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五感を使った世界のみかた

イモトアヤコのエッセイ「棚からつぶ貝」のなかで、24時間テレビで目のみえない早絵ちゃんと、キリマンジャロの登山に挑戦したエピソードがのっていた。


そしていよいよ登頂アタックの日。
頂上で朝日を見る為に深夜の出発。真っ暗な中一歩一歩進む。 気温も真冬並みで、道も今までと比べものにならないほど急になる。後ろを振り返ると、早絵ちゃんも必死で一歩一歩進んでいる。 歩いていると段々と空が白み始めてきた。
ギルマンズポイントという場所で御来光を待つことになった。ゆっくりと雲海から太陽が顔を出し、それは強くて優しくて暖かい光だった。

その時だった。
早絵ちゃんが小さな声で「見えた」と言った。
そして太陽の方に手を伸ばし、「暖かい」と言った。その時思った、それ以上でも
それ以下でもなくそれがすべてなのだ。

登頂してもそこからの景色が見られないんじゃないかと、登る前に思っていた私は早絵ちゃんに気づかされた。 今私は早絵ちゃんと同じものを見て、そのあまりにも綺麗な景色に一緒に感動している。 早絵ちゃんは人より目で見ることは苦手かもしれないけど、心で全身で五感で見ているのだ。
そうやってもう一度世界を見てみると、一度見たものでも全く違うものに見えるのだなと、
私は早絵ちゃんと登った2回目のキ
リマンジャロで思った。


“みる“ということ。
私たちは、当たり前のように目に映ったものを、"見た"気になっているだけなのかもしれない。

"みる"ということは、本来、五感を使って感じることなのかもしれない。

大切な人と、隣で同じ景色を"みる"。
感じる。
全身全霊で感じて、思ったことを心で共有していく。

素敵だなって思った。


私も"今"をちゃんと感じて"みて"いこう。



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