【図解読書】キャズムVer2 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論のレビュー
この図解レビューでは、筆者が価値高く感じたビジネス書を中心に、図解による概念化と引用を用いながら重要なエッセンスをレビューしております。
「新サービスを作ったもののどのような手法でユーザーへ広めれば良いかわからない...」
とりあえずWeb広告を回してみたけどイマイチうまくいかずにこのような悩みを抱えているマーケティング担当者は多いのではないでしょうか?
ターゲットユーザーをしっかり決めているし、たしかに価値あるサービスなのになぜうまく広まっていかないのでしょう。
もしかすると、その理由はターゲットユーザー内での広めるべき順番が間違っているからかもしれません。
実はターゲットユーザーの中でもさらなる分類をして、どの人からまず攻めるべきかを考えなくてはいけないのです。
今回レビューする本著はサービスを正しくユーザーへ広めていくためのマーケティング手法を解説くれている本。
・企業のマーケティング担当者
・新規事業開発の担当者
・その他ユーザーへのサービス浸透を考える方
におすすめの1冊です。
まず、ターゲットユーザーを性格や関心事を基準に5つの顧客グループに分けることができます。
そして、それぞれのグループの特性ごとに最適なマーケティングのアプローチ方法が異なります。
自社サービスが今どの段階にいるのか言語化でき、これからどのようなアプローチをすれば良いのか判断できる点が素晴らしいですね。
イノベーターはとにかく新しい技術に目がないテクノロジーマニアで、PCの部品を集めて自分で組み立ててしまうような人達。
サービスが提供する価値など度外視でテクノロジーにのみ関心をもってアンテナを張っています。
アーリーアダプターは明確に自分の課題があり、解決できるサービスを積極的に探している人達です。
革新的な考えを好み、使っている人がいなくても自分の感性を信じてどんどん購入する性質があり、サービス提供側としてはアーリーアダプターに受け入れられるかどうかがサービスの存在意義を試される場となりますね。
アーリーマジョリティ以降はメインストリーム市場と呼ばれ、革新的な初期市場とは異なり保守的な人々へ広める段階。
特にアーリーアダプターからアーリーマジョリティへ拡大する段階を「キャズム(溝)」と呼び、サービスが広まるかどうかはキャズムを越えられるかどうかに掛かっています。
多くの企業が越えられずに撤退していく難所となっていて、本著のメインテーマでもあります。
それでは、これらの顧客グループごとにどのようなアプローチをしていけば良いのか見ていきましょう。
基本的に初期市場は製品自体が良く、きちんと認知させることができれば広めることができます。
「今までのサービスと異なる新しい技術は何か?」
「今すぐ使ってくれそうな人はどんな課題を抱えているか?」
ということを明確にして、その人達がいるところへアプローチする方法を考え抜きましょう。
Web広告、小売店など様々な方法の中で最適なものを選んでください。
初期市場の特徴は口コミ等による他者の評価をあまり気にしないところ。
自分の頭で考えて良いと判断したら購入してくれる人が多いため、何の実績も無い新サービスにも目を向けてくれます。
逆に本質的な価値を提供できていないと関心を示してくれないため、サービス開発段階で定期的にコミュニケーションを取ることができれば、きちんとニーズに合致したサービスを作ることができますね。
さて、本題の「キャズム」をどう越えることでサービスをメインストリーム市場に食い込ませるかについてです。
メインストリーム市場にいる人の特徴は保守的で、他に使っている人はいるのか、何か不備があるのではないかということを疑っていて、なかなか新サービスに手を出そうとしません。
特に口コミ評価に強く関心を持っているため、アーリーマジョリティ内でどのように口コミを広めるかが鍵になります。
ただここで難しいのが、アーリーマジョリティは、革新的なアーリーアダプターの口コミを参考しないところ。
自分たちと違ってリスクを取っていくアーリーアダプターが高評価していてもなかなか信じることができません。
そこで、キャズムを越えるためには、どうにかして口コミがほとんど無い状況でアーリーマジョリティに使ってもらい、そこで得た口コミを他のアーリーマジョリティに広めるという手段を取らざるを得ません。
本著で推奨されている方法は、アーリーマジョリティをさらに分解して
・このユーザーへの価値提供なら競合に勝てそう
・ここで勝てればうまく口コミ広がりそう
というニッチ(特定の領域)を見つけ出して攻めること。
特に重要なのがニッチを1箇所に絞り、そこに全勢力をつぎ込んで徹底的に勝つことです。
本の中では戦で例えられていて、一つ一つ順番に相手の陣地を奪っていくイメージでニッチを全力で奪います。
これでキャズムを越えることができたら、口コミをどんどん拡散させていき、レイトマジョリティまで広めていければ完了です。
ラガードは使ってくれないユーザーということで攻めることはしません。
いかがでしたでしょうか?
本著は、新サービスをどのような段階を踏んで広めていくべきかを解説してくれました。
具体的事例や深い解説など今回のレビューで取り上げられていない内容もとても素晴らしいので、ぜひ手に取って読んでみてくださいね。