Theレベニュー会議@ updataDX22 振り返りハイライト
ウイングアーク1st主催のビジネスカンファレンス「updataDX22」からはや1ヶ月。興奮冷めやらぬうちに、私が登壇したセッション「Theレベニュー会議」のハイライトをここに残しておきたいと思います。セッションに参加できなかった方はもちろん、セッションに参加してくださった方もおさらいとしてご活用ください。
「Theレベニュー会議」とは
マーケティングやインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなど各組織が事業の収益化に向けたレベニュープロセスの要所を担う事で組織間の連携はますます重要性を増している現在。DX時代の営業組織の在り方や、レベニュー最大化に向けて今、何が重要なのかをBtoBセールス&マーケティング領域の有識者の皆さんと語り合いました。
ゲストの登壇者はアドビ株式会社 祖谷さん、kipplesの日比谷さん、株式会社セレブリックス 今井さんのお三方。
DX時代の営業組織
旧来の営業組織と現代の営業組織はどう違うのか?の問いに、それぞれの立場からの意見が飛び交いました。テクノロジードリブンにすすめた企業が競争優位性を得た時代がありましたが、最近ではその差も縮まりつつある。だからこそ、どういう組織である必要があるか、と逆算的に考えるフェーズに来ているのかもしれません。
祖谷氏:現代は顧客に製品を購入してもらうことだけでなく、製品を使い続けてもらい、顧客がビジネスで成功してもらうという観点が大事になってきている。そのため、旧来型の顧客との接点において営利活動をする営業組織だけではなく、その前のマーケティングも広報も、その後のカスタマーサクセスも含め全社が営業組織として動いていかないと勝ち抜けない時代になってきているのでは。
日比谷氏:顧客とのコンタクトポイントをいかにつくるかという、認知獲得やナーチャリングの段階でも広報も携わるとよりパワフルになるのではないかと思う。
今井氏:営業はこれまで個人戦が主だったのが、現在はチーム戦になってきていると感じる。旧来の営業は個人でトップセールスになることを目指していたが、現在は同じ目標をチームで追うために、顧客情報も共有するし、ひとつの契約をとるためにチームで連携するという流れがごく自然に起こっている。そのため、営業の適性人材も変わってきているのでは。
営業組織におけるデジタルシフトの重要性
横山信弘さんの書籍『新時代の営業「変わること」「変わらないこと」を1冊にまとめてみた』によると、「変わること」の1位は「デジタルシフト」でした。デジタルシフトは、顧客体験の改善、リクルートの観点からみても避けられない課題です。
参加者のみなさんにリアルタイムでアンケートをとったそれぞれのリアルがこちら。
今井氏:デジタルシフトができていないことで、お客様に迷惑をかけてしまう、顧客体験の悪化を招いてしまうという自覚が必要だと思う。むしろ、営業できるステージにすら立てない可能性がある。
祖谷氏:日本の労働人口が減少していく中で、デジタル化されていない職場は若い人に選んでもらえなくなってくると危機感を持った方がよい。いまだに社員のスケジュールの把握がアナログなホワイトボードしかないというような会社には、若者は不安を感じると思う。
ブランドと顧客体験
現代ではCXを意識している会社ほど、顧客の解像度が高くいいモノをつくることができています。突出したプロダクトがあればそれだけでいい時期ももちろんありますが、コモディティ化していくに従ってCXの意識が大切になります。CXを考えるにあたって、ブランドと顧客体験の関係性について現代ならではの視点が語られました。期待値とのギャップが大きければ大きいほど顧客の満足度は下がってしまい、ブランドの価値を毀損してしまうことは、意識すべきことですね。
今井氏:ユーザーが製品やサービスを体験した上で宿るものがブランド。自分たちの一方的な発信だけでつくられるものではない。ブランドは、名と実が常につきまとうということを認識できるかどうかが重要。
日比谷氏:例えば、採用ページでは非常にビジョナリーなことを言っているのに、Webマーケの広告では「釣り広告」のような強引な営業をやっていたりすると、信用できなくなる。だからこそ、現場の営業スタイルとブランディングの歩み寄りが必要だと思う。
祖谷氏:今は業界のボーダーを超えて顧客体験への期待値が上がってしまっている。例えばNetflixで便利なサービスを受けた人が、別の業界のサービスを受けたときに「なんで同じようにやってもらえないんだ」と。
今、顧客の購買決定を左右するもの
営業だけでもなく、マーケティングだけでもなく、広報だけでもなく……顧客とのあらゆる接点が顧客体験をつくるため、ブランドは1日ではつくれません。何年もかけて全社でつくっていくもの。そんな中、顧客の購買決定を左右する最近のトレンドは、「人」がキーワードかもしれません。
今井氏:メルマガでも、検索サイトの検索結果でもジャンクな情報があふれてしまっているため、今、ユーザーの間で“検索疲れ”が起きてしまっている。そこで、「信頼できる人からモノを買う」という現象が起きている。ビジネス面でも「この人は信頼できるから、相談してみよう」という形で案件が生まれたり。だからこそ、啓蒙活動や広報の発信は重要になってくる。
日比谷氏:何かを思い浮かべたときに「あの人」と思い浮かぶ人、ブランドになるという「ソートリーダーシップ」の考え方が大切になっている。そういう人やブランドであると、営業が何度も見込み顧客のもとへ通うコストが下がる。つまり、説明コストが下がる。こういったセミナーなどで登壇することも「ソートリーダーシップ」につながる可能性がある行動。
祖谷氏:BtoBブランドにおいて顧客との接点が最も多いのは営業。だからこそ、営業が体の芯までブランドを理解した上で顧客に接することが大切で、セールスイネーブルメントも重要になってくる。
KPIの在り方
弊社の調査によると73.8%の企業が目標予算と実績をKPIにしていましたが、管理しているKPIは企業によってさまざまであるべきだと考えます。その時、その時で組織が大事にすべきパラメーターが異なるため、KPIはどんどん変わるのが自然なのです。
今井氏:私が担当している企業のほとんどでKPIは異なる。何が重要なタッチポイントか、どこが効いてくるのかは企業やプロダクトによって違うので、当然だと思う。
祖谷氏:近視眼的に評価指標に縛られすぎることは避けなければいけないと思う。そうしないと、例えば営業が期中に締められる案件じゃないと受けないと言い出したりしてしまう。中長期的な全体最適の視点で考えるべきところを、部署同士の利害がダイレクトにぶつかってしまうということ起きてしまう。
久我:だからこそ、全体のマネジメントをする人が必要になる。よい目標設定をたてられるかどうかが重要になる。その目標こそが、組織を動かす。
最後に
日比谷氏:空中戦のコミュニケーションで物事を動かすことが広報の武器。広報の考え方をうまく取り入れられたら、マーケティングもセールスももっと機能すると思う。そのためにはブラックボックスだと捉えられがちな広報業務のプロセスを学んでもらいたい。
祖谷氏:お客様の解像度をあげるためにはデータは必要だが、データをもとにした「アクション」があってはじめてCXは成立する。CXや営業は特定の領域の話だと思われがちだが、実はもう経営全体の話でもある。これからも皆さんとともに学び続けていきたい。
今井氏:DXは人を豊かにするために存在しているはずなのに、取り入れる際に人間関係によって分業化がうまくいかないということがある。つまり、人間関係だけは効率化できない。DXに取り組むからこそ、人間関係の構築に何より熱心に取り組んでいく必要があると思う。
どの項目でも話が盛り上がり、時間が足りないほどに感じた本セッション。話は多岐にわたりましたが、組織間の連携の重要性や全社でCXやブランドをつくりあげていくという本質はどの話題でも貫かれていたテーマでした。このセッションがレベニュー最大化のヒントになれば幸いです。