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【書評】

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私がこれまで、読んできた本の書評のまとめとなっております。
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記事一覧

#読了 『生成AIと脳』池谷裕二
生成AIと脳の協調性の観点から未来像を考察しつつ生成AIの使いこなし方や生成AI×脳によって生まれる新しい価値観と能力を理解出来る。
技術の進歩に翻弄されないように、私たちの尊厳や文明の築き上げた歴史を守っていく必要がある新たなAI論を学びました。

#読了 『千日の瑠璃』上/下 丸山健二
千篇一律から紡がれる華やかな瑠璃色の花のような散文に心が躍り世間の風潮を無視しつつ我流を貫くきめ細やかな文体に心酔する。
一瞬の内に自然物や動植物たちに命の息吹きを吹き込む筆致は、まさに格調高雅である。
文学の神髄こそ『千日の瑠璃』であった。

【書評】『食べる人類誌』フェリペ・フェルナンデス=アルメスト/小田切勝子=[訳]

【書評】『食べる人類誌』フェリペ・フェルナンデス=アルメスト/小田切勝子=[訳]

人類史において生態学や文化、料理などの繋がりを視野に入れて、栄養学的にも人が動植物を食べることはカニバリズムの必然性にも関わることであり、食べるという行為はもちろん、食す前段階の調理の発明から、食べる為には動物を飼育するという明確な目的や世界各国との文化交流による営みについては食の存在は欠かせないものがあるということを本書から痛感させられました。
‘‘革命’’がもたらす人類と食の深い関わり合いの秘

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【書評】『発酵食品の歴史』クリスティーン・ボームガースバー/井上廣美=[訳]

【書評】『発酵食品の歴史』クリスティーン・ボームガースバー/井上廣美=[訳]

発酵食品というのは、私たちにとっては身近な存在であり必需品でもあります。
食生活の産業化が進むにつれて、発酵食品によって食べ物から利益を得たいという思惑から生まれたものではなくて、食習慣による考え方になるのだが、人々が発酵食品を作り出し、その発酵食品というものが美味しいものだということに気付かされることによって、より美味しいものを食べたい、食べることを楽しもうという考え方が浸透していったという背景

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【書評】『検索から生成へ』清水亮

【書評】『検索から生成へ』清水亮

インターネットにおける検索機能を考える時、検索者である私は自分が調べた検索結果から、自分自身の判断によって意味を決定付ける必要があります。
本書でも人が検索することはなんの為かということについて述べられていますが、欲望(なにかしたい)→検索キーワードを考える→検索する→ページを見て理解する→行動するまでの過程の中で、検索エンジンがやってくれることは‘‘検索する’’ということのみであります。
しかし

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【書評】『「若者の読書離れ」というウソ』飯田一史

【書評】『「若者の読書離れ」というウソ』飯田一史

タイトルにもあります通り、若者を中心とした「読書離れという嘘」については、本書を読めばその通りの内容であることを実感させられました。
中高生はどんな本を読んでいるのか、それと並行して‘‘三大ニーズとそれを満たす四つの型’’という著者の考察が加わり、ヒットした作品における背景や影響について作者自らの理論に照らし合わせながら解説するという内容であり、とても面白く読めました。もともとが本好きか、全く読ま

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【書評】『星を編む』凪良ゆう

【書評】『星を編む』凪良ゆう

約1年前に読んだ凪良先生の長編『汝、星のごとく』からその続編にあたる『星を編む』という作品を読み終えました。
本作は、『汝、星のごとく』前日譚と後日譚にあたる物語であり、前作と繋がっている構成となっています。
『星を編む』は、全中編の三つの物語によって構成されたスピンオフ作品となっています。
「春に翔ぶ」では、櫂と暁海の理解者である北原先生の過去を描いた話であり、明日見という教え子と北原先生を中心

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【書評】『アンリの靴』かわもとまい

【書評】『アンリの靴』かわもとまい

-『アンリの靴』にみる職人と人生の歩み-

職人というものは、何か。
この言葉が私の頭に留まり続けたのには理由がある。
それは、かわもとまいさんという漫画家さんが描いた『アンリの靴』という作品を読み終えたからでありました。
私は普段、活字体の本はよく読みますが、漫画はあまり読まないところがあります。
何故、今回はこの漫画を読もうと思ったのか、たまたま地元の書店で何か面白そうな本はないかと思っていた

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【書評】『観察力の鍛え方』佐渡島康平

【書評】『観察力の鍛え方』佐渡島康平

観察力というのは、どのようなクリエイターにとっても求められる必要なスキルであるということを本書から学びました。
観察という言葉には、物事の状態や変化を客観的に注意深くみることであるという意味合いがあり、観察というものを考える上で著者の考え方についてはとても興味深い一文があったので、ぜひとも引用したいと思います。

思考する上で、観察力を発揮させるために必要なことは以下の三点があり、仮説、観察、問い

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【書評】『喫茶店の時代』林哲夫

【書評】『喫茶店の時代』林哲夫

私にとって、喫茶店という空間で過ごす時間やその店舗にでしか提供されることがない珈琲や軽食を頂くことは人生においても大切なことの一部であり、‘‘喫茶店とは何か’’、あるいは‘‘喫茶店について’’ということをテーマとして語るにはとても壮大なテーマでもあると考えています。
本書では、喫茶店を通して、珈琲や茶の受容史から、明治から昭和にかけての喫茶店の隆盛、変遷などを膨大な資料をもとに引用し、どのような歴

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【書評】『沼にはまる人々』沢木文

【書評】『沼にはまる人々』沢木文

何かにはまって抜け出せないことを‘‘沼にはまる’’ということが広く使われるようになり、メジャーな言葉として浸透していき、あたりまえのように目にするようになったのは、ごく最近のことのように思えます。
沼にはまるというのは、特別なものに夢中になり、深めること、そしてその結果、人生の充実に繋がることで幸福感を得られることは確かなものである。
実際に、私自身も沼にはまることはよくあることなので、本書から多

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【書評】『SNS時代の幸福論』愛沢えみり

【書評】『SNS時代の幸福論』愛沢えみり

幸せの定義、価値基準というものは人によって様々な考え方があります。
SNSの普及に伴い、新しいライフスタイルの在り方が確立されてきて、スマホ一台で私たちの生活は幸福と不幸をもたらす存在へとなりました。
本書の著者はファッションブランドや美容クリニックもプロデュースするマルチなインフルエンサーの一人でもあります。
インフルエンサーは、発言力一つであらゆる影響力をもたらす存在であり、賞賛されることもあ

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【書評】『音楽好きな脳』ダニエル・J・レヴィティン/西田美緒子=訳

【書評】『音楽好きな脳』ダニエル・J・レヴィティン/西田美緒子=訳

読書や映画を嗜む以外にも、私にとって音楽を聴くことは日常の一部でもあります。
本書では、認知神経科学から、音楽を聴く私たちはどのように音楽が心に刻まれるのかという問題を探求するにつれて、多様な視点は、音楽に秘められた特別な力を本書から学ぶことが出来る内容となっており、とても興味深いものでした。
音楽と脳の相互作用による問題において、音楽を聴くことで、私たちの脳はどのような働きが構造的に起こっている

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【書評】『メモ・ノートの極意』弓削徹

【書評】『メモ・ノートの極意』弓削徹

アイデアを発想する、生み出すことで大切なことはメモやノートをいかに上手く活用させるかによって効果が変わってきます。
求められるものは、単純なことでありアイデア発想に必要な型、つまりはフレームワークによる枠組みによるもの。
それ以外にも、ロジカルシンキングやラテラルシンキング(水平思考)と呼ばれる思考法などを駆使することで、アイデア発想は仕組み化され、容易に生み出すことは可能であります。
私が特に本

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