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ハードボイルド書店員が「ノーベル文学賞2023」に推したい作家
↑はイギリスの「ナイサーオッズ」というサイトです。
10月5日に発表されるノーベル文学賞のオッズを見てみました。変動するかもしれませんが、村上春樹さんの倍率は15倍で9番人気。ミシェル・ウエルベックと同じ順位なのが興味深い。トマス・ピンチョンやスティーヴン・キング(!)の名前も見られます。
春樹さんは同文学賞に興味はないと公言しています。なので、ここではこれ以上触れません。ファンとしては獲ってくれたら嬉しい。獲らなくてもOKです。残念ではないし何も変わらない。
ランクインしているなかで最も目を引いたのは、ロシアのリュドミラ・ウリツカヤ。8年前に↓を知り、図書館で借りました。
切ない読後感が胸に残っています。主人公は本をこよなく愛する心優しい女性ソーネチカ。しかし彼女の夫は娘の友達と。。。
当時書いた読書メーターのレビューには「平凡だから非凡。本当の美しさとはこういうものなのに」「99%の男がヤーシャに夢中になったとしても私は声を大にしてあなたは美しいと叫ぶ」とあります。無償の愛、なんて知った風なフレーズに軽々しく換えたくない。崇高だと称えるのさえおこがましい。ただただ頭を下げるばかり。
↓もよかったです。
こちらのレビューには「『疲れた夜にオススメのほっこり本リスト』入り確定の一冊」「中流と思しき(極貧ではないがブルジョワには程遠い)家庭で健気に生きる子供たちを描いた六編が緩やかに繋がっている」と記されています。なんだか読書欲が沸き上がってきました。
少し前に書店で目にした↓も気になっています。
「スターリンが死んだ一九五〇年代初めに出会い、ソ連崩壊までの激動の時代を駆け抜けた三人の幼なじみを描く群像劇」とのこと。
翻訳文学の単行本は、どうしても値段を見てしまいます。4180円。しかも720ページ。でも気軽に手に取れない挫折必至の傑作を読み通すことが、誰にも奪われないその人だけの無形財産をもたらすのも事実です。トーマス・マン「魔の山」やハーマン・メルヴィル「白鯨」がそうでした。
予想というほどではないけど、なんとなくウリツカヤを推したい。よかったら皆さまも「ソーネチカ」や「子供時代」を読みつつ10月5日を迎えませんか?
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