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「心地良さ」と「闇」を描く作家

↓が売れています。

待望の文庫化。表紙のイラストがカッコいいですね。

単行本が出た際に読んでいます。読書メーターのレビューに「伊坂幸太郎の到達点」と書きました。↑でも「伊坂ワールドの集大成」と紹介されています。まさにそういう作品でした。シンプルに面白い小説を探している方はぜひ。

年明けの1月22日頃には、こちらも発売されます。

版元は中央公論新社。デビュー25周年記念の書き下ろしで、人工知能が暴走する未来世界が舞台とのこと。

104ページと短め。ただ、いまの伊坂さんが描くディストピアめいた世界観に関心があるし、井出静佳さんによる装画・挿絵も気になる(インスタグラムを拝見し、緻密さに宿る力強さと古典へのリスペクトを感じました)。ファンとして手元に置きたい一冊です。

ところで、2025年は元日から↓を再読しようと決めていました。

新潮文庫版もあります。何度か書いてきましたが、私の最も好きな伊坂さんの長編小説です。

伊坂作品を愛読する理由を語る際、多くの人が異口同音に挙げるのは「伏線回収の心地良さ」と「キャラクターの魅力」でしょう。異論はありません。「砂漠」でもまさかのマジックが随所で決まりますし、西嶋という癖が強く、それでいて憧れを禁じ得ない人物も出てきます。

一方、彼の作品が社会や人の心に巣食う「闇」をスルーしないのも事実です。理不尽な暴力や卑劣な犯罪、権力の暴走など。「砂漠」も例外ではありません。

正直読むのがつらい箇所もなくはない。でも目にしたくないけど実在するものをないことにし、生温い思い込みに安堵していたら、それこそディストピアと紙一重です。だったら一定の配慮を施したうえで作品へ盛り込まれた諸問題と向き合い、主人公たちが乗り越えていく姿から勇気をもらう方がいい。そう考えています。

人が人である限り、いつの世も伊坂さんの本は必要。「楽園の楽園」楽しみにしています。

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