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新潮社さん、次はぜひ「○○○○○」を
↑が9月26日に発売されます。
カーソン・マッカラーズ「悲しき酒場の唄」の村上春樹訳。タイトルは「哀しいカフェのバラード」です。
らしいと感じました。レイモンド・チャンドラー「さらば愛しき女よ」も春樹訳では「さよなら、愛しい人」だったし。
160ページの単行本で2420円。海外文学はどうしてもお値段が張ります。でもこれは外せない。多くの人に読んでほしい傑作です。
マッカラーズの小説は、なんというか理不尽な目に遭った登場人物の心の痛みがダイレクトに伝わってきます。良かれと考えて選択し、努力を重ねた結果がこうなってしまった。ではどうすることが正しかったのか? たぶんどうすることもできなかった。
無常観。そんな砂を掴むような言葉でわかった気になりたくない。
やるせなさで胸がいっぱいになります。春樹さんの愛読書であるスコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」みたいに。
マッカラーズの最高傑作は、と訊かれたら「心は孤独な狩人」を挙げます。かつてはピアニストを志し「天才少女」と呼ばれた著者が23歳で書いたデビュー作。
原題は”The Heart is a Lonely Hunter"です。オリジナルの美しさと韻の心地良さが邦題でも損なわれていない稀有なケース。
世の中は良くならない。だから諦めるのではなく、その悲観を前提にして明るい材料を見つけ出そうと踏ん張る。どうにかして前を向く。そんな作品です。
ただかなり長いので(単行本は二段組で400ページ、文庫版は608ページ)入り口としては↓の方がいいかも。
最後にひと言。
新潮社さん、ありがとうございます。これからも海外文学の新訳、期待しています。ガブリエル・ガルシア=マルケス「百年の孤独」の文庫化は衝撃でした。いつかウンベルト・エーコ「薔薇の名前」もお願いします。
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