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本屋の「地元色」と「気になる動き方」

行ってきました。

基本的なレイアウトは昨年5月まで同所で営業していた「明正堂書店」のそれをほぼ継承。なおかつ歩きやすいように通路をスッキリさせた印象です。

興味深いのは「#読む上野」という特設コーナー。「芸術」「パンダ」「落語」「旅」の関連本が特集されていました。

地元色はその店の個性をアピールする武器のひとつです。かつて渋谷の書店に勤めていた際、普段は数冊しか動かない「東京人」の渋谷特集号が500冊以上売れて驚きました。

もちろん出版社の企画や商業施設のイベントに合わせるだけではなく、その土地で暮らす人々の関心を普段から探る姿勢が大切です。その積み重ねが「他では動かないのにこの店では売れる本」の発掘に繋がるはず。

一方で言うは易く、行うは難し。たとえば別のフロアでユニクロや無印良品が賑わっていても、それらの関連本が必ずしも動くわけではない。商品のファンが経営にも興味を持つとは限らないのです。なので、私はまず気になる動き方をしている本を見つけ出すことから始めています。

そのためには手の空いた時間に担当するエリアをじっくり眺める。売り上げデータも確認しますが、あれは大きく動くものをスルーしないため。「最近1冊入ったのにもうない」みたいな細かい事実に気づくには、実際に棚を見るのがいちばんです。

あとは接客。お問い合わせを受けた担当ジャンルの本を覚えておき、必要と感じたら入れてみる。

最近の成功例は↓でしょうか。

発売当初、私の職場には入荷しませんでした。しかも買い切り(返品不可)の岩波書店。でもお問い合わせが多いので棚に置いたところ、定期的に動くロングセラーとなりました。

全国的に売れているので「ウチでだけ動く」わけではない。地元色とも無関係。しかし、それらを察知するためのアンテナを張っていたことで気づけたのも事実なのです。

2023年もこんな感じで書店員を続けていきます。

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