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歌詞の解釈

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2024年9月の記事一覧

「檸檬」(さだまさし作詞)は希望、それとも絶望?

「檸檬」(さだまさし作詞)は希望、それとも絶望?

さだまさしの「檸檬」は、青春や過去の愛、そして時間の流れによって失われていくものに対する感傷が深く描かれた作品です。特に男女の感情の揺らぎや、女性の心情の繊細な変化が、象徴的な言葉で表現されています。以下に、詩全体の解釈をまとめます。

1. 湯島聖堂の石の階段

「或の日湯島聖堂の白い石の階段に腰かけて」

湯島聖堂は学問の象徴としての歴史ある場所であり、ここでの「石の階段」は、時の流れや永遠性

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「檸檬(Lemon)」(米津玄師)喪失感かロマンスか。

「檸檬(Lemon)」(米津玄師)喪失感かロマンスか。

米津玄師の「檸檬(Lemon)」は、深い喪失感とそれに伴う悲しみ、未練、そして忘れられない愛を描いた曲です。この曲は、ドラマ「アンナチュラル」の主題歌であり、特にその背景にある、愛する婚約者が殺されてしまったという裏ストーリーと重なり、歌詞により深い意味合いを持たせています。以下に、歌詞の解釈を掘り下げて解説します。

1. 夢と現実の交錯

「夢ならばどれほどよかったでしょう 未だにあなたのこと

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「ひとり上手」(中島みゆき)決して一人になんてならない。

「ひとり上手」(中島みゆき)決して一人になんてならない。

中島みゆきの「ひとり上手」は、愛する人との別れや孤独をテーマにした歌詞で、主人公がひとりになってしまった心情が深く描かれています。表面的には「ひとり上手」、つまりひとりで上手に過ごしているように見えるかもしれないが、実際はその孤独に苦しんでいる主人公の内面が切実に綴られています。

1. 愛する人を探し続ける孤独

「私の帰る家は あなたの声のする街角 冬の雨に打たれて あなたの足音をさがすのよ」

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「ヘッドライト・テールライト」(中島みゆき)は、未来を照らすのか、過去を振り返るのか。

「ヘッドライト・テールライト」(中島みゆき)は、未来を照らすのか、過去を振り返るのか。

中島みゆきの「ヘッドライト・テールライト」は、人生の旅路を象徴的に描いた詩です。歌詞全体を通して、過去と未来を見つめながらも、旅が続いていくというテーマが繰り返されています。これは、人生の道を歩む人々が、希望や過去の記憶に支えられながらも、終わりのない旅を続けていく様子を表しています。

1. 忘れられていく存在

「語り継ぐ人もなく 吹きすさぶ風の中へ 紛れ散らばる星の名は 忘れられても」

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「修二会」(さだまさし)失われた愛や罪の意識

「修二会」(さだまさし)失われた愛や罪の意識

さだまさしの「修二会」は、奈良の東大寺で毎年行われる伝統的な行事「修二会(しゅにえ)」を背景に、主人公の心情と儀式の壮大さが交錯する内容です。この歌詞は、宗教的な儀式の中で、失われた愛や罪の意識が織り交ぜられた非常に象徴的な作品です。以下、わかりやすく解説します。

1. 儀式と季節の象徴

「春寒の弥生三月花まだき 君の肩にはらり 良弁椿」

この冒頭部分では、3月のまだ肌寒い時期に、東大寺の「

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「この空を飛べたら」(中島みゆき)未練それとも希望。

「この空を飛べたら」(中島みゆき)未練それとも希望。

中島みゆきの「この空を飛べたら」は、失われたものや叶わない夢を追い求める心情と、それでもなお諦めずに前に進もうとする強い意志が込められた詩です。この歌詞は、未練や希望、そして現実の中で感じる限界に対してもがきながら、それでも夢を手放さずにいる主人公の心情が描かれています。

1. 失われた愛と希望への執着

「あの人が突然戻ったらなんて いつまで考えているのさ」

ここでは、主人公が過去の恋愛に対

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「異国」(中島みゆき)アイデンティティ喪失からの脱却。

「異国」(中島みゆき)アイデンティティ喪失からの脱却。

中島みゆきの「異国」という歌詞は、故郷やアイデンティティ、帰属意識に対する深い葛藤と喪失感が描かれています。主人公は、自分が生きてきた町や故郷に対して拒絶され、帰る場所がないという孤独な心情を吐露しています。この歌詞では、故郷への愛憎、存在の根拠を失った不安定な自己、そしてその中で生き続ける葛藤が強く表現されています。

1. 「ふるさと」の喪失

「とめられながらも去る町ならば ふるさとと呼ばせ

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「地上の星」(中島みゆき)は、未来を照らすのか。

「地上の星」(中島みゆき)は、未来を照らすのか。

中島みゆきの「地上の星」は、社会の中で名声や成功に目を向ける一方で、見過ごされ、評価されることのない人々や事象に光を当てる歌です。この詩は、輝かしいものや成功を追い求める人々が、その足元にある「地上の星」、すなわち目に見えない努力や価値ある存在に気づかないまま進んでいく様子を描いています。

1. 見えない存在と見送られない努力
「風の中のすばる 砂の中の銀河 みんな何処へ行った 見送られることも

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「まほろば」(さだまさし)時は無情、そして人生は儚い。

「まほろば」(さだまさし)時は無情、そして人生は儚い。

さだまさしの「まほろば」は、古都奈良を舞台にした歌詞で、移ろいゆく時の流れ、人生の儚さ、そして愛と別れの葛藤が深く描かれています。古典的な情景を織り交ぜながら、人間関係や時間の無情さが詩的に表現されています。この詩の解釈を、主要なテーマごとに説明します。

1. 夕暮れの情景と道の迷い
「春日山から飛火野辺り ゆらゆらと影ばかり泥む夕暮れ 馬酔木の森の馬酔木に たずねたずねた 帰り道」
この部分で

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「明日天気になれ」(中島みゆき)君は、絶望の中でも希望を捨てずに生きることが出来るのか。

「明日天気になれ」(中島みゆき)君は、絶望の中でも希望を捨てずに生きることが出来るのか。

中島みゆきの「明日天気になれ」は、日常に潜む悲観と楽観の狭間で揺れ動く心情を描いた作品です。人間の持つ弱さや諦め、そしてその一方で捨てきれない希望が表現されており、自己矛盾や感情の揺れが繊細に描かれています。以下、歌詞の解説をしていきます。

1. 絶望的観測と慎重な姿勢
「なんにつけ一応は 絶望的観測をするのが 癖です」
歌の冒頭部分では、何事にもまず悲観的に考えてしまうという主人公の癖が語られ

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「エレーン」(中島みゆき)生きていてもいいですか?

「エレーン」(中島みゆき)生きていてもいいですか?

1. エレーンは死んでいるか?

中島みゆきの「エレーン」は、失われた人物、エレーンに対する哀愁と孤独感、そして社会が彼女に対して抱く無関心や冷酷さを描いています。彼女が生きた人生とその影響が、過去に埋もれていく中での人々の反応や、彼女が抱えた深い孤独を歌詞で表現しています。まずは、この詩の解釈をエレーンが死んでいるとして考えてみます。

風にとけていった お前が残していったものと言えば  
おそ

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「世情」(中島みゆき)君は時の流れと戦うつもりかい?

「世情」(中島みゆき)君は時の流れと戦うつもりかい?

中島みゆきの「世情」は、1970年代の社会情勢や時代の流れに対する鋭い観察を元に、時代の変化や不変を求める人々の葛藤を描いた詩です。この詩は、個人と社会、そして時代の流れの中での「変化」と「不変」の対立に焦点を当てており、変わることへの恐れや、変わらないものを求める人々の苦悩が表現されています。

1. 変化と頑固者の悲しみ

「世の中はいつも変っているから 頑固者だけが悲しい思いをする」

この

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