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日記

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2018年6月の記事一覧

 夏は影が青い。じゃあ冬の影は何色なんだろうか? 鈍色? もう冬のことは忘れてしまった。鈍色だと思うとそうだったような気がする。人間というものは、そうやってなにもかも忘れ、そして都合よく思いだす。この夏の鮮烈な青色も冬になったら忘れてしまうだろう。こんなにもうつくしいのにな。
 このうつくしいという感情しか憶えていないから、だから夏は、夏にいない僕たちにとって特別な季節であり続ける。夏まっただなか

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2018-06-28-12:51

 この暑さ、この湿度、この寝苦しさ、麦茶の香り、扇風機の音……。夏が来たな。冬の間ははやく夏よ来いと思っていた(でも夏が来たら来たではよ冬来いと思うんだろうなと思っていた)けど、やっぱり夏はいつも想像以上に暑い。でも夏か冬かで比べると、僕は夏のほうがいい。指がかじかんで動かなることがないからだ。
 とはいえ、あまりの暑さに気力が奪われてしまったら意味がないのだけど……。
 夏は僕たちの気力を奪って

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『OneShot』一周目クリア

 とりあえず『OneShot』の一周目をクリアした。壊すほうを選択したけど、もし壊さないほうだったらどうなるのか気になっている。ネットで調べたらすぐに出てきそうだったけど、これは選択が重要な作品なので、見るのはよくない。自制する。「作者」の言っていることに従うなら電球を壊すほうを選択するはずだろうと思うが、Oneshot(一度きり)と言っているのは「存在」で、このゲームのタイトルは『OneShot

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語りかけてくるゲーム

 Steamのセールで買った『OneShot』がかなりおもしろい。インタラクティヴなメタフィクション・ゲームだということで宣伝されていたので、絶対おもしろいだろうなと思ったが、やっぱりかなりおもしろい。でもこれがメタフィクションじゃなかったとしても、こういう探索系謎解きゲームは好物なので、おもしろくプレイしただろう。
 ゲームという媒体のすばらしいところは、こちらの世界からあちらの世界のなにかを操

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2018-06-25-15:41

 多和田葉子の『地球にちりばめられて』を読み終えた。今梅雨の晴れ間で蒸し暑いから、作中で穏やかで気候のよいところしか美しいと思えない人間の文明なんてそんなもんだみたいな皮肉が書いてあったことを思いだして、でも蒸し暑いのやっぱりきついわ……ってなってる……。ほんとに暑い。

梅雨の晴れ間

 詩は、名前のついていないものに名づける行為ではない、と僕は言う。ところが、名前のついていないものに名づける行為は、詩としか言いようがない気がする。たとえば、日本には梅雨という感傷的な時期がある。そして梅雨の晴れ間は特別な晴れだ。その晴れには名前がついていない。英語では「長い間日照りが続いた後の最初の雨に伴う独特の香り」にペトリコールという名前がついている。ということは、梅雨の晴れ間に名前がついて

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2018-06-23-20:20

 大学に在籍していたとき教授に、文芸をよりよく読むために、英米では創作を学び、そして創作する、ということが一般的となっている、というようなことを聞いた憶えがある。たしかに小説を書く人間のほうが小説をよりよく読めると思うけど、でも僕はずっと小説を書いてきたので、むしろ小説を書いていない人間として小説を読んだことのほうがすくない。だから実感としてはわからないけど、小説を書かない人間の読みよりも、やはり

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2018-06-22-20:48

 心の窓辺に赤い花を飾り、実際の窓辺では『地球にちりばめられて』を読んでいる。集中して読むことができている。デスクトップパソコンの電源を切っているから微弱な振動音がしない。だから集中できるのかもしれない。
 昨日読み進めたところのページは帯で栞をしていたけど、すこし読み進めるとこの本にはスピンがついていることに気がついた。さすがに長篇だからスピンがあるのはあたりまえか。
 ところで、このしおりに使

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やさしい嘘

 世の中にはやさしい嘘というものが存在する。他人のことを思いやって吐く嘘のことだ。でも、どうしてその嘘をやさしいと判断できるのか、僕にはわからない。だって、その嘘がバレてしまったとき、それはやさしい嘘ではなくなってしまうし、でもそれがやさしい嘘なのかどうかは相手に聞かなくてはわからないからだ。だからやさしい嘘というのは、相手にとってやさしい「だろう」嘘でしかない。それはやっぱり嘘を吐く人間のエゴで

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2018-06-21-23:20

 多和田葉子の『地球にちりばめられて』をようやく読みはじめた。おもしろくなるまで時間がかかりそうな(つまり叮嚀な)小説かと思っていたけど、叮嚀は叮嚀だとしても、開始18頁でめちゃくちゃおもしろい小説だと確信した。そういう長篇小説は珍しい。

2018-06-20-14:32

 スプラトゥーン2のDLCであるオクト・エキスパンションをクリアした。こういう、実験施設からの脱出とかってなんでこんなにエモいんだろうかと思う(Portalとか)。構造的にみると、束縛からの脱出/自由を掴み取る話、ということになると思うんだけど、言葉にしてしまうとなんやら安易すぎてつまらない。でもやっぱり、古くから出エジプト記などの脱出物語はあるので、もしかしたら脱出というのは、人間の根源的な目的

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2018-06-19-22:14

 今日もまた、昨日と同じくらいの時間に、昨日よりはちいさいけど、ちょっと大きい揺れがあって飛び起きた。
 地震がよくある土地に生きていることをどう正当化すればよいだろう? 雪のたくさん積もる土地や、砂漠の真ん中の街、黄砂の降る街。それらに生きるひとたちは、ほかの土地ではなくその土地に生きていることをどう納得しているのか。そこにはどうしようもなさがあるだろうと思う。
 もし文学に役割があるとしたら「

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2018-06-18-17:12

 今日は朝の8時に飛び起きた。すこし大きい地震があったからだ。飛び起きた勢いのまま自室の扉を開いた。完璧な初動だと思っていると、すぐに地震は収まった。しかし遠くではもっと大きく揺れている甚大な被害が出そうな地震のような気がした。そのあとニュースを見た限りでは震度6度弱で、そこまで被害もなかったようだ。
 ニュースやツイッターなんかを見ていると、熊本地震と同じように、これが本震ではなく余震かもしれな

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2018-06-18-0:22

 そういえばRADWIMPSがなんか炎上していて面白い(僕はこのバンドがあんまり好きではないから)。結局のところ表現の世界というのは、知らなかったですまされる世界ではないということがよくわかる騒ぎになっている。
 たとえば、つんぼとかめくらとかかたわという言葉は、現代では滅多に使われることはなくて、なぜかというと「使うな!」って叫ぶ人間がすごい多いからだ。そこに妥当な理由はないけど、そういう奴らに

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