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#西洋美術史
「ヴェネツィア」を作った男カナレット~『カナレットとヴェネツィアの輝き』展内覧会から
SOMPO美術館の『カナレットとヴェネツィアの輝き』展の内覧会を取材。
カナレットは、本文執筆を手がけた『西洋絵画 風景をめぐる12か月』でも3枚ほどの作品について紹介した。
その時は、そこまで思い入れのある画家ではなかったが、今回の展覧会で彼の大きさを思い知った。
カナレットは、一言で言えば、今私たちが思い描く「ヴェネツィア」を作った男だった。
広い青空。
きらめく海の上に浮かぶ建物。
都
未練~ムンク展(2018年)のこと
案件をとれなかった、そもそも「やりたい」と手を挙げず、後になって後悔した展覧会は、少なくない。
2018年の『ムンク展』はその一つだ。
世界で最も知られた絵画の一つ(『名画BEST100』(永岡書店)でも5位にランクインした)である<叫び>のバージョンの一つが展示されることで話題になっており、私も見に行った。
昔、美術史に興味を持ち始めたころは、何となく苦手意識の強かった相手であり、2018年に
国立西洋美術館『自然と人のダイアローグ』から
「絵が光っている・・・」
その作品の前で、思わずそんな言葉が口をついて出た。
テオ・ファン・レイセルベルヘの〈ブローニュ=シュル=メールの月光〉だった。
舞台は夜の港。
ヨットの藍色のシルエットの合間に、点々と見える灯り。空のちょうど真ん中に、ぼうっとした光で表された月が、幻想的な雰囲気を醸し出す。
近づいて見れば、それらは全て点状の絵の具によって描き表されているのがわかる。
使われているのは