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  • ストーリー作法の基本(全8回)

    小説や脚本をある程度以上書ける人でも正確な意味を知らない用語があります。 プロットもその一つ。また、あらゆる教本で言及されながら、なぜ古典なのかろくに説明されることのない、ドラマツルギーの古典アリストテレスの『詩学』。その中で示された「認知」や「逆転」の概念。 これから物語を作ろうという初心者にも、実践が先行して古典の勉強や理論を後回しにしてきたセミプロにも役に立つ連続講座です。

最近の記事

ストーリー作法の基本⑧誰の“視点”から語るのか(“主人公視点”の限界と“複数視点”によるプロット構成の利点)

 この連載の5回目で筆者は、フィクション作品のストーリーを「面白くする」には、「意外な展開」(「どんでん返し」)が含まれるようにプロットを構成することだと書きました。また、予想外の出来事をストーリーに組み込むやり方による意外なプロット展開は、読者や観客を一時的に引き付けることはできても、主人公に共感させたりストーリー全体によって感銘を与えたりはできないと指摘もしました。  これはどういうことでしょうか? 意外な展開の連続で一見面白そうに見えるストーリーであっても、登場人物の

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    • ストーリー作法の基本⑦ストーリーの”練り上げ”とプロットの“熟慮”(ストーリーを「一気に」仕上げることはできない)

       前回は「テーマを決め、それに沿ってストーリーを考える」という方法で、平凡な現代の若者を主人公とする中編小説或いは90分以内の劇映画のストーリーを試作してみました。ありがちで途中から先が読める話だと思われたかもしれません。しかし、そう思われる方は、1980年代くらいまでのハリウッド映画やエンターテイメント小説の代表的な作品を観たり読んだりしてみれば、まさに「ありがちで途中から先読みできる」話が多いことに気づかれるでしょう。  先が読めないストーリーは、受け手に知的な「謎解き」

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      • ストーリー作法の基本⑥”テーマ”を意識する必要性(テーマがなければ長編は作れない)

         この連載の第二回、第三回で、どこにでもいそうな主人公に対して受け手(読者や観客)が共感を抱くようになるための、構成上の技術に触れました。受け手がプロットからストーリーを再構成し、さらにそのストーリーを主人公に対する評価が次第に肯定的になるような「物語内容」として受け止めるよう仕向ける、そんなプロットの構成術です。  しかし、これだけでストーリーを完結できるのは、小説なら原稿用紙20枚か30枚の短編まで、映画なら30分程度の短編まででしょう。最初はこれこれだと思った主人公が、

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        • ストーリー作法の基礎⑤ストーリーと"逆転"(受け手は「意外な展開」には感動しない)

           「共感」や「感動」などという言葉を使うと、若い創作家志望の読者の中には、「ダサい」と思う人がいるかもしれません。そんな方には「では孤高に自分の道を行け」と言うこともできます。しかし、それでは若者をわざわざ破滅に追いやるようなものなので、少し本題を離れますが、筆者が敢えてこれらの「ダサい」言葉を用いる理由を、以下に説明します。  この連載では、いわゆる「純文学」や「作家の映画(アート映画)」特有の「技法」や「スタイル」に惹かれる人々の特殊な需要を度外視しています。かつて、世

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        • ストーリー作法の基本⑧誰の“視点”から語るのか(“主人公視点”の限界と“複数視点”によるプロット構成の利点)

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        • ストーリー作法の基本⑦ストーリーの”練り上げ”とプロットの“熟慮”(ストーリーを「一気に」仕上げることはできない)

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        • ストーリー作法の基本⑥”テーマ”を意識する必要性(テーマがなければ長編は作れない)

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        • ストーリー作法の基礎⑤ストーリーと"逆転"(受け手は「意外な展開」には感動しない)

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        • ストーリー作法の基本(全8回)
          8本
          ¥750

        記事

          ストーリー作法の基礎④プロットと"認知"(主人公は「認知」を経て成長する)

           前回述べたような、受け手(読者、観客)による登場人物に対する評価の変化と彼らへの共感のプロセスは、「認知(recognition)」によって加速されます。  「認知」とは何でしょうか。  これは古代ギリシャの哲学者アリストテレスの著書『詩学』の中で指摘されている、ドラマ作法(ドラマツルギー)の最も重要な要素の一つです。『詩学』で提示された最も有名な概念は「カタルシス」ですが、この概念に関してはここで詳しく述べません。「認知」はカタルシスをもたらすためにも必要な要素であるこ

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          ストーリー作法の基礎④プロットと"認知"(主人公は「認知」を経て成長する)

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          ストーリー作法の基本③”プロット”と”物語内容”(受け手の共感はプロット構成によって喚起され得る)

           小説の読者や映画の観客は普通、平凡なストーリーには感動しません。たとえ自分と似たような境遇の主人公が自分の体験と似たような出来事を経験する話であっても、それがどこかで見たような平凡なものなら、主人公に共感さえしないでしょう。また、自分と似た性格の主人公が自分であれば対応できないような苦難を乗り切る話であっても、それがジャンルの型にはまったものに見えるなら、やはり共感も感動もできないでしょう。前者は現代人の日常生活を描く「家族もの」映画や恋愛小説などで、後者はあらゆる「時代遅

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          ストーリー作法の基本③”プロット”と”物語内容”(受け手の共感はプロット構成によって喚起され得る)

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          ストーリー作法の基本②"物語内容"と”ストーリー”(題材はどこにでも転がっている)

           前回、「プロット」という言葉の意味について少し説明しました。そこで私は、プロットとは「ストーリーの材料を作者の意図に沿うように構成したもの」にすぎないと述べました。プロットとストーリーの違いについて詳しく説明しはじめるとそれだけで一回の講義内容になるので、ここでは前回の説明に少しだけ付け加えます。  日本語の「ストーリー」という言葉は、普通どんな意味で使われているでしょうか。大抵それは、映画や小説で、観客や読者が「深読み」せずに受け止めることのできる、様々な出来事の全体を

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          ストーリー作法の基本②"物語内容"と”ストーリー”(題材はどこにでも転がっている)

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          ストーリー作法の基本①:”プロット主導型”VS”キャラクター主導型”という「錯覚」

           英語圏の映画レヴューや小説作法講座をネットで見ていると、しばしばストーリーの作り方を、プロット主導型(plot-driven)とキャラクター主導型(character-driven)に大別し、両者を対置させていることに気づきます。  ある小説作法講座では、前者の場合「出来事(event)」が、後者の場合はキャラクターつまり登場人物が、それぞれストーリーを展開させる、というように説明されています(以下のリンクを参照)。https://www.masterclass.com/

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          ストーリー作法の基本①:”プロット主導型”VS”キャラクター主導型”という「錯覚」

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          映画の解放、或いはデジタルシネマと動画配信の擁護

          (この記事は9358字あります)  西 周成(映画研究者、芸術学Ph.D)    第二次大戦中には、当時の主要な映画製作国の全てがプロパガンダ映画を製作した。だが、映画が戦争を含む政治プロパガンダに利用される時代は今や遠い昔である。現在、政治プロパガンダに利用される可能性があるのはむしろテレビであって、映画はテレビに比べれば中立性を保つことがはるかに容易である。  映画は既に、大資本の束縛から離れて自主制作できるだけでなく、自主制作した作品を海外での評価を念頭に置きながら

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          短編SF「不死の祭日」(A. ボグダーノフ作、抜粋)

          弊社の翻訳短編集に所収されたアレクサンドル・ボグダーノフ作「不死の祭日」(1914)の冒頭部分。自動音声による朗読です。

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          電子書籍『勝ち誇る愛の歌』抜粋

          アマゾンのKindle本として発売中の短編小説の抜粋。自動音声による朗読です。

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          ロシア古典文学の異端児オドエフスキー

           皆さんはウラジーミル・オドエフスキー(1804~1869)という作家をご存じでしょうか。19世紀前半のロシアを代表する小説家の一人で、西欧文化をロシアに紹介したほか、オカルト思想に傾倒して「ロシアのファウスト」という綽名をつけられたという逸話もあります。  19世紀ロシア文学といえば国民詩人とされるプーシキンや彼の同時代人で夭折したレールモントフ、小説家としてはゴーゴリ、トルストイ、ドストエフスキー、ツルゲーネフ、チェーホフ辺りが有名ですが、このオドエフスキーもなかなか興

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          2つの「ロシア版ホームズ」

           今を去ること一世紀前の1909年、ロマノフ王朝末期のロシア帝国で珍妙な「二次創作」小説が出版されました。題して『シベリアのシャーロック・ホームズ』。既にその名声を世界に轟かせていた大英帝国の名探偵ホームズが、相棒ワトソンと共にお忍びでロシアを旅行中、人里稀なシベリアで悪人どもを相手に冒険を繰り広げるという、奇想天外な物語です。  時は流れ、専門家以外からは顧みられることもなくなった本作品、本邦では弊社から2016年に全訳が出版されております。現在はこちらからオンデマンドでご

          2つの「ロシア版ホームズ」

          弊社の廃盤DVD、配信動画、オンデマンド書籍につきまして

          〇弊社では現在、過去にDVD化した映画作品の一部とオンデマンド販売用の映像コンテンツを以下のサイトにて販売しています。 https://necfru.jp/user/1458 〇弊社の書籍のうち、アマゾンで「現在お取り扱いできません」と表示されている商品の多くは、同一データによるオンデマンド印刷・販売を「製本直送.com」にて行っております。以下のページで取り扱い商品が確認いただけます。 www.alt-arts.com/Altarts books on demand.ht

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          note始めました。弊社の商品情報などを紹介します。 『ロシア幻想短編集』シリーズ、「ロシア版ホームズ」関連書籍、現代ロシア映画関連書籍など。Amazonのオンデマンド本、Kindle版も利用できます。

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