マガジンのカバー画像

加速主義

248
運営しているクリエイター

2022年12月の記事一覧

磯野真穂『他者と生きる』読んだ

磯野真穂『他者と生きる』読んだ

こちらの記事で取り上げた文化人類学者の磯野真穂さん、なんとなく気になって近著を読んでみたよ。

タイトルからわかるとおり、疫病のようなリスクといかにつきあうか、つまり他者とのあり方を考察した一冊である。

近年の日本ではゼロリスク志向が蔓延している。本書では狂牛病やHIVにまつわるおぞましい事件も取り上げられているが、別の疫病で現在進行中なので割愛。

リスクには、リアルな実感を伴うものと、なんか

もっとみる
西部邁『ニヒリズムを超えて』読んだ

西部邁『ニヒリズムを超えて』読んだ

年末だからまた西部邁の本を読んでしまった。

1989年出版の評論集である。

まず三島由紀夫についてであるが、晩年の三島は政治的であったと西部は繰り返すのだが、それは現代の私の目からは当然のように思われる。

ただ、生前を知る人々からすれば三島は市ヶ谷駐屯地で自裁した人というよりは文学者だったのだろう。だからその死をも文学的に語りたくなるような時代背景であったと推察される。

西部は全共闘から転

もっとみる
平井靖史『世界は時間でできている: ベルクソン時間哲学入門』読んだ

平井靖史『世界は時間でできている: ベルクソン時間哲学入門』読んだ

アンリ・ベルクソンの記憶や時間についての哲学には以前から関心があったが、いきなり原著を読むわけにもいかんし、どうしたもんかと思っていたら、ちょうど良さそうなのが出版されていた。

客観的な計測された時間と、主観的な時間が異なるのは誰でも知っているだろう。例えば、おとなになると1年が短いというように。

というようなことを、本書を読めばよく理解できるようになるかと思ったが、難しすぎワロタ。

という

もっとみる
佐藤優『獄中記』読んだ

佐藤優『獄中記』読んだ

この本の二人は入獄するにあたり佐藤優氏のお世話になたという。そして佐藤氏は拘置所で512泊したとかおかしなことが書いてあり、氏の『獄中記』を入手するのやむなきにいたったのである。

Kindle Unlimitedだった。ラッキー。

鈴木宗男事件に連座して逮捕された佐藤優氏であるが、現在も続くロシアの周辺情勢を理解しておくのが有用である。

ソ連崩壊後、NATOは東方拡大を進めた。これはロシアの

もっとみる