旅の途中で出会ったかけがえのないものたち。
いつもの見慣れた場所に留まっているとしても、そこではないどこかを歩いているとしても、いつだって旅。終わることのない旅の途中。
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#物語
「おばあさんに幸あれ」と叫ぶ
時々車で通る道の途中に、気になる家がある。
実際には、気になるのはそこに住むおばあさんのこと。
ある日、道路沿いにあるその家の前を通るとき、縁側の椅子に座り、外を眺めているおばあさんに気づいた。
狭い直線道路だから、少し手前から通過するまでの間、そこにおばあさんがいること、外を眺めていること、その縁側の奥にはベッドがあることーまで見えるし、その目がなんだかうつろなことにも気づく。
おばあさ
明日を思い煩うことなかれ
生前、父親は庭にエサ台を作って、やってくる野鳥にエサをあげていた。
初めは何か残り物とか、鳥が食べそうな物を置いたたりしていたが、いつからかパン屋さんでパンの耳を買ってきて、ハサミで細かくちぎってあげていた。
父が亡くなり、やがてエサ台は朽ち果て、忘れられた。
それなのに、いつからか私も、庭にエサを撒くようになった。
やってくる野鳥は何種類かいるけど、年間を通して毎日食べにくるのはスズメ。
あるクリスマスイブの思い出 #こんな社会だったらいいな
前の年も、その前の年も
誕生日も
クリスマスも
お正月も
ひとりだった。
いつから、
おせち料理を食べなくなったっけ?
クリスマスケーキも
お誕生日のケーキも
食べなくなった。
だって家族もいないし。
毎日仕事が苦しかった。
ある年のクリスマスイブ
仕事で帰りが遅くなり
何か食べて帰ろうと思った。
「ラーメン食べたい!」
クリスマスイブにラーメンて!?とか思いながら