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詩集「喚」掲載作品
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#文章

結論

結論

価値の推定をしよう
己の三等分は身の百に相当する
だが根本的な価値は、私に至ってのみ存在しないものとする。
虚、傍においても屑の方が億にマシ。

生命の過程は主に終末に過ぎず、死期の忽然とした野望を掛けるように奪うのが釈然だ。

難しい話ではない、そうだ、難しい話ではない。

暗がりの野望をほんの一握り抱いたとて、その欲望は所詮霞に過ぎない。

ただ酷い話だよ、全く

蛹のまま死んでいく

蛹のまま死んでいく

昔から変わらないよね
くるまって
変われないんだよずっとさ
くるまって
意味深げな言葉引き摺って、うだうだ怠惰に墨として
くるまって
呑み込むのが仕事と言い張って
くるまって
好きそう、の責任は人の価値観と固定概念をどれほど押し付けた上か、理解して笑ってるんだろうな
カタカタ

伏線なしじゃあ生きられない
命の愚図をめちゃくちゃにしたい
メソメソした言葉しか口に溢れてこない
人の不幸を守りたい

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可愛がる

可愛がる

自分が可愛くって仕方がない
人に情けを擦り付けて
媚びる自分が可哀想でさ
仕方がない

死にたいって
好きなだけ喚いてみればいいさ
人に迷惑かけて、後で落ち込むのが憂鬱の醍醐味で、そんなところも「風流」なんだろ。 悪趣味だなぁ
簡単に迷惑をかけようぜ

夜な夜な突っ立って笑うニヒルがお前の鏡にお似合いだ
それでも仕方がないじゃない
可哀想で可愛いんだから。愛しの子なんだから。
腹を痛めて産んだのだ

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あ、

あ、

は、は、つらい 顔が、浮かぶ
ねぇ、どこまで飛べた?た、
時は、は? かね、かね、金なり
さぁ、さ、されど金に勝るもの、無し
ね、ね、いきて ふざけ、て、いるの?
まし、よ……ね、しんだほうが
なんて、て、ね、言っても
ご冗談だって、えへ、へ……
嘘、嘘 嫌いだって、馬鹿
ば、ばかですねって
金ばかりかかって、へったくれも無い
は、は

わたし、ね、いくら使ったと思うの
いくら、耐えたと思う……

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癒着する波

癒着する波

生きて欲しいのと 微笑んだ
ふざけるなと 激怒した
あの空この空 夢遊に浮き立つ砂の元で道行く人の声を聞かず 人々は埋まっていく

死んで欲しいのと 微笑んだ
是非ともと 喜んだ
あの海この海 どこへゆく 街の彼方に夕日が落ちる 道行く人は指さし笑う 人々の声微睡みに映る

何も言わない 君は何も言わない
私の中の私だけが嫉妬して文句を言い続ける
空と海は繋がっている 切っても切り離せない縁が癒着

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聖夜

聖夜

夜の星よ お前は どうだ こっちへ落ちてはこないのか
お前の姿が 一弾と 今日は煌めき 騒がしい
西洋被れのさざめきが 頭の中で右往左往する
聖夜の寝床に神様は 私を 見守っているのか
愛無くしてあなたが生まれなかったなら 愛は必ず必要でしょうか
自惚れて 踊らされて 交合に光り輝く街並みの様に 次の日にはまるで元通りの夢が覚めるように
矢張り 私 騙されていたのでしょう
きっと どこにも いない

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落ちる鵲

落ちる鵲

吐露の仕方がわからない 闇雲に当たって底知れず
鵲よ お前の声は指揮を上げ 勝ち勝ちと価値価値と
その実 飛んで後を濁さず 責任を取ってはくれやしない
曝露の仕方がわからない 明暗に希望持って無知を知る
鵲よ お前の黒と腹の白さは 人よりずっとマシだろう
その実 落ちて進めど美しい 無常のままを許しておくれ

空の背 向かう 泡沫の波の夜に星少し
心に残る無情さは 己を騙して生きるのみ
正直であれ

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後悔先に立たず

後悔先に立たず

生きていければ良かったのに
正しく攫えば良かったのに

神の子は父になることを許されず
虚像の姿を真似てみせる

それは神などではない
ただの鏡に過ぎない

我々は目眩を微睡みと唄う
我々は後悔を希望と暗示する
真意の意味に気付くのは後の祭りが殆どだ

タラレバタラレバ

消える事が出来たなら惜しい程なのに
消える事が出来たなら全く足りぬのに

言い訳が背中を刺す

罠に繋る脚とおさらばするなら切

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陳腐

陳腐

生きてるって不思議な感じ
生きてるって不思議な感じ

ふわふわして雲の綿あめみたいなのに
ズブズブと泥沼のようにしがみつく

やってみたい事と できることは違う
素敵な洋服と 似合うかどうかは違う

きっと諦めてる だけど諦めたくない
きっと諦めたくない だけど諦めてる

曖昧

死にたいって不思議な感じ
死にたいって不思議な感じ

眠るように救われるように思えるのに
帰って来れない恐怖も同じ

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鋭利

鋭利

端的端的 実に端的
人の生を奪っておいて よくも まぁ
感動か 嬉しいか 泣きたいか 苦しいか
こちらに目を向け口を紡げ
こちらの耳を塞ぎ喚くな

端的だ 実に端的だ
酷い 夜を刻んですり減らし
それでも笑える人が
いかに聖人であったか
或いは言い訳のお得意であるか

端的端的 実に端的
人の振り見て我が振り直せ
我が身は我儘 意地悪

端的だ端的だ
約束夢みて安らかに
気持ちがいいのはお前だけだ

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投身

投身

死してぶらり 息してふらり
現の幽霊船は日が昇る頃に動き出す
ぶらり ゆらり ふわり ふらり

生き心地の術を人に教えてもらうことは無かった
頭の縁からは欲とそれに対する嫌悪と
後悔

拙い足取りは線の上を歩いていく
ぶらり ゆらり ふわり ふらり

頭を首にぶら下げて それでも生きている
心臓が音と、サ、踊って…攻め立てる
疲労

夢に溺れて藻掻く友人
あの姿になりたい、言わばあの子も道化かもし

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春霖

春霖

君が見る陽の目が、蕾の先が私では無いと、それを知ってどれ程恨んだことでしょう。
その射し込む輝光が、花弁の一枚が、いつからこんな酷い思い違いをするようになってしまったのか。
到底私の口からは、君の仕業とは言いませんが…
白鷺が水音を残さぬように、私も清く、飛び立ちたい。
そろそろ春になります。
冬に渡れず、季節を越した私には、幼子たちの開咲の声を聞くことはできるでしょうか。
君の心も、柔らかな温も

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誘夜

誘夜

月が顔を見せる頃になると、胸中の蟠りが忍び足で掴みかかる。
そうして囁き具合の波音が、今度は覆って襲うように寝付きの邪魔をする。
邪険でありながらも私があの黒々しい麗しさを求む訳の一つには、きっと夜空が落ちてきたように、そのまま飲み込んでくれるだろうと期待をしているからである。
そして二つには、矢張り、傷に沁みるような人への容赦の無さと底にある悪戯が簡単には許さないと言っているからで、これは酷い濁

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