名言「挑戦をしないことには、別の意味でもっと大きなリスクになる」by孫正義
ビジネスの世界は、ある種のジャングルです。いや、もう少し正確に言えば、生態系の頂点を目指すハイエナが、今日も極端に尖った牙を磨いている舞台とでも言うべきでしょうか。
その中を駆け抜ける孫正義氏が放った名言、「挑戦をしないことには、別の意味でもっと大きなリスクになる」。この言葉を聞いたとき、わたしの中で何かが静かに、しかし確実に崩れ落ちました。崩れたのはおそらく、安泰を求めて漂っていた温室育ちの平和ボケマインド。そりゃあ、挑戦しない方が安全だと考えていた自分が、まさに言葉のナイフで刺されたような衝撃を受けたわけですよ。
でも、ちょっと待って。このフレーズ、ぱっと聞いた感じだけなら「はいはい、ありがちな自己啓発ワードね、おつです」って鼻で笑ってしまいそうな言葉ですよね?挑戦!リスク!安全より攻め!みたいな、薄っぺらい啓発カレンダーにでも載っていそうなやつ。
でもね、さすが孫さん、その「ありがち」の裏には、彼の思想の深淵がしっかり息づいているんです。そしてわたし、理系経営コンサルアラサー女子(ヲタ)、趣味のひとつは哲学的悩みの深掘り。今日はその深淵を覗かせていただきます。ようこそ、大いなる沼に。
そもそも、挑戦しないリスクってなんでしょう?―これは「変化」を前提にした考え方です。世界は変わる。変化は不可避。これをフワッと受け入れるだけじゃなく、身をもって実践しているのが孫正義氏です。彼は黎明期のインターネット市場に飛び込む際、誰もが「リスクしかない」と尻込みする中で、わざわざそのリスクの渦中に飛び込んだ男。なぜなら彼にとって「動かないこと」こそ最大のリスクだったから。進化論でおなじみダーウィンも、こう言いましたよね。「最も強いものでも、最も賢いものでもなく、変化に最も適応したものが生き残る」と。孫氏の哲学はある種これと酷似しています。
ただし、孫氏の哲学にはそこに「遊び」があるんですよね。彼は本当に地球規模でビジョンを描きつつ、その裏側では少年的な遊び心を持っている。たとえば、彼の投資スタイルはハイリスクなものの連続。「失敗したらどうするんですか?」と突っ込まれたとき、彼の答えがまた最高で。「失敗したら次に別のものをやるだけです」と。まるで子供がブロックを崩して新しい形を作るように、挑戦を更新し続ける。挑戦そのものを楽しむ姿勢に、わたしなんかすぐに引きずり込まれる。「いや、あんた天才だからそんな態度取れるんでしょ」ってツッコミたくなるんだけど、自分に置き換えて考えると、意外とそうでもない。
たとえば、会社で新しいプロジェクトを提案するのが怖いとしましょう。「恥をかくかもしれない」「成果が出なかったら叩かれるかも」。わかる、わかるよ。わたしも同じ。でも、それで挑戦しないでいる間に、市場は変わる。競合は進む。そして気づいたときには、自分だけが「そこ」にいたまま取り残されている。これが「挑戦しないリスク」というやつなんです。つまり、動かないことで安心感を得ているつもりが、実は自ら崖っぷちに歩いて行ってるようなもの。
ここで孫氏が教えてくれるのはシンプルな真実。「リスクは、避けられるものではなく、選ぶものだ」ということ。どんな選択にもリスクはつきものだけど、ただ立ち止まるリスクが一番怖い(不作為のリスクとも言えますね)。これはビジネスだけにとどまりません。恋愛だって同じ!草食系男子が勇気を出して告白しなかったら、彼の恋は永遠に始まらないまま腐っていく。ある意味では、フレーム問題(AI界隈で有名なやつね)みたいなものです。どこまで選択肢を広げて考慮しても、動かなければ世界は変わらない。動かなければ、選びもしない未来がどんどん閉じていく。それが「選ばないリスク」という名の罠。
そして、最後に、ちょっと個人的な告白を。わたし、このエッセイを書き始める前、少しだけ怖かったんです。こんな朝から濃いめの艶っぽい文章、誰が読んでくれるのか、引かれるんじゃないか、って。でも挑戦しないで温室に籠もってたら、なにも生まれない。それって、つまらない人生じゃないですか?だからわたしは「投稿する」ボタンを押します。このエッセイという、リスクだらけの暴走列車を送り出すことで、きっと何かが変わる。たとえ一人でも濡れた変態に響けば、それで意味がある。孫さんもきっと、こんなわたしを笑って許してくれるでしょう。
挑戦、怖いよね。でも、だからこそ、楽しいんです。