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問われるのは「サービス」だけではない

パン屋、ジェラートショップとの複合型書店がオープンするそうです。

「『スターバックス』などのドリンクを片手に楽しみながら購入前の本をゆっくりと選ぶことが可能」とのこと。楽しそう。でも心配です。本を汚されるケースが確実に起こりますから。かといって、すべてをシュリンクしていたら出費が嵩んでしまう。

児童書をシュリンクすると「中が見られない」「いちいち店員に言わなきゃいけないの?」と眉を顰められる。そのまま積めば「キレイなのはないんですか?」と詰め寄られる。一冊を見本にすればボロボロにされる。

カバーや中のページを破かれた(一部がなくなっていることもしばしば)絵本が、職場のバックヤードに積まれています。もちろん売れません。返すこともできない。版元に連絡すれば返品了承をもらえるかもしれませんが、ひどい状態だと断られます。もらえたらもらえたで申し訳ない。

本のシュリンクに費やす諸々の金額は、なかなかのものです。手間も掛かります。ジャンプコミックスの新刊発売日は朝からシュリンク地獄。やらないでいいならその方が色々な意味でありがたい。しかし現実にはやらざるを得ない。

子どもの頃、町の本屋で長時間立ち読みをしていると店主さんから注意されました。当時は「何だよ」と思いましたが当然のこと。本当はあえてシュリンクを一切せず、書店員が口頭でいちいち注意した方がいいのかもしれません。人手不足が慢性化しているので不可能ですが。

完全キャッシュレスの無人書店にもいえますが、便利な新形態を普及させるうえで問われるのは店側のサービスだけではありません。一部の人のモラル欠乏がすべてを台無しにしてしまう事態は十分考えられます。

かくいう私も職場を離れればひとりのお客さん。この機会に己の振る舞いを見直します。

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