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#資本主義リアリズム
『トゥモロー・ワールド』原作読んでみた
アルフォンソ・キュアロンの『トゥモロー・ワールド』は、子供の生まれない世界を描いた終末感あふれる映画だった。
上掲記事にも書いたように、マーク・フィッシャーの『資本主義リアリズム』でも取り上げられている。
子供が生まれないというのは世界の終わりにほかならないが、映像作品にできるくらいは想像しやすい、、、というほどの意味であろうか。
15年前の作品だが、急速に子供の数が減る現代においてさらに示
ニック・ランド「暗黒の啓蒙書」読了
やっと読んだぞ、新反動主義の啓蒙書「Dark Enlightenment」の邦訳「暗黒の啓蒙書」。
著者のニック・ランドとその系譜については木澤佐登志氏のブログに詳述されている。
衝撃的だったこのエントリーももう2年以上前なのか。時が経つのは早い。
新反動主義とはドゥルーズ=ガタリの脱領土化を極限まで推し進めて再領土化しないことで(右派もしくは無条件的)加速主義ともいわれる。中世の都市国家を
ポスト識字とルサンチマンを超えて
昨日の白饅頭師匠のnoteについて思うところがあったので覚書として残しておこうと思う。
ひっかかったのは、現代は選択肢が多すぎてリテラシーの高い人々でも認知能力を消耗し、活字を追えなくなっているのではないかという部分である。
しょっちゅう決断していると認知能力のリソースを削られるのはそのとおりと思われ、例えばスティーブ・ジョブズが毎日おなじ服を来ていたのは有名である。決断の回数を減らすためで
デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義その歴史的展開と現在』
デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義その歴史的展開と現在』は1947年のモンペルラン協会創立以来の新自由主義の浸透について語るものである。リーマンショック以前に書かれたものであるが、新自由主義を批判的に語るときにしばしば引用されるので一読推奨である。
途上国においては軍事力であったり経済的な暴力で新自由主義を受け入れさせたのだが、そもそも英米で浸透していた理由のひとつは、リベラリズムとかアイデンテ
『トゥモロー・ワールド』は資本主義リアリズムという名のディストピア
資本主義にたいする絶望感をわかりやすく表現したことで著名なマーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』の第1章に映画『トゥモロー・ワールド』が紹介される。
この映画の世界ではもう10年以上も原因不明のまま人類は出産不能になっている。未来の世代もいないのに文明活動だったり紛争だったりをあいかわらず人類は繰り返している。
そんな中、主人公のクライブ・オーウェンやジュリアン・ムーアは10数年ぶりに妊娠