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「苦悩」を突き抜けたその先

夏が近づいてきました。

夏と聞いてまず頭に浮かぶのは、やはり「夏休み」でしょうか(疎遠になって久しいですが)。

皆さんは「夏休み」にどういうイメージを持っていますか? 私は「試練と急成長の時期」です。部活の合宿や塾の夏期講習、外国の学生を数十人招いてのイベント運営など。

どれも過酷で理不尽で苦しい時間でした。でも乗り越えてしばらくした後に、信じられないほど腕を上げている己に気づいて驚いたものです。

篠崎にある書店「読書のすすめ」のサイトをチェックしていたら、まさしくそんな「試練と急成長」の記憶を思い出させる、もしくは追体験させてくれる本を見つけました。

一見は児童書風のファンタジー小説。「迷い込んだ町で不思議な骨とう店を見つける」「友だちふたりとともに、古代中国へタイムスリップ」なんて展開はドラえもんの劇場版みたいでワクワクします。

そしてキラーフレーズが到来しました。「不安になるということは、何かを変えなければならないというメッセージなんだ」

「壁は乗り越えられる人の前にしか現れない」と誰かに教わりました。近いニュアンスですね。

もちろん「三十六計逃げるに如かず」の局面も人生にはあります。でもそれはそれで「逃げても大丈夫かな」「後悔しないかな」という内なる不安との戦いです。そして逃げた先でも新たな試練が待っている。

戦いつつ逃げる。逃げながら戦う。私たちの生涯は案外そういうものじゃないでしょうか。小説を読む行為もある種の「現実逃避」と解釈できます。しかしあくまでも戦うための逃げであり回り道。欺瞞や臆病の正当化か否かは己がいちばんわかっています。

「苦悩を突き抜けて歓喜に至れ!」私の好きな言葉です。理不尽に打ち勝った後で目の前に広がる光景は唯一無二。その人だけの財産です。

逆境の嵐をくぐり抜け、どこまでも続く青い空を見てみたい。あらすじを読むだけでそんな気持ちにさせてくれた一冊です。ぜひ。

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