創作談義がしたい

 前回の大阪文フリで、大学の友達と後輩のサークルに、彼らの創作談義を記録したフリーペーパーが置いてあった。物語について各々が語り合う考え、それが明朝体になっているのが素敵だな、と感じた。彼らの口調が、私の好きな小説の台詞の文体に似ていて、それもいい。
 久々に棚を整理していると、その小さな紙が出てきた。改めて読んでみると、(いや、正直に、知っている人たちの、知らない人向けの文章を読むと照れてしまって、わりと読み飛ばしてしまうのだが)良すぎる。私も創作談義したい。という気持ちが強くなったので、さっそく友人たちに招集をかけた。夜中であるにもかかわらず、今すぐやろう! 吉日! とのことで、はじまった。

登場人物
橘 春(以下、橘)……このnoteを書いている人。根暗。
抱き枕さん(以下、抱き枕)……橘の愛用している抱き枕。橘の感情と睡眠を支えている。
白い壁(以下、壁)……橘の部屋の白い壁。厚いと信じたい。
水瀬(以下、水瀬)……昔から私の脳内にいるうちの一人。暗い。

 創作談義ということですが……みんなは経験ありますか?
抱き枕 いや、ない。
 同じく。
水瀬 ないなぁ。したいと思ったことはあるんだけどね。
 よかった。みんな人生初だ。えー、じゃあ最初に、なんの話をしようかな……
水瀬 こういうのって前置きするもんなのかな?
 え、わかんないわかんない。しなくていいんじゃない? 私は前菜無しでメインディッシュが最初に来ても歓迎するよ。
抱き枕 (頷く)
 表紙無しでいきなり本文でもいいタイプ?
 えー! それはやばい!
 最近の女子大生のやばさの基準、わからんすぎる。
水瀬 じゃあさ、プロットの話からはじめようよ。今の前菜って話で思いついた!
 私ね、大学に入ってから「どんなふうにプロットを書いてるの?」って聞かれたことが何回かあるんだけど、そういう質問されるの嬉しいよね(照)
 わかる。
抱き枕 どんなふうにプロットを書いてるの?
 嬉しい〜! でもね、全然説明できないんです……
水瀬 説明できない?
 そう。なんかね、バイト中に使った計算用紙の余白とか、講義中に配られたレジュメの裏の余白に、まず思いついていることだけを書く。登場人物の要素だったり、作品の流れだったり、タイトル。あとは話の内容に近い自作の短歌とか。全然違うピースを作って、そこからなんとか同じパズルになるように考える。感覚としては、嘘をつく前に(この嘘をつくなら、後でこういうふうに辻褄を合わせれば大丈夫だな……いや、こっちの方が自然かも?)って考えるときに近いかな? っていうのを、番号を振ったり矢印を引っ張ったりしながら紙に書き出していく。
水瀬 おお。手書きなんだ?
 最初は紙に書くことの方が多いかな。パソコンかスマホのメモ帳には、プロットというか、話の構成に番号を振ったものを上から順に書いていって、今日は何番から何番まで進めよう、みたいに計画を立ててる。手書きからパソコンに移行するのは、単純に書くより打つ方が早いからっていうだけ。はじめが手書きなのは、バイトの休憩中に書けるようにしてるだけ。
 いいじゃん。計画立ててるのえらいな。
水瀬 確かに。私は最初からスマホかパソコンのメモ帳に打ち込んでる。なんか、私は結構スマホ触ってるときに思いつくことが多いんだよね。大学帰りの電車内とか、一人で買い物してるときとか。周りにいっぱい人がいるのに、自分は自分だけだ、みたいなときに、自分の世界のことを思いつく。ひとりっていうのは寂しい意味合いじゃなくて、安心する孤独感というか。それで、プロットはある一部分のシチュエーションから全体を膨らませていく書き方? が多いかなあ。橘とちょっと似てるかも。
 膨らませるっていうの、わかる。抱き枕と壁は?
 壁にはないよそういうの。壁は小説書かないもん。ね?
抱き枕 (頷く)
水瀬 すごい偏見だけど、プロット書くってなったら壁は登場人物重視で書いてそう。抱き枕は書くとき困らないようなきっちりしたプロット書いてそう。
 え、なんかわかる。いやでも抱き枕はこう見えて適当で強引なところがあるからな〜。
水瀬 アメリカンじゃん
抱き枕 アメリカン!?
 草

 眠くなってきたので、第一回はここで終わりとさせていただきます。あと手首が痛い。変な姿勢でタイピングしてたから……腱鞘炎もどき?
 イマジナリーフレンドは偉大。楽しかったー!

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