たみい

エッセイ集『もそっと笑う女2』 日々笑いと踊りを求めて西へ東へ右往左往 京都の西方面に生息中44歳一児母 自分の半径1メートル以内のことしか書けません 好きな音楽はゴスペルジャズソウル 好きな映画は三谷幸喜の『ラジオの時間』

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エッセイ集『もそっと笑う女2』 日々笑いと踊りを求めて西へ東へ右往左往 京都の西方面に生息中44歳一児母 自分の半径1メートル以内のことしか書けません 好きな音楽はゴスペルジャズソウル 好きな映画は三谷幸喜の『ラジオの時間』

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  • おんがくと女

    心の奥がくぅーーっとなる音楽をひたすらあげていきます

  • レコードがある生活

    生活を一瞬で彩るレコードの音と半径1メートル以内の日常

  • こどもと女

    長い人生の中で一瞬のきらめきの日々 泣いたり笑ったり怒ったり どうしたって思うようにならないわたしとこども

  • 映画と女

    胸にしみこんだ映画のあれこれ、忘れがちな女の記録として。

  • わたしのスクラップノート

    気になった文章をどんどんおさめていく書庫

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死者を呼び出す人

私が14歳の春に、たくさんの人に送り出されて17歳で兄はあの世へ行った。 それから一年経ってからだろうか。両親に連れられてある場所へ向かっていた。車中で聞かされたのは「お兄ちゃんを呼び出してもらう」ということだけ。呼び出し?頭の中は謎だらけになった。 到着したのは大きな屋敷。中庭には立派な錦鯉が泳いでいる。見たところ60代くらいのオバハンに「どうぞどうぞ」と、広い和室に通された。入って左側に何やら壮大な祭壇があり、ただならぬ予感がする。 部屋の中央に、両親とわたしは横並

    • 阿闍梨の修行よりきびしい

      6時起床。庭のひいらぎの実が赤く実ってる、もう一年が終わりに近づいてる。膝の手術をしてリハビリ入院中のママ友より、朝一LINEあり。わたしがおすすめして添付した空耳アワーの動画を消灯後にみたら悶絶して笑い死にしそうやった、とのこと(静まった相部屋で笑いを堪えるのは阿闍梨の修行より厳しいと察する)息子は今日学校で卒アル写真の撮影、ということでせっせと髪のセットをしかけたけど、帽子被るし意味ないか、と言ってあっさりと登校。パート仕事、たのしくはたらけた、たのしくはたらこうって決め

      • エモーショナル、そんな音楽をずっときいてたい

        今のようにネットがない時代、ほとんどの音楽はラジオが教えてくれた。あとMTV(!)とか。小学生のころ、はじめてホイットニー・ヒューストンのファーストアルバムを当時カセットテープで聴いて、心の奥の方がくうーーっとなったのを今でも覚えている。エモーショナル、という言葉を当時知らなかったけど、心が大きく揺さぶられるようなそんな感情を人生ではじめて経験した。ラジカセの前で震えるように何度も何度も聴きこんだ。 心がくうーーーーっとなる音楽を死ぬまでずっときいてたい。 はて、なんでこ

        • レコードがある生活21

          6時半起床。レコードは毎朝キューバのイラケレ。何回聴いても飽きないし、気持ちがわくわくする。息子も朝ごはん食べながらノっている。家を出る前「クッキーを食べての致死量は?」と聞いてきた。1000個、と適当に答えたら「3000個」らしい。いや、千も三千も一緒やろ。15枚くらいで吐きそう。てゆーかこの質問なに?昼から踊りの練習。来年の新年会の踊り。70代、80代の世代がいちばん元気。信じられないくらい元気。彼女たちを見てたら日常の小さな悩みなんてどうでもよくなる。もういろんな意味で

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          こわい、を乗り越えたい

          わたしが初めてコンタクトをつけたのは高校を卒業してからだ。病院へ行き、装着する練習するもこわくてまったくつけられない、結果、「じゃ、家でがんばって」と帰された。家で泣きながら、そして腰ひけながら練習してやっとつけられた。 小6の息子はふだんはメガネで、ラグビーをするときだけ裸眼。ずっと本人は「視えているから」と言い張ったが、いろんなコーチからコンタクトを考えてはどうかと言われ続けていた。ぼんやりした視界よりはクリアな視界でやった方がぜったいにプレーが違ってくる、と。競技用ゴ

          こわい、を乗り越えたい

          たのしい、働きかた

          むかし、あるママ友がインド料理屋でバイトして非常に驚いた、ということを話してくれた。12時過ぎて店が混み合う時間になると、厨房が慌ただしくなると思いきや、彼らは踊りだすのだという。楽しげに。なにも焦らないし、みんな笑ってる。彼女はポカンとしたという。 以前ニュージーランドで働いていたことのある知り合いが教えてくれた。彼女が日本モードで一生懸命働いていると、「がんばりすぎやで、コーヒーでも飲んでリラックスしいや」と、ちょこちょこコーヒーブレイクが入るのだという。とにかくがんば

          たのしい、働きかた

          こいつ好きやわ〜

          息子の友達がうちに何人か集まってるときに、ひとりの子が「こいつ好きやわ〜ゲームも強いし、おもろいし、なんかいるだけで場が盛り上がるってかんじ!」と目の前の子を絶賛したら、その相手の子は「うん、いつでもめちゃちゃ楽しい!って思いながら生きてる!」みたいなことを言っていた。 なに、そのすてきな会話、台所で思わず手を止めちゃったじゃないか。

          こいつ好きやわ〜

          映画『サムサフィ』/もう、うんざりした毎日。

          『サムサフィ』(1992年/ヴィルジネー・テヴネ監督作品/日仏合作) この映画はたしか、20代前半のときにツタヤでレンタルしたのが最初の出会いで(当時はVHSだった!)、すぐにだいすきな映画だ!と、一目惚れして、何度も借りた。そのうちレンタル棚から商品が消えていた。その後も作品のイメージがずっと焼きついていて、何年か後にDVDをネットで検索したらすでに廃盤、中古市場で高額で出回っていてもう悪意としか思えない状況にがっかりして、この映画は記憶の端っこに追いやられていった。唯一

          映画『サムサフィ』/もう、うんざりした毎日。

          わたしのスクラップノート4/田辺聖子

          こちらのシリーズです!延々と個人的なスクラップをまとめておくための場所。 田辺聖子さんのなんともやわらかい文章がすきだ。ただ頼りないやわらかさじゃなく、しなやかさの中の強さがあって、強いけれど刺々しくない。

          わたしのスクラップノート4/田辺聖子

          生活をする、ということ

          なにか特別な場所じゃなくても、あ、おもしろいとか、いいなあと気づく瞬間はたくさんある。 スーパーも、その宝庫だ。 カートを押していて商品が入ったカゴにぶつかって、見事に全部ひっくり返してしまったとき、そばにいた女性がすぐに駆け寄ってほとんどを拾ってくれて、お礼をいうと、「いいのいいの、ぶつかっちゃうよねえ、よくある〜」と言いながら何事もなかったように立ち去っていった。躊躇なく人を助ける、ということが体に染み込んだ人だと思った。そういうひとのさりげない善意に触れたとき、心がぽ

          生活をする、ということ

          わたしのスクラップノート3/有馬真喜子

          こちらのシリーズです!延々と個人的なスクラップをまとめておくための場所。 ジャーナリスト、有馬真喜子さんのこのエッセイは、ポール・オースターの『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』と同じくらいだいすきで、ある人間の哲学、生き方がギュッと凝縮されてるあたりに惹かれる。 では、どうぞ〜。

          わたしのスクラップノート3/有馬真喜子

          宇宙とポケカとラグビーと。

          7時半起床。何度もスヌーズ機能のアラームを消すの繰り返しの末、この時間。パッと目覚められる人がうらやましい。レコードをかけようと思ったら息子が起きてきて、昨日の続きの図鑑『宇宙』のDVDが観たいというので流す。宇宙飛行士の大西卓哉さんのインタビューを興味深くみていた。一人一人が主人公、宇宙飛行士だけが主役なんじゃなくて大きなチームの一人一人が主人公であることが大事。わたしの中の盆踊り感と一緒で感動する。宇宙も盆踊りも一緒やとひとくくりにするには雑だろうか。はて、無重力空間って

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          ひまつぶし夫婦

          ラグビーは冬がシーズンだが、付き添いの保護者にとっては地獄の時期だ。まだ夏のほうがいい、冬は寒さでからだが縮こまり、帰宅してからどっと疲れて使いものにならない。昼に練習から帰宅し、昼飯を息子に食べさせ、ほっとしたら、どーっとからだが重くなってこたつで寝た。いうてる間に義母が来て、お茶とお菓子を出して、おしゃべり。おかあさん聞いてください、四十肩やったんですよ!と加齢トークを炸裂しようとすると、それを50倍上回る義母の加齢トークが炸裂し、一瞬でわたしの四十肩は遠く彼方の銀河へ消

          ひまつぶし夫婦

          わたしのスクラップノート2大庭みな子/中山あい子

          こちらのシリーズです!延々と個人的なスクラップをまとめておくための場所。 お二人とも戦前生まれの方だが、凛として潔くて、読むだけで、すうっと流れていくようで、そっと傍に置いておきたい文章。 では、どうぞ〜。

          わたしのスクラップノート2大庭みな子/中山あい子

          レコードがある生活20

          6時半起床。バナナパンケーキを焼く。レコードを選ぶ。最近よく選びがちなものに偏ってきてるなあ、と思ったので(ちなみに家にあるレコードのほとんどは夫のものである)、ぜんぜん触れたことないものに触れてみよう、となんとなく選んだのがサン・ラ。ジャケットからして宇宙的、タイトルもTHE HELIOCENTRIC WORLDS OF SUN RA、ヘリオセントリック=地動説!音を流すとフリージャズ?即興音楽?興味が深すぎてすぐには理解できなけど、理解しなくてもいいのかもしれない。この地

          レコードがある生活20

          ふゆの風物詩、こたつにみかん

          夕方、夕飯の仕込みをする。息子の皮膚科受診があるので帰りは遅いと見込んで。汗だくで息子帰宅。何して遊んでたのと聞くと、バスケ、おにごっこ、マラソン大会。え、その組み合わせなに。皮膚科へ。すでに待合室は混んでいた。順番は13番。乳幼児の子ども多く、時間が経つごとにぐずりだしている。ふと息子をみると、すんとした顔でテレビを見て待っている。前に来た時は半年くらい前だったか。「まだ?いつ帰れるの?お腹すいた、早く帰りたい」このループを延々に繰り返し、こっちがイライラしていた記憶だが、

          ふゆの風物詩、こたつにみかん