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明石わかな | 本
2022年8月27日 18:34
この話は、荷造りの間で交わされる友達どうしのやり取りの中で、心理の微妙な揺れ動きを描いた作品です。ネタバレ含みつつこの『ベル・エポック』について考えてみます。絲山さんは、微妙な友情の心理を描くのがうまい作家さんのひとりで、この本もセリフから細かな心情がうかがえる作品です。主人公の女性とみちかは、東京の英会話スクールで出会い仲良くなった友達どうしで、この小説では、みちかが引っ越すため主人
2022年8月24日 17:08
この本は、大学教師の主人公が、後輩から勧められた変わった料理店に通いながら、物事について深く思考していく小説です。その料理屋はだいぶ変わった店で、場所は行くたびに変わるのと、客はたった一人で訪れる決まりがあり、毎回違う若い女性が食事に相伴します。困惑しつつも女性たちと会話を続ける主人公の小山は、その料理屋をだんだんと気に入っていきます。著者の森さんはミステリー作家として活躍されていた方で、
2022年8月21日 18:01
この本は、7年半の新聞記者生活を経て写真家となった小林さんが、事件があった場所に再度訪れ、写真を撮りながら感じたことを文章に起こした本です。今回は小説ではなく、ノンフィクションの本について、ネタバレ含みつつ感想を書いてみたいと思います。この本では、佐賀市少年バスジャック事件や、JR新大久保駅転落死亡事故など、10件ほどの事件を取り扱っています。事件現場にあとから足を運び撮った写真が、この本
2022年7月27日 17:33
この本は、小学生の男の子たちと老人の交流を通し、生きることと死ぬこと、移り変わっていく事への観察をテーマにした小説です。小学生と老人の交流を中心としながら、ひと夏に起きた出来事が、多くのセリフとエピソードも絡め立体的に展開されていきます。この作品について、ネタバレ含みつつ考えてみます。小学生である三人は、アルコールに依存しがちの母親がいたり、自分たちの他に家族がある父親がいたり、それぞれ家
2022年6月19日 15:44
図書館で遠野遥さんの『改良』を借りて読んだので、感想を描きたいと思います。ネタバレ含みます。https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309028460/容姿を気にする心理や、暴力などのシーンも出てきますが、この小説は差別について描いている小説という印象を受けました。まず、遠野さんの語りの独特な良さがあって、何かというと、あらゆる可能性をいったん考えている
2022年6月22日 17:43
この小説は人間の暗い部分をひきずりだして書いている作品ですね。もともと本屋でたまたま見つけて読んだ中村さんのエッセイ集『自由思考』を読み、その本が面白く、著作も読んでみようと思い、『銃』を読んでみました。この作品は中村さんのデビュー作だそうです。感想というよりは、どういうテクニックを使って小説世界にひきずりこんでいるのかということを、著者のエッセイをもとに、考えてみたいと思います。ネタバレ含み