。 どうも、としわくちゃの笑顔で会釈され、私も返す。 「結婚祝いの花束をね、作ってほしいんだけど」 一万円札を差し出す細い指には、年期の入った結婚指輪があった。 うなずいて、私は紙

      • 【歴史乙女ゲーム】短編

        ◼背景:謁見の間 差分:夕◼   平家と源氏、両家が雑使の私を欲しいと法皇様に申し出た数日後。 私は法皇様と並んで座り、清盛様、義経様と向かいあっていた。 【ヒロイン】 (大変なことになってしまった。スマホを二人に見られたりしなければ......)   この三人にこれ以上現代の知識を教えたら、歴史が変わってしまう。 けれど平安時代で一人、やっていける自信はなかった。 【後白河法皇】 「ヒロインはただの雑使。平家にも源氏にも、仕えたい女など幾らでもいるはず」 「その辺か

        • 【乙女ゲーム】短編

          ◼背景:カフェのカウンター 差分:昼(朝)◼   裕太くんから文学記念館に誘われた日の朝。 私は一日お店を預ける為、新しいエプロンを尊さんに渡し、頭を下げていた。 【ヒロイン】 「すみません、なんだか、すごく図々しいお願いをすることになっちゃって……」 【吉原 尊】 「カフェ店員のバイト、学生時代やってみたかったんだよね〜」 「でもほら。会社が当たっちゃって出来なかったでしょ。俺今、夢叶ってる!」   のらりくらりと、尊さんはいつものように笑う。 (でも本当は、私

        【男子学生】短編

          【美少女音楽ゲーム】短編

          【日明】 「あーっ! 明日はついにーっ! 我が新生吹奏楽部の命運がかかった県大会かあ〜っ!」 【のあ】 「やめてください日明先輩。窓の外に向かって叫ぶなんて安いドラマみたいです。それに一二三副部長が 凍っています」 【日明】 「ん? ええっ、一二三息してないじゃん! 前日からこんなに緊張してどうすんだよ!」 【一二三】 「す、すみません......私......」 【のあ】 「日明先輩のせいで一二三副部長の思考回路・現在停止中」 【一二三】 「皆さん、すみません......」

          【美少女音楽ゲーム】短編

          【RPG】短編

          魔女「暗い暗い森の中、ぼうやはどれだけ歩いたか。もうだいじょうぶ、この屋敷は百年前から建っている。嵐にだってびくともしない。ゆっくりゆっくり、おやすみよ」 少年「ここは…? そうだ、僕は森で迷って…」 魔女「身体が冷えたろう。暖かいスープとパンをお食べ」 少年「わっ。急にテーブルが…蝋燭の火か。暗くて見えなかった」 魔女「暖かい毛布に、暖炉もある。さあさ座って」 少年「わあ。寒くてお腹ぺこぺこだったんだ。あったかいなあ。こんなごちそうみたことない」 魔女「パンもお菓子も好きな

          【RPG】短編

          【女性向け】シチュエーションCD風

          おひとりさま あ……おとりさまですか? いらっしゃい。 すみません、うち、あと30分で閉店なんですが。   ……よかった。じゃあここにかけて。 ラストオーダー、本当は終わっちゃってるんだけど、お腹すいてます?   うん、じゃあお通し代わりに、何か作りますね。   お酒は何に、あ、はい、わかりました。   この時間だと、お仕事の帰りかなにかですかね?   お住まいはこの近く? ……僕、ですか?  僕は……そうですね、気づいたらこの街にいて……居着いちゃったって感じですかね。

          【女性向け】シチュエーションCD風

          【SFファンタジー】短編

          サーベイの民 風の吹く方に、僕たちは旅をする。 春は東へ、夏は南へ、秋は西へ。 そして、冬はこの北の谷に帰ってくる。 遠い昔の言葉で、僕たちは遊牧民と呼ばれるらしい。   語原も、どうして旅をするのかも、知る者はいない。 生まれたとき、フォアにそう教えられるだけだ。 谷を見渡せる丘に立ち、僕はいつものように見えない底をのぞき込む。 と、聞き慣れた声が響きわたった。 兄「おーいキュウ! またそんな所で! だからお前は、大人になれないって言われるんだ」 キュウ「...兄さん

          【SFファンタジー】短編

          【ミステリ系】短編

          代行さん ここにひとつの焼死体がある。 俺は困惑していた。 話はひと月ほど前にさかのぼる。 30年も勤めた製造会社の工場をクビになった。 いわゆる人件費削減、リストラである。 高校を卒業してすぐに就職して30年。 これといった特技もなく、俺は途方に暮れていた。   そんなある日、職業安定所からの帰り道にスマホが鳴った。   相手は何日か前、居酒屋で出会った赤板という男だった。   居酒屋で何を話したのかは覚えていない。 気づいたら彼は隣に座っていて、俺は不採用通知の封筒を睨

          【ミステリ系】短編

          【青春系】短編

          ズットモ 冠婚葬祭用の服は着心地が悪い。 電車の窓ガラスに映る、自分を見て私は小さく息を吐いた。 今日の主役は私でなく友達なのに、やっぱり緊張している。 それは私が彼女の「親友」として、 大勢の前でのスピーチを依頼されているからなのか。 ――それとも。 そこまで思って、 ふいに出会ったばかりの頃の彼女のセリフを思い出す。 『 私たち、ズットモだね!』 彼女はそういって、 まだ絆創膏のついた顔でくしゃくしゃに笑っていた。 今日会う彼女も、笑っていて欲しいと切実に思う。 “ズッ

          【青春系】短編

          【恋愛系】添い寝ボイス②

          ん……どうしたの、眠れない……? いやなことでもあった? ……うん。……うん、そっか。 偉いね。俺(私)も頑張らなきゃな。 ……え? 特別なことはしてない? なに言ってるの、俺(私)は元気貰ってるから。 ……ちょっと。 そうやって自分を卑下するの、よくないから。 ……どうして? って……わかんない? 俺(私)は君のこと大切に思って、尊敬してる。 そんな君が君を否定したら、 俺(私)ってなんなの? ってなるじゃん。 ……ちがう、謝るとかいらないって。 怒ってるんじゃなくて、悲し

          【恋愛系】添い寝ボイス②

          【恋愛系】添い寝ボイス①

          Let’s pretend! ……う~ん……寝れないよぉ。 ねえねえ寝れる? え? ……起きちゃった? ごめぇん、だって眠れないんだもん。 ……あ、どうしよう、え、怒っちゃった? ごめん……私(僕)ってこういうとこ良くないよね。 君は知らないかもしれないけど、 普段はちゃんとしてるつもりなんだよ? でも君の前だとつい、気が緩んじゃうっていうか。 ……ほんと? ほんとにほんとに怒ってない? ――良かったあ。 え、かわいい……って……。 そこって褒めちゃっていいの? ちょっと私

          【恋愛系】添い寝ボイス①