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不水溶性な日常

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少しのこと、たくさんのこと、いっぱい考えたこと…についてのエッセイ。 あんなことやこんなことを誰かと共有できたらいいなと思っています。
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記事一覧

【essay】私は機会があれば飲む。時には機会がなくても飲む

【essay】私は機会があれば飲む。時には機会がなくても飲む

やっとお酒が飲めるのである。
1ヶ月前に喘息の症状が出て、医者から渡されたその薬を飲むためにお酒が禁じられていた。その1ヶ月も過ぎ、喘息の症状も治ったので薬生活にも今日終わりを告げた。
私はアルコール中毒者ではないので、飲むなと言われれば1ヶ月でも2ヶ月でも半年でも飲まないでいることはやぶさかではないが、でも食卓にお酒がないとちと寂しいのだ。
餃子を焼いたらビールが飲みたいし、肉を焼いたら赤ワイン

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【essay】刹那主義者のゆくえ

【essay】刹那主義者のゆくえ

朝から衆議院総選挙に夫婦で行ってきた。
少なからず、これからの日本の方向性を問われる選挙なのかなと思う。
と、書き出しはとても真面目な国民を装って書いたが、いろいろ疑問もあり、不透明さもあり、やるせないやら、やりきれないやら、うまく表現できないが、そういう気持ちで行ってきた。

選挙が近くなると、街頭インタビューがテレビでよく流される。
特に若い人へのインタビューが多くて、『選挙なんか行かなくても

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【essay】  不即不離

【essay】 不即不離

不即不離が理想である。
それは、そう…もう遠い昔からそうだった。
覚えているのは幼稚園に通っている頃。
スクールバスで通園していたのだが、バスに乗り込むと他の席が空いているにも関わらず、必ず隣の席にすわってくる子がいた。そして甲高い声で話しかけてくるのだ。その子は別に悪い子でもなんでもなく普通の子であったが、私はひとりで座りたかったし、隣に座ってもいいから話しかけないで欲しかったのだ。もし何かの話

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猫の匂いがする枕

猫の匂いがする枕

【essay】 猫の匂いがする枕

我が家にいる9歳になる花という名の猫は、彼女なりにその時々のブームがあるらしく、数ヶ月単位で寝場所を変える。
今年7月くらいまではクローゼットの一角にあるバスタオルの上で寝るのが好きで、花の姿が見えないなと思って探したら必ずそこで寝ていた。
その前はキャットタワーの最上部、その前はテレビ台の下だっただろうか。
リビングにはふかふかの猫用のベッドが置いてあるにも関

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【essay】何者かになりたい、という病

【essay】何者かになりたい、という病

私は平凡な生き方というのが一番好きなのだけど、今の世の中、それは嫌だという方が多いということをうっすらと知っている。
『うっすらと…』というのは、そういう方々とは距離を置いていて、そういう方々と深く話すこともないからという意味だ。
先日、よく聴いているPodcast『となりの雑談』で、まさにこの『何者かになりたい人』のことが話題になっていた。
若い方などは、何ものかになりたいと思ったらなれる可能性

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【essay】 ぱっと咲いて、はいさようなら

【essay】 ぱっと咲いて、はいさようなら

先日から『リュウゼツラン』という植物の花が各地で開花したとかで、各ニュース番組などで取り上げられている。
桜の花の開花時期に日本人が大騒ぎするのは知っているが、リュウゼツランのことは知らなかった。すでにご存知の方はたくさんいらして、写真を撮りに現地に来ている方がたくさんいる。
「本来なら、生きているうちに見ることはできないと思ってましたけど、ラッキーです」と、感慨深げにインタビューに答えてらっしゃ

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【essay】作家の書いたものは、結局、作家の器を超えない。

【essay】作家の書いたものは、結局、作家の器を超えない。


最近、言葉や文章に関して考え込むことが多い。
それは、私が最近言葉や文章を蔑ろにする人によく出会うからだと思う。
この場合の蔑ろにするというのは、ぞんざいに扱うという意味ではなくて、
わかったふりをする人が多いという意味だ。
と、偉そうに言っても私もすべてわかっているわけではない。わかっていないが、わかったふりはしているつもりはない。
わからないものはわからないと正直に言うくらいの素直さは持って

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【essay】 母の残像

【essay】 母の残像

母の日に寄せて…

街を歩けば、花屋の店先にさまざまな色のカーネーションが並び、広告メールには『母の日のプレゼントはもうお決めになりましたか?』という言葉が並ぶ。どちらも悪気があるものではないが、そういう母の日の状況を横目で眺めながら、「後にも先にも、私には関係ないわ」と思う。関係なさを自覚するために、少し早い母への思いを吐露してみた。
これで2024年5月12日は、知らん顔で通り過ぎることにしよ

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【essay】唐十郎という演劇人の死...

【essay】唐十郎という演劇人の死...

5月4日、唐十郎が逝った。

野暮ったい言い方で申し訳ないが…
唐十郎は私の演劇においての父であり、師匠である。
彼の芝居を観て、まだ10代だった私は心が躍り、光を見つけ、いい意味での世の中に対する反骨心が沸々と湧き出た瞬間だった。
その私の人生を変えた唐十郎というひとりの演劇人がいなくなったということの寂しさを、愕然と、唖然と、そして無気力さを感じながら訃報を読んでいる。

紅テントは異様な雰囲

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【essay】 花という名の猫のこと

【essay】 花という名の猫のこと

運命的な出会いというのは、本人が思っているほどドラマチックなことではなく、聞かされる方はどこか胡散臭さを感じることも多いのだが、運命的な出会いというのはこの世に本当に存在するものなのだろうか?
それは人と人だけではなく、人と動物、人と物などでもいいのだが、この人に会うために私は生まれてきたとか、ドラマや映画や小説などで星の数ほど描かれてきている。果たしてそれは本当に運命だったのか、単なる偶然の重な

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【essay】永遠を求めない、スープの話

【essay】永遠を求めない、スープの話

あれは、2024年があけてまだ1週間も経たない時だった。
宅配便で身に覚えのない荷物が届けられて、中身を確認してみると
『おめでとうございます。当選したました』という印刷された挨拶文とともにスープメーカーが入っていた。
その挨拶文を読んでみると、私は半年くらい前に、よく覚えていないが雑誌のプレゼントキャンペーンに応募していたらしく、それの3等が当たったらしい。それがスープメーカーだった。
さて1等

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【essay】 27歳という数字の曲がり角

【essay】 27歳という数字の曲がり角

私はもうとっくに27歳の時期は過ぎてしまった。
過ぎてしまったから、今からあれこれ考えてもしょうがないのであるが、
講談社から出版されている『わたしたちが27歳だったころ』という本を読んでいると、自分が27歳だったころのことをどうしても思い出してしまう。
『25歳はお肌の曲がり角』という化粧品メーカーのコピーが世の中の25歳前後の女性たちをヒヤヒヤさせていた時期があったり、『29歳のクリスマス』と

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映画館の隅っこで、未来をそっと夢見てた

映画館の隅っこで、未来をそっと夢見てた

【映画にまつわる思い出 with WOWOW 参加作品】

少し戸惑っていた。
私は映画に少し戸惑っていた。
今の私の素直にな気持ちである。
ありとあらゆる映画をテレビやスマホで見れる時代になった。
映画好きにとっては最大級の幸せな時代なのかもしれない。
しかし、子供も頃、母に連れられて行った映画館の子供さえも魅了する雰囲気が忘れられない。
重い扉を開けて中に入ると、外の世界と一線を画した世界がそ

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新年、後ろからズドン

新年、後ろからズドン

2024.1.3(水曜日) New Yesr

まずは …
1 月 1 日に発生した令和 6 年能登半島地震によりお亡くなりになられた方へご冥福をお祈り致しますとともに、被災者のすべての方に心より見舞いを申し上げます。

本来であれば「おめでとうございます」と、朗らかに投稿始めをするつもりでいた。
しかし、実際には不穏な新年の幕開けとなった。
元旦に起こった能登半島地震、2日には羽田空港でJAL飛

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