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エッセイ

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似ッ非イは含みますが、日記はお気に入りのものしか含みません。
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記事一覧

空洞日記

 言葉を飲み込むのがうまくなった。と思っていたのに、体調を崩してからまた下手になってしま…

橘 春
11か月前
16

宇宙、あるいは、夜の海

 三日ぶりにシャワーを浴びた。脂でネトネトの皮膚と髪の毛を洗い流し、ついでに鼻の角栓ケア…

橘 春
11か月前
14

ヤンニョム消えないでチキン

 牛丼を食べに行こうという話になって、二十二時半に吉野家へ行った。明るい蛍光灯の下でチー…

橘 春
1年前
20

中学時代の日記を読んだ。あの頃確かに悩んでいたはずなのに、思い出すのは周囲の人たちとの鮮やかな記憶ばかりだった。私は昔から友達に恵まれている。今の苦しみも、時間が経てば眩しい光になるのだろう。卒業以来、はじめて中学時代に戻りたいと思えた。

橘 春
1年前
6

本当を 本当だけを伝え合う関係性の脆さ 逆にね?

 世界のすべての人が幸福に見えます  というと主語が巨大すぎるので、もう少し小さくしてお…

橘 春
1年前
19

行きたい場所や見せたい映画がたくさんある。教えてほしいことも、聞いてほしいことも。それらはまだ過去形ではない。それなのに、関わることが怖くなったのは何故だろう。ずっと繋がりが切れることに怯えていたのに。本当に世界のすべてだったのに。

橘 春
1年前
5

君から人として扱われたいし、君を人として扱いたい

 嘘の夢をよく見る。まぼろしの夢と違うところは、現実味があって、ふと目が覚めたときに(夢だったんだ……)と落ち込むところだ。まぼろしの夢は、途中でこれが夢だと気づく。嘘の夢は起きるまで気づかない。ときどき、いや結構頻繁に、夢か現実かわからなくなって混乱する。スーパーへ買い物に行って友達と会う夢なんてほぼ現実で、「この前スーパーで会ったときさ」と話して、相手の眉尻が下がってようやく気づく。夢だったんだ。それを理解するときの、肌のひとつ下の層が冷えていく感覚が、少し苦手だ。  今

博愛主義者たちの偏愛

 うーん、まあ、でも、自分以外の誰かが自分の言葉を百パーセント正しく理解してくれるのかっ…

橘 春
1年前
23

地獄学生

 ここのところ、私は世界の夜にいる。くらやみ。孤独。小説が、というより文章が、書けない、…

橘 春
1年前
12

いつの日か思い出さなくなる日々のこと

 幼稚園へ通っていた頃、友達がいなかった。おそろしく人見知りで、内向的で、受け身で、足が…

橘 春
1年前
20

君は残機が100だから

 院試が終わった。  数日前、付き合ってもらっていた人と別れた。はじめは殆ど利用するよう…

橘 春
1年前
31

創作談義がしたい

 前回の大阪文フリで、大学の友達と後輩のサークルに、彼らの創作談義を記録したフリーペーパ…

橘 春
1年前
16

無知最高と叫びなさい

 誰かに泣きつきたい夜だけど、できるだけ泣かない方がいいとは思っている。泣いてしまうと、…

橘 春
1年前
24

いつか灰になる

 どれだけ大切に守っていても、この感情はいつか灰になるのだと、なるしかないのだと、なんとなく分かってしまった。それは私の勘違いかもしれない。まあまあの頻度で生まれる根拠のない思い込み。大抵の場合「考えすぎだよ」と言われるし、どうしてあんなに考えすぎていたんだ、と思う。二十一年間ずっとこう。最近は自覚しているだけまだ良くなった方だろうか。それにしても、成長曲線が緩やかすぎる。いやそんなことはどうだっていい。思い込みであってほしい。  改行後はひとマス空ける、という余裕があるか