島木健作『煙』読書感想 古本と生活
この小説は、古本の競りに出かけた青年が、人が持つ生活への執着心に驚きながら、働くことについて考えを深めていく話です。
主人公の青年である耕吉は、古本屋を営む叔父と生活していましたが、自分でお金を稼いでいないことに負い目を感じていました。ただ本は好きで、他の人とは一風違った本の良さが分かることに対し自信がありました。あるとき古本の競り市が開かれることを知り、耕吉が出かけていくシーンから話が始まります。
競りというのは、ある商品を出品者が出し、その商品を買いたい人が落としたい