アメミヤ

鉄道会社に勤務。マーケティングや広報に携わった経験があるが、これといって知識があるわけ…

アメミヤ

鉄道会社に勤務。マーケティングや広報に携わった経験があるが、これといって知識があるわけでもない。プライベートでは一児の父。 「noteは連載長編小説に向かない」と言われつつも、コツコツとupしてます。少しでも読んでくださる方々に感謝の日々です。

マガジン

  • 日常で思うこと

    過去のこと、これからのこと。 頭の中で浮かび上がったものを書き記しています。

  • 【小説】白い世界を見おろす深海魚

    広告代理店に勤める新卒2年目の安田は、不得意な営業で上司から叱られる毎日。一方で同期の塩崎はライター職として活躍していた。 長時間労働・業務過多・パワハラ・一部の社員のみの優遇に不満を持ちつつ、勤務を続ける2人はグレーゾーン(マルチ)ビジネスを展開する企業『キャスト・レオ』から広報誌を作成する依頼を高額で受ける。

最近の記事

  • 固定された記事

(日常で思うこと)彼女の好きな唄と孤独感

妻と子どもが寝静まった頃、BSでエレカシの宮本さんが出演している特集番組とフェスの演奏を立て続けに観た。 このバンドの曲を聴くようになったのは、社会人になって2年ほど経った時のこと。きっかけは忘れたが、不器用な男のもがいている姿が実直に語られていて、それを自分自身と重ねることが多かった。 あの頃、ぼくは毎日のように怒鳴られ、貶され、学生時代に作り上げてしまった無駄に高い自尊心を踏みつけられていた。 勤め先からの帰り道、イヤフォンから彼らの曲を体内に取り込みながら、繁華街を

    • 【小説】意味を持たない海(後編) (サラとの1か月間~14日目~)

      前回までの話 1. 傷に触れない (サラとの1か月間~6日目~) 2.時間の概念と隣町のコロッケ (サラとの1か月間~13日目~) 3.嘘に満ちた世界で (サラとの1か月間~10日目~) 4.意味を持たない海(前編) (サラとの1か月間~14日目~) 概要 元同僚のサラは新卒2年目にも関わらず、容姿と卓越したコミュニケーション能力で人脈を広げ、職場内での地位を確立してきた。高級ブランドのバッグ、アクセサリーを身につけ、上司だけでなく新興企業の経営者や有名デザイナー、御曹司を

      • 【小説】意味を持たない海(前編) (サラとの1か月間~14日目~)

        前回までの話 1. 傷に触れない (サラとの1か月間~6日目~) 2.時間の概念と隣町のコロッケ (サラとの1か月間~13日目~) 3.嘘に満ちた世界で  (サラとの1か月間~10日目~) 概要 元同僚のサラは新卒2年目にも関わらず、容姿と卓越したコミュニケーション能力で人脈を広げ、職場内での地位を確立してきた。高級ブランドのバッグ、アクセサリーを身につけ、上司だけでなく新興企業の経営者や有名デザイナー、御曹司を相手に会員制のレストランでの会食、イベントでの接待をこなす日々

        • 【小説】嘘に満ちた世界で (サラとの1か月間~10日目~)

          前回までの話 1. 傷に触れない (サラとの1か月間~6日目~) 2.時間の概念と隣町のコロッケ (サラとの1か月間~13日目~) 概要 元同僚のサラは新卒2年目にも関わらず、容姿と卓越したコミュニケーション能力で人脈を広げ、職場内での地位を確立してきた。高級ブランドのバッグ、アクセサリーを身につけ、上司だけでなく新興企業の経営者や有名デザイナー、御曹司を相手に会員制のレストランでの会食、イベントでの接待をこなす日々。多くの人間が羨む生活を送っていたかのように見えた。だが

        • 固定された記事

        (日常で思うこと)彼女の好きな唄と孤独感

        マガジン

        • 日常で思うこと
          11本
        • 【小説】白い世界を見おろす深海魚
          87本

        記事

          【小説】時間の概念と隣町のコロッケ (サラとの1か月間~13日目~)

          前回までの話 1. 傷に触れない (サラとの1か月間~6日目~)  冷蔵庫の奥底には、しおれたプラムが転がっていた。  路肩でしゃがみこむ老婆のように萎れていて、冷たい。指先に力を入れると、自らの役割を思い出したかのように、薄皮の割れ目から汁を吐き出す。 甘い香りが鼻先に漂う。  過去に付き合った女性を思い出した。  顔や名前は覚えていないのに、彼女の香りだけは思い出せる。時の流れは不思議だ。自分勝手で横暴だけど、たまに優しさを示す。 「この前、主任が言っていたよ。この世で

          【小説】時間の概念と隣町のコロッケ (サラとの1か月間~13日目~)

          【日常で思うこと】新入社員の笑顔2

          前回に引き続き……新入社員のOJTに気忙しい日々を過ごしている。 業務時間の8割は顔をこわばらせていた彼女も、少しずつ仕事に慣れてきたようで、喋り方に自信がついてきた。 こういうとき、ぼくは他の社員がいる前で大袈裟に褒めるようにしている。 それが同じ部署の上司や先輩社員の耳に入り、彼女の評価につながるから。   もちろん褒められることばかりではない。 むしろ他の新入社員に比べてミスが多い。 「大丈夫? 疲れてんじゃない」と訊くと、眠そうな顔で「疲れていません」と意固地になる。

          【日常で思うこと】新入社員の笑顔2

          【日常で思うこと】新入社員の笑顔

          新入社員の教習をすることになった。 40歳を越えたおっさん社員のぼくと、学校を出たばかりの(多分)社会の汚れを知らない若者がペアで約2ヶ月間、OJTで家族より長い時間を過ごすことになる。 単独行動が好きなぼくにとって苦行だ。 新入社員にとっても、辛い時間になると思う。 お互い性格や価値観が合わないと、かなりのストレスになる。 実際に、この時期に辞めてしまう新人は多いらしい。 無責任な意見だが、ぼくとしても新人教育は進んでやりたいと思わない。 無駄だと思っている規律や社内

          【日常で思うこと】新入社員の笑顔

          【小説】傷に触れない (サラとの1か月間~6日目~)

           そもそも誰かを好きになったり、愛おしく想ったりすることなんてあるのだろうか。 随分前に巷に流れていた ーー別れた後も、あなたのことを今でも思い続けている  なんて、ラブソングもただ煩わしいだけだという印象しか持てなかったし、記憶をなくしていく恋人との葛藤を描いた映画がヒットしたのも、いまいち理解できないでいた。 「面倒くさい」と、つぶやくサラの体温をぼくは背中で感じていた。 「感動できることを、誰かに試されている気がする」  背中を合わせて過ごすには暑すぎる季節だった

          【小説】傷に触れない (サラとの1か月間~6日目~)

          【日常で思うこと】劣化する自分へ

          コロナ禍で外出する機会が減っていた反動だろうか。 最近、妻は毎週末のように出掛ける。 推しバンドのコンサート(L'Arc〜en〜Ciel)や友人との会食、所属している業種の勉強会(を兼ねたパーティ)など。本人は外出中に子どもの面倒を見ている夫に後ろめたい気持ちもあるようだが……僕は全然気にしていない。 むしろ人は、たまに日常とは少し離れた体験をして刺激を得た方が、生きる活力にもなるし、精神も安定すると思う。 妻も「ハイドに逢うから」と、気合を入れて化粧をする様子が微笑まし

          【日常で思うこと】劣化する自分へ

          【小説】弱者の嘲笑

          一部事実に基づいた内容を記載しています。 今回は、読者を絞らせていただくため、有料とさせていただきました。 ご容赦ください。 「もう時効だろう」なんて、バカなことを言っていたよなアイツも。 俺も気持ちが分かるよ。 でも、アイツが犯した罪に時効なんてものは多分ないよ。 ただ、あの醜い過去を葬りたい気持ちはあったんだ。 それは断言できる。 だからこそ、インタビューでは償うことのできない“罪”としてではなく、滑稽な武勇伝として応えるしかなかったんだ。 それにしても、今夜は蒸し暑

          ¥300

          【小説】弱者の嘲笑

          ¥300

          【小説】ハンバーガーと棺

          マクドナルドの店内は、火葬場とよく似ている。 制服に身を包んだ従業員たちの動きをカウンター越しに眺めて、コウキはそんなことを思った。 サッカーのフォーメーションのように、対角線上に配置されている人員。 人間工学に基づいて設計された厨房内で、次々と入ってくるオーダーを規定通りに ……というよりも、機械的に処理する光景。 それは一切の無駄が省かれた洗練された建築物のような魅力があった。 彼は、いつもビックマックセットを注文する。 この効率的な動きを長い時間見ることができるから

          【小説】ハンバーガーと棺

          【日常で思うこと】夢の父

          こういったことを記すのも憚れるかもしれないが、父の命はそう長くない。 今年の春に癌が見つかり、今では病室のベットで寝たきりの日々。 食べることも話すこともできず、ほとんど寝て過ごし、たまに目を開けるが虚空の天井を見上げているばかりだ。 大食漢で自転車や山登りを好むエネルギーの満ちた父には、もう会えない。 でも、大きな身体と太い腕に捕まって遊んでいた幼少期の記憶がこびりついていて、枯れ枝のように細くなった彼の姿もどこか非現実的に感じる。 先日、見舞いに行った日の夜、父の夢

          【日常で思うこと】夢の父

          【日常で思うこと】去っていくひと

          またか…… 前の部署で一緒に仕事をしていた後輩から連絡がきた。 どうやら会社を辞めるらしい。 人材不足、転職ブームとかの影響で、 ここ2、3年で社内の親しい人たちが次々と去っていく。 純粋にキャリアアップを目的とした退社なら喜ばしいけど、 彼女の場合は少し違うみたいだった。 「専門知識を活かせる業務を狙っていたんだけど、なかなか上手くいかなくて……」 オフィス近くのカフェで、彼女は話してくれた。 憂鬱な気持ちを溶かすように、アイスコーヒーに浮かぶ氷をかき混ぜる。 彼

          【日常で思うこと】去っていくひと

          【日常で思うこと】ちょっと変な人

          出会いがなくなった …といっても、恋愛を対象とした人物ではない。 ここ数年 “ちょっと変な人”と偶然会うことがなくなっていた。 この「ちょっと」というのが大事で、単なる“変な人”だと、大体安い飲み屋やいかがわしい店が立ち並ぶ通りへ行けば高確率で遭遇できる。 でも、“ちょっと変な人”は、大多数が経験しづらい過去を持っていたり、職業や肩書だけでは表せられないクセのようなものをもっている。 一見普通だけどコミュニケーションを取る内に、家庭や会社といった身の回りにいる人たちとは違う

          【日常で思うこと】ちょっと変な人

          【日常で思うこと】カブトムシのしげる君

           夏休みに入る頃、小学校1年生の息子がカブトムシを拾ってきた。 「学童の友達からもらった」といって、ぼくを見上げる。  その目は何かの決意と懇願の意思が感じられた。彼が両手に持った3/4ほど切り抜いた牛乳パックの底には、小さな黒く光沢のある殻を背負った生き物。 「これ、飼う」  虫嫌いな自分が恐れていた言葉が出てきた。予想はしていたけど…  すでに妻がホームセンターで飼育に必要なもの一式を購入して、カブトムシが生活するために必要な情報をネットで調べていた。 「ペットを

          【日常で思うこと】カブトムシのしげる君

          ようやく、まとめました

          久しぶりの投稿です。 先月まで連載していた小説『白い世界を見おろす深海魚』をマガジンでまとめました。多少、読みやすくなったと思うので、覗いてみてください。 今まで、記事に直接リンクを貼っていましたが、マガジンがした方が楽でしたね。 いまだnoteを使いこなせていませんが、引き続き作品を投稿していきたいと思います。 なかなか頭の中のストーリーがまとまらず、苦戦していますが…… 現在、短編と長編を一作ずつ書いています。

          ようやく、まとめました