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イチ書店員が「高橋遥人の復活勝利」を見て思ったこと

1009日ぶりに一軍公式戦へ戻ってきた阪神タイガース・高橋遥人投手。素晴らしいピッチングで、2021年10月21日以来の勝利を挙げました。

サンテレビの公式チャンネルに、彼が奪った7つの三振を集めた動画がアップされています。1分24秒と短いのでぜひ。

ストレートの球速は140キロ台。球種がムチャクチャ多いわけでもない。しかしコントロールが良く、キレも抜群だから空振りを取れる。まだ28歳なのに円熟したベテランみたいな投球術。さすがです。

特に4回の二死満塁を切り抜けた三振が圧巻。石原選手が打席でバランスを崩し、地面に膝を突くのを見て「ああ遥人のスライダーだ」と復活を噛み締めました。

上原浩二さんが著書に書いていたのですが、球種を増やすかどうかを工藤公康さんに相談した際に「手持ちの球を磨け」とアドバイスされたとか。高橋投手のピッチングを見ていて思い出しました。

もちろん「新たな武器=できること」を加えていくのも、ひとつのやり方。営業マン時代の経験から、必ずしも誤りではないと断言できます。トークの引き出しの数と成績が明らかに比例していたので。

一方、絶体絶命の場面や勝負どころで頼りになるのは、ずっと使い続けて自信のあるトークでした。

理想は技を増やすことと並行して得意なものをブラッシュアップすること。それが難しければ、ひとつを徹底的に磨いて「これだけは誰にも負けない」というレベルまで昇華させる。左片手一本突きをひたすら鍛え上げ「牙突」を生み出した和月伸宏「るろうに剣心」の斎藤一のように。

少し前に書きましたが、書店員としての私は良くも悪くも便利屋です。何でもやる。それこそが得意な技といえなくもないし、納得もしている。ただ「上原浩二のフォーク」や「高橋遥人のスライダー」みたいな絶対的なひと棚を作り、お客さんに喜んでもらいたいのも事実なのです。

作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!