たみい

エッセイ集『もそっと笑う女2』 日々笑いと踊りを求めて西へ東へ右往左往 京都の西方面に…

たみい

エッセイ集『もそっと笑う女2』 日々笑いと踊りを求めて西へ東へ右往左往 京都の西方面に生息中 好きな音楽はゴスペルジャズソウル 好きな映画は三谷幸喜の『ラジオの時間』

マガジン

  • いつかの街の人たち

    人生ですれ違った愛すべき人たち。個人的観察ノート。

  • 盆踊りに取り憑かれた女

    なぜ盆踊りなのかをつらつらと語ります

  • 【旅行記】アフロ・イン・パリ

    初めての海外旅行がフランスだった 20歳だった私はアフロを揺らしながらパリの街を歩く 写真は一枚も撮っていない 思い出は眼球の中に焼き付けられた

  • 私が西加奈子に出会うまで

    ひょんなことから西加奈子の本と出会い とうとうご対面するまでの記録 生きてるうちに出会えて嬉しかった作家 我らが西加奈子

最近の記事

  • 固定された記事

死者を呼び出す人

私が14歳の春に、たくさんの人に送り出されて17歳で兄はあの世へ行った。 それから一年経ってからだろうか。両親に連れられてある場所へ向かっていた。車中で聞かされたのは「お兄ちゃんを呼び出してもらう」ということだけ。呼び出し?頭の中は謎だらけになった。 到着したのは大きな屋敷。中庭には立派な錦鯉が泳いでいる。見たところ60代くらいのオバハンに「どうぞどうぞ」と、広い和室に通された。入って左側に何やら壮大な祭壇があり、ただならぬ予感がする。 部屋の中央に、両親とわたしは横並

    • そして今日もよくやってるよ。

      小学校の授業参観へ。全力で手を振るも、息子安定のガン無視。負けじとガン見。今の小学生たちはタブレットを使って資料を作り、プレゼンする。もう時代が違いすぎて何が何やら。 知ってるママさんたちと挨拶しつつ、10月に舞台があるため踊りの練習へ。先頭に任命されたので気が抜けない。二番手三番手の方が楽だ。群舞で先頭は毎回プレッシャー。ぜったいにトチれないやつ。なのに先生は大きな舞台がある度に、先頭に任命してくる。だからもう練習だけして何も考えずにやると決めている。練習は裏切らない。あと

      • ずっと父を恥じていた

        父親は肉体労働に従事していたので、肌は日に焼けて真っ黒だったし、毎日、汗と土の匂いがした。母が毎日こしらえていた弁当には塩鯖が盛り付けられ、面積の広い白米の真ん中には大きな梅干が鎮座していた。汗をかくので塩分多めだ。 休みになると、決まって畳にゴロリと寝転がって、呑気な顔でテレビを観ている。その姿を見て、こんなつまらない大人になりたくないなあと心底父を見下していた。 時々母は、「お父さんは毎日一生懸命仕事をしてるし、ギャンブルもしないし、真面目で誠実な人だ」と誇らしげに語って

        • PTAの祭の会議だった。夕方5時半に学校へ行き、帰宅したのは9時だった!で、その祭の司会を頼まれた。その後盆踊りも演者として踊る。確か一カ月前に職場でも同じようなことを頼まれてしていた。毎月司会しながら踊ってる。わたしの人生、おめでたくて仕様がない気配。

        • 固定された記事

        死者を呼び出す人

        • そして今日もよくやってるよ。

        • ずっと父を恥じていた

        • PTAの祭の会議だった。夕方5時半に学校へ行き、帰宅したのは9時だった!で、その祭の司会を頼まれた。その後盆踊りも演者として踊る。確か一カ月前に職場でも同じようなことを頼まれてしていた。毎月司会しながら踊ってる。わたしの人生、おめでたくて仕様がない気配。

        マガジン

        • いつかの街の人たち
          36本
        • 盆踊りに取り憑かれた女
          10本
        • 【旅行記】アフロ・イン・パリ
          5本
        • 私が西加奈子に出会うまで
          5本

        記事

          あの人を引き寄せて

          昔、「引き寄せ」と言う言葉が流行ったが、漫画みたいな出来事に遭遇したことがある。 それは20年くらい前。友人と梅田のヨドバシカメラに入っているカフェでタルトを食べていた。 なぜか美輪明宏の話になり、彼女は「美輪さん大好きやねん!会いたいわ〜!」と言い出した。私も『ヨイトマケの唄』に涙し、ファンだと話した。 その数時間後。 確かハービスENTの地下をうろついているときだ。 飲食店を物色している最中、視界に金色に輝く何かが入ってきた。 ピカピカと光っていて眩しい。 ピカチュウ

          あの人を引き寄せて

          これが人間だ

          前働いていた高齢者施設で、70代の若い入居者がいた。武道をしていたので筋骨隆々だ。カラオケが好きで、「うまい!」と褒めると頭をかきながら「たはーっ」と喜ぶのだ。それが少年のようなとてもいい笑顔で、飲み屋にいそうな調子の良いおじさん、と言う感じだ。 しかし帰宅願望が強くなると、彼は暴れた。大声で、椅子を放り投げたり、壁を殴り、その勢いのまま迫ってくるので、何度も「あ、殺される」と思った。 そういった行動が頻繁に起こると、やがて精神の薬が処方され、穏やかになった。静かだが、いつも

          これが人間だ

          私たちは本当によくやっているよ。

          五時半起床。六時半に息子を叩き起こす。荷物用意。七時半に家を出る。九時から交流試合。場所は中学のグラウンドなので、土ほこりがすごい。 アップ始まって数分で、子供たちのジャージが砂で茶色になっている。湿度最強、じっとりした盆地的暑さで子供たちの顔が徐々に歪み始めている。試合、全力で応援。終了すると全身砂まみれの少年たち。手洗い場で洗って着替えてくるも、砂が落ち切れていなくて、それで阪急に乗って帰るのか〜と思うと、うんざりするが、自分の黒い靴も砂で真っ白になっていて、うんざりした

          私たちは本当によくやっているよ。

          もう十分によくやってるよ

          朝からラグビー練習。水筒、スクイーズ、大量に氷を入れて用意。猛暑日により子供たちがバタバタと倒れる。我が息子も。日陰に寝かせてアイシングして、母たちみんなでうちわで仰ぐ。冷えたポカリスエット子供たちコーチ陣に配る。三時間の練習終わり、帰宅し、息子がシャワー浴びてる間に、庭でジャージの砂を洗い流し、ヘッキャや帽子やら洗濯機回す。急いでおあげさんきざんで、半熟卵つくり、冷やしたうどんにネギのせてぶっかけたぬき。うまいうまいと食べる。 しばらく休憩して、3時から別の習い事の送迎。一

          もう十分によくやってるよ

          自分の追い風をみつけて

          生きていて、ある事柄に対して、なんか知らんけど勝手に情報やら物やら誘いなどが勝手に集まってきて、「追い風やわ〜」と思う瞬間ってないだろうか? 目に見えないがそういう流れみたいなものを感じるとき。 最近では「着物」である。 踊りを始めてから、どんどん集まってくる。ものすごく上等なものから、化繊まで、周囲の人たちがたくさんくださる。小物類も一通り揃ってしまった。 着付けもちゃんと習ったことがないので、いい加減。だから周囲の着物好きの人たちから、いつも背中の皺を伸ばされるし、帯も

          自分の追い風をみつけて

          7年前のnoteの記事を眺めて

          長らく横目で見て見ぬ振りしていた、マガジン機能を活用するために、過去記事を読み直した。 自分の記事ながら、クスッと笑ったり、ほう、と唸ったり、一々忙しい。このnoteの1番のファンは自分なのだ。自分の中のもう一人の読者が、「あんたの記事好きやわ〜」とか、「今回はイマイチやったな」とか、近所のおばちゃん的ノリで言ってくれる。総じて、「よう、書いてる!」だ。基本甘めにいつだって、褒めてくれる。だから、続けているのかもしれない。 息子が小さい時の記事で、ああ、この瞬間は死ぬ前にも

          7年前のnoteの記事を眺めて

          本日も小学生男子たちのけたたましい笑いが家中に響き渡る。ゲームとかくれんぼを9:1の割合でやった結果、かくれんぼが最高に楽しいそうだ。 五分間のかくれんぼが楽しいって君たち来年中学生だよね?楽しいなら、いいけどさ!

          本日も小学生男子たちのけたたましい笑いが家中に響き渡る。ゲームとかくれんぼを9:1の割合でやった結果、かくれんぼが最高に楽しいそうだ。 五分間のかくれんぼが楽しいって君たち来年中学生だよね?楽しいなら、いいけどさ!

          女性らしさという儀式を演じ続ける女

          もう何十年も前、両親と私とで初詣に行った時のことだ。 授与所で、お札か何かを買おうとしていた。 値段はそれぞれ違う。高いものか、安めのものか。 父は「どれがいいだろう」と母に一瞬相談した。 母は落ち着いた顔で、「お好きなものをどうぞ」と言った。自分の意見など言わずに父に判断を委ねたのだ。 それを見ていた受付のおばさんが、私の顔をチラリと見て、こう言った。 「素晴らしいお母さんだよ。見習うべきだ」 私はその意味が全然理解できなかった。母の態度のどこが素晴らしかったのか。一歩下が

          女性らしさという儀式を演じ続ける女

          イッセー尾形の舞台を死ぬまでに一度は見ておきたい②

          イッセー尾形を初めて目撃したのは、笑っていいとも!のテレホンショッキングだったと思う。海外公演の話かなんかをしていて、子どもながらに「この人はテレビ俳優っていうより、舞台コメディアンの人なんだろうな」と印象を受けた。 テレビで見かける機会は少なかったのだが、10年ほど前にたまたま見ていたドラマに登場した。 村上龍原作の『55歳からのハローライフ』という1話完結のドラマである。 50代、60代の人々の、定年、リストラ、早期退職などの転機をテーマに5編あったのだが、私が見たのは、

          イッセー尾形の舞台を死ぬまでに一度は見ておきたい②

          息子(小6)の友達が家に遊びに来るたびに、声変わりしていることに気づく。え、声変わってるやん・・と心の中で思うも、「お菓子たべや〜」とお菓子を出す。大乱(スマブラ)を狂ったようにしている小学生たち。あれ、何が楽しいの?

          息子(小6)の友達が家に遊びに来るたびに、声変わりしていることに気づく。え、声変わってるやん・・と心の中で思うも、「お菓子たべや〜」とお菓子を出す。大乱(スマブラ)を狂ったようにしている小学生たち。あれ、何が楽しいの?

          イッセー尾形の舞台を死ぬまでに一度は見ておきたい①

          たまたま通りかかったお店のショーウィンドウに、ポスターが貼られていて、2度見した。 見ると公演名が、『イッセー尾形の右往沙翁劇場in京都』とある。 うおうさおう・・ ご存じではないかもしれないが、本ページのプロフィール表記に 「日々笑いと踊りを求めて西へ東へ右往左往」と紹介文を載せている。 右往左往は自分の人生を表していると言っても過言ではない。このフレーズを出されては、もうお手上げだ。 すぐにチケット情報を調べる。すでに完売の日もあるが、平日の夜の公演ならまだ空きがある。急

          イッセー尾形の舞台を死ぬまでに一度は見ておきたい①

          京極夏彦と晴明神社

          晴明神社に行った。 陰陽師、安倍晴明が祀られているあの、神社である。 有名なので知ってはいたのだが、そこを目指して行ったわけでなく、たまたまた通りかかった先にあったので、まあ、行ってみるかくらいの大変軽い気持ちで向かった。 参道を通り、手を洗い、まっすぐに本殿へ向かう。 女性二人が熱心に拝んでいる。 お賽銭を入れ、手を合わせる。昔は我欲むき出しで願い事をしていたのだが、ほとんどそれは叶うことはないと途中で気づき、最近は家族や人のための願いごとか、日々のお礼みたいな簡単なこと

          京極夏彦と晴明神社