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【小説】弱者の嘲笑

一部事実に基づいた内容を記載しています。
今回は、読者を絞らせていただくため、有料とさせていただきました。
ご容赦ください。



「もう時効だろう」なんて、バカなことを言っていたよなアイツも。
俺も気持ちが分かるよ。
でも、アイツが犯した罪に時効なんてものは多分ないよ。
ただ、あの醜い過去を葬りたい気持ちはあったんだ。
それは断言できる。
だからこそ、インタビューでは償うことのできない“罪”としてではなく、滑稽な武勇伝として応えるしかなかったんだ。

それにしても、今夜は蒸し暑いな。
ひどく喉が渇く。
これで、5本目のビールだ。いや、6本目かな。
カセットテープって覚えているか?
見たところお前も俺と同じ年代だから分かるだろう。
テープがクルクル回って音楽が流れるヤツ。
たまに歯車に引っかかって、だらしなく伸びて……
俺の頭の中もこんな感じだ。
 
ええと……なんだっけ
そうだ、アイツの話だったな。
 
「そういえば、そんなことをもあったなぁ……」程度に覚えている人が、ほとんどだと思う。
ほんの数年前のことなのに。
あれからショッキングなニュースが次々と出てきたから、記憶の奥の方に押しやってしまう。

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リアルだけど、どこか物語のような文章。一方で経営者を中心としたインタビュー•店舗や商品紹介の記事も生業として書いています。ライター・脚本家としての経験あります。少しでも「いいな」と思ってくださったは、お声がけいただければ幸いです。