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認知症グループホームのはなし

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認知症の方への支援の記事をまとめています。
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#介護施設

認知症の方が外に出て行く理由

認知症の方が外に出て行く理由

私が管理者をしているホームは鍵をしていません。
なぜならば家だからです。
防犯の為にはしても良いと思います。
しかし、中にいる人を「出れなくする」為の鍵はしてはいけないと考えています。それは根本の解決にならないからです。
それでは、外に出て行く方に対してどの様に支援すれば良いのでしょうか。
出て行く理由から考えていきたいと思います。

認知症の方が出て行く根本的な理由とは認知症の方が外に出て行こう

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なぜ食べないんだろう

なぜ食べないんだろう

はじめに高齢者介護に携わっていると、食事を食べないご利用者に出会う事があります。特養で介護士をしていた時に、ある出来事がきっかけで「食べない」という事を考えさせられました。そのお話をしようと思います。

なぜ食べないんだろう?森田(仮名)さんは、70歳代の女性の方で左麻痺がある方でした。麻痺側はダラーんとしていて上肢も下肢も全く動かすことはできません。認知症はほぼない状態で意思の疎通はしっかりでき

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家族と写真を共有

家族と写真を共有

LINEのアルバム機能を使って、日常の利用者の様子を家族が見れるようにしています。
やっている事は単純で、

利用者の日常の様子をホームのスマホで撮り、LINEのアルバムにアップロードします。

家族とはLINEのお友達になり、「写真」というグループを作って入ってもらいます。

そのグループでアルバムを作り、家族がいつでも観たり写真をダウンロードできるようにしています。

※入居時に個人情報の利用

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大切なのは日々の生活

大切なのは日々の生活

別府から入居した方の支援の話しです。
入居から30日経過。

別府で独りで暮らしていましたが生活が成り立たなくなり、東京の私の勤めるグループホームに入る事になりました。
しかし、本人にしたら東京に居る理由などないので別府に帰ろうとします。本人が帰ろうと思ったら止める事はできず、外に出たらホームに連れ帰るの事も難しいです。朝に窓から出て行ってしまう事もありました。
その方に対しての支援としては、

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お風呂に入る事よりも大切なこと

お風呂に入る事よりも大切なこと

別府からホームに入居した方の話しの続きです。

別府から来た方は、絶対にお風呂に入りません。
ホームが「居場所」になってきてはいるものの「家」とは思っていないので、
お風呂にお誘いすると
「ありがとう。でも家に温泉があるからね。ゴボゴボッゴボゴボッっち沸いてきよる。今度、うちに入りおいで」
とおっしゃって断ります。
返す言葉がありません。

このような場合、お風呂に入れようもしても無駄だと思います

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そりゃ帰るよね〜 地域支援事業

そりゃ帰るよね〜 地域支援事業

週末だけお泊まりの希望がありました。
土曜日の夕方に来て日曜日の夕方に帰る
と言う内容です。

ホームには4畳位の空き部屋があり、地域で本当に困っている人だけに自費で利用してもらっています。
去年の夏に自宅で脱水の危険がある方に利用してもらう為に作りました。

今回も、在宅で独りで生活している方なのですが、家族が週末の支援が入らない日が心配で利用する事になりました。

先週は本人が「行きたくない」

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生活動作の支援

生活動作の支援

グループホームの支援は認知症に対する支援がメインではあるのですが、生活動作の支援が必要な方もいらっしゃいます。
入居の時点で歩いていた方も年月の経過と共にどうしても生活動作は低下してしまいます。
そこで、認知症グループホームでの生活動作の支援をお伝えしようと思います。

結論から言うと、認知症のケアでも生活動作のケアでも、基本的な考え方は同じで、
出来ないところは助けて、できる事は最大限に使えるよ

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訪問美容師さんに辞めてもらった話し

訪問美容師さんに辞めてもらった話し

ホームに来ていた「訪問美容師」さんに辞めてもらうことにしました。
カットをするホームの利用者に対して、命令口調で指示していたからです。

その美容師さんの資質もあったと思いますが、認知症の方とのコミュニケーションの仕方を知っていれば、起こらなかったのではないか、とも思います。
そこで、事の経緯を説明しながら、認知症の方とのコミュニケーション方法についてお話しします。

美容師さんが利用者さんに命令

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