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あるクリスマスイブの思い出 #こんな社会だったらいいな


前の年も、その前の年も

誕生日も

クリスマスも

お正月も

ひとりだった。


いつから、

おせち料理を食べなくなったっけ?

クリスマスケーキも

お誕生日のケーキも

食べなくなった。


だって家族もいないし。

毎日仕事が苦しかった。


ある年のクリスマスイブ

仕事で帰りが遅くなり

何か食べて帰ろうと思った。


「ラーメン食べたい!」

クリスマスイブにラーメンて!?とか思いながらも


有名なラーメン屋さんの扉に手をかけようとして

止めた。

カウンターにひとり、おじさんが座っていた。

なんだか寂しそうだった。


今日はクリスマスイブだ。

せめて気分を変えようよ。

だけど、面倒くさい。。。


まだ開いていたパン屋さんで

おいしそうなパンを買った。


駅へ向かう地下道へ

下りて行ったとき

階段の踊り場の片隅に

段ボール箱の中に入ってうずくまる

おじさんがいた。


数歩行き過ぎて、戻ってみた。


「あのぉ、、、すみません」

おじさんは顔をあげてこっちを見た。


真冬の夜なのに

サングラスをしている。

ロックンローラーのような服装だった。


「あのぉ~、これ、よかったらどうぞ」


さっき買ったパンをおじさんに渡した。

おじさんは無言で受け取ってくれた。


家に何か食べるものはあったはずだから、いいさ。


おじさん

クリスマスイブに地下道で段ボール・・・

地面は冷たいはず・・・


食う寝るところ

住むところ

不自由のない

自分は何てしあわせなんだろう


段ボールのおじさんにも

幸あれ!と願う


段ボールのおじさんは

本当は張り込み中の刑事でしたーみたいなオチで

悲しい、淋しい、辛い、苦しいことがあっても

なんとか笑って乗り越えられるような

そんな社会になったらいいな


みんなが助け合える

みんなが幸せを感じられる

社会になったらいいな。


だれもが

ただ思いのままに生き

ありふれた日々を

当たり前に暮らす


それが当たり前

そんな社会になったらいいな



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あとりえぽえとりあ  
素晴らしい世界をたくさん見たい。たくさん感動したい。知らない世界を知りたい。幸せは循環させたい。ありがとうございます。