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ハードボイルド書店員の「八冊本屋」

「#本屋さん開店します」

メディアパルさんの募集企画です。参加させてください。

都内某所のチェーン店で働く、現役の非正規書店員です。起業の予定はありません。ただ職場では様々な事情でできないことが多いゆえ、この場を借りて「こういう本屋をやりたい」を形にさせていただきました。

いまの仕事を続ける前提で考え、開店は週に一日。置く本はすべて新刊で八冊のみ。売り上げや諸々の状況に合わせ、不定期に入れ替えることとします。つまり一期一会。その時買い逃したら、次はないかもしれない。

ラインナップはこちら。

読んだことがあり、多大な影響を受け、いまも手元に置いている本のなかから選びました。あとは「一般の書店で目に留まる機会が多くない名著」がうっすらとした基準でしょうか。

「絶望名人~」と「僕は君たちに~」は文庫版も出ています。しかしどちらも私は単行本をオススメします。明らかに「栄養価」が高いのです。

すべての本について述べると長くなるので、最後に紹介した「わがしごと」のみ。なぜなら、この書籍から学んだ考え方こそ「八冊本屋」の原点だから。

著者の「wagashi asobi」さんは、東京都大田区上池台にお店を構える創作和菓子ユニットです。

扱う商品は「ドライフルーツの羊羹」と「ハーブのらくがん」のみ。現在は「ハーブの~」は製造を休止しているようです。

「あれもこれも」ではなく、自信を持って勧められる「これ」で勝負する。私がやりたいのは、まさにこちらのお店みたいな気概を持った本屋です。

もうひとつ大事なこと。140ページから引用させていただきます。

極論を言えば、wagashi asobiのお店の前に、どら焼き屋さんができても、もなか屋さんができてもいいのです。棲み分けさえできていれば、お客様を奪い合わずに経営が成り立つわけですから。むしろ、そうしておいしいどら焼き屋さんや、もなか屋さんができれば、「あのまちに行けば、おいしいお菓子が食べられる」と認識され、もっとまちが栄えるかもしれません。

「わがしごと」 wagashi asobi コトノハ 140P 

実際に「八冊本屋」をオープンしても、昔から同じエリアで営業している街の本屋さんとお客さんを奪い合うことにはなりません。扱う書籍の顔触れが異なるからです。むしろ「あの街には色の異なるふたつの本屋がある」と認識していただき、訪れる人が増えるかもしれない。

メディアパルさんのnoteでも触れられていますが、昔ながらの書店ではない、ユニークな形態の本屋さんが増えています。週末だけ営業しているところもあるし、本を売る飲食店や食料品店、アパレル店、雑貨屋さんなども存在します。

そういうお店が片手間の意識で選書をしているとは思えません。実際、足を運んで「こんな本が出てるのか!」と驚き、何度も衝動買いしました。書店の今後の方向性を考えるうえで、大型店的なアプローチもいいけど、こちらへ視点を置く方がより斬新なヒントに繋がる気がしています。

もしかしたら「八冊本屋」も決して夢物語ではないかもしれない。いい機会をいただきました。メディアパルさん、ありがとうございます。

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