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その先にあるもの|詩

その先にあるもの|詩

「その先にあるもの」

鳶の足跡が残るような
柔らかい空にひこうき雲

微かに聴こえてくるのは
きっと何時かしらの約束で
時折、それは
錆びた針の先っぽを感じさせる

護りたいひとがいる
守りたかったことがある

消えそうな心を繋いでいく
その想いの全て
其れが、
どうか愛でありますようにと

いま、がある。|詩

いま、がある。|詩

「いま、がある。」

童子かけまわる黄色い庭先
振り返った空は雨の色

君の歩みの道すがら
小さな鳥の囀ずり流れて
白やの花も咲いていた

漆木の傷の癒えるがごとく
解けた痛みより溢れくる真実

涙のあとには虹がでる
古いひとはよう云うたものと

Conflict|詩

Conflict|詩

「Conflict」

君はもっと自由でいいと思うんだ
もしも笑えなくなったなら

僕のせい
例えば其れが僕のせい

優しい風がそこにあること
否、かつても其処にあったこと
蒼い瞳の少女の願いは
上昇気流に舞い上がる風船のなかで

壊れてしまわないうちに
そう、壊してしまわないうちに

昼さがり|詩

昼さがり|詩

「昼さがり」

みどり薫る音の部屋のなか
冬の風が吹きだまるのを感じる

綴じた目蓋のその向こう側
小指の代わりに瞳を絡めるあの娘たち
空へと向かう微かな口唇と
昊へと伸ばす想いの指さきと

睡気に寄り添った無糖の珈琲に
何気に感じるミルクティーの甘さ
君の夢のなかに生かされている

僕の夢のなか確かに君は生きている

廻る時のなかに|詩

廻る時のなかに|詩

「廻る時のなかに」

独りごちてばかりの夜をめくってみる
いくつの季節を還ったならば
そこに僕らは笑っていたのだろうか

ふたりごちはじめた夜をめくっていく
いくつの時代を描いたならば
僕らは振り向き微笑み返すだろうか

答え合わせなど出来ないままに
いくつもの星が流れていって
すべてを秘めくちを閉ざす月のした
応えなど持たない風は僕らを包み揺れる

果てなき想いと|詩

果てなき想いと|詩

「果てなき想いと」

君の背に乗って何処までも
重くはないかと気にする僕がいる

心地よい温もりと応える心音と
秋を超え冬をも暖めて
ふわり舞い上がる風のように

君が好きだ……
瞳だけがそう語っていた
そう、
其れは誰よりも真っ直ぐな瞳の

二十五時の海|詩

二十五時の海|詩

「二十五時の海」

請負うひとの傷いくつ
ため息ころがる宵の星くず
情けの深いは影つくり
思わず投げた僕の罪

今夜、
眠りし海へと雨が降る
それは琥珀の記憶のように
平気だと笑う
君の嘘を呑み込みながら

夜を航る|詩|collaboration

夜を航る|詩|collaboration

「夜を航る」

夜が降る……

呑み込まれるよりも深く
息苦しさに似た夜が降ってくる

利き手にあるはずの温もりに
伸ばす想いの向こう側
届かず拗ねる指のさきは
その寂しさを埋めるように彷徨う

足りない……

貴方が足りずに溢れた吐息
夜を航る風
昇るより速く貴方に触れたくて
そっと湿った匂い纏わせた

Amu

「夜を航る」

優しく息づかう震えるベッド
穏やかでさえも暗がりは包み込む
ふたつ

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時を越えて|詩

時を越えて|詩

「時を越えて」

夢をみたんだ……
遥か胸ひとつひとつの子守唄

流れる意識のなかに
君のうたが聴こえていた
其れはとても心触りが優しくて
旅の眠りのその先までも
追いかけて行きたいと手を伸ばす

夢をみたんだ……
夕焼けまどろむ砂の浜には
青くて白い扉があって
何時だって君に辿り着けるんだ

杜の欠片|詩

杜の欠片|詩

「杜の欠片」

それは、
ほんの小さな欠片かもしれないけれど

深眠の杜
動かぬ景色に弾けた光の音は
迷うことなく僕の腕を掴んでいた

根拠なんてない
姿なき重さと温もりを宿した欠片は
鈍い叫びと共に還っていった

それは、
小さな切っ掛けかもしれないけれど
杜は
確かなる流れをはじめていた

空があるから|詩

空があるから|詩

「空があるから」

ふと見あげる空に浮かぶ雲は
此処にあるようで在りはしなくて

先刻ゆらいだ確かなる白の
思ほゆ風に触れていたいと僕は云い
姿を変えゆく影を見つめていた

過ぎた其れに揺られること
心、そこに映すこと
ひとは好かんと君はいうけれど

そこに雲があった
それは僕が僕であるための
此処に空があるから
きっとずっと雲は流れ続けている

秋の庭|詩

秋の庭|詩

「秋の庭」

庭の端っこ
黄色い小さなバケツがひとつ
覗き込むと其処は
秋と見紛う香りを吸いこんでいた

ひとさし指で其れを突く
拡がる波紋は行き場を失くして
小さな部屋をカタカタ揺らす

きみは云う、
その想い純粋であるのなら
尚のこと……

日が暮れかけた庭の端っこ
紅くめぐる、秋
静かに見つめる影ひとり

夏の背と触れる瞳に|詩

夏の背と触れる瞳に|詩

「夏の背と触れる瞳に」

わからない、
僕が好きだと言った季節が知りたくて
わからないんだと君は笑った

好きじゃない、
僕の嫌いな香りの後を追いながらも
本当は好きじゃないと君はいう

ぴかぴかの自転車で出掛けよう
迎えの時間すら忘れてしまったけれど

僕に軽くぶつかってから
出会い拍子を拐っていった風
其れが、
何処となく君に似ていた気がして

道化のうた|詩

道化のうた|詩

「道化のうた」

西から昇る月の其れ気まぐれに
道化た唄をうたい続ける

繰りは返したであろう
幾重にもなる影どこまでも深く
伸ばそうにも掠める指の先が
置いてきぼり見つけて立ち止まる

君を奏でる確かなるもの
それは誰にも邪魔はさせない
君を独りにはしないから

だから、今夜は
西から昇る月の此れ気まぐれな
道化た唄を聴きながら眠れ