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元・受刑者。 刑務所の日々を綴ってみたい。     1日につき、1日分。

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元・受刑者。 刑務所の日々を綴ってみたい。     1日につき、1日分。

最近の記事

刑務所と、拘置所と、留置場③

第3回目となる本日は、【刑務所】について。 刑務所も法務省管轄 前回、留置場は「警察庁」の施設で、 拘置所は「法務省」の施設とお話しした。 刑務所も「法務省」の施設であり、職員は国家公務員の刑務官だ。 そもそも、法務省ってどういう組織?  前身は司法省  法務省の前身は戦前の司法省である。  裁判所の監督などの司法行政事務を含む広範な法務・司法に関する  事務を司っていた。  その後、法務庁となる  法務庁は性格的には政府の最高法律顧問府として設置された。  新

    • 刑務所と、拘置所と、留置場②

      先日は【留置場】について書いてみた。 今日はその後、移送される【拘置所】について書いていきたい。 拘置所は法務省管轄 留置場は警察署、つまり「警察庁」の施設だ。 働いているのは警察官であり、基本的には施設のある都道府県で 採用された警察職員である。 一方、拘置所は「法務省」の施設になる。 働いているのは刑務官になる。国家公務員の職種の1つである。 組織的にも、内閣府と国家公安委員会に紐づく警察庁と、 内閣の直接紐づく法務省は、全くの別組織だ。 仲が良いのか悪いのか、そ

      • 刑務所と、拘置所と、留置場①

        ここまで、刑務所の生活をメインに書いてきた。 今日は少し趣を変えてみたいと思う。 刑務所と、拘置所と、留置場の違い警察に詳しい方や、よく刑事ドラマを観る方ならご存じかもしれない。 ただ、圧倒的に知らない人の方が多いと思う。 その違いを、私が経験した生活の面でご説明していきたい。 本日は留置場編としてお送りする。 留置場は警察の施設 留置場は、基本的には警察署の中にある。 逮捕されて、即日釈放などされない限り、ここで生活することになる。 建物が古い警察署だと男性しか留め置

        • 休日の過ごし方【PM編】

          午前中は掃除をして、テレビやラジオを見聞きして過ごした。 と、いうことで本日は【PM】をご覧いただきたい。 引き続き、私のいた施設のスケジュールだということをご理解いただいて。 ①11:30 テレビOFF → 昼食  テレビの電源は職員が入れる。  職員によって時間が前後することは前回お伝えした。  しかし、テレビをOFFにするのは「ほぼ」時間通りなのだ。  このあたりが、さすが刑務所!といったところだ。  昼食も配膳係が各居室に配膳していく。  そのため、この時間にな

        刑務所と、拘置所と、留置場③

          休日の過ごし方【AM編】

          刑務作業がある平日は時間が経つのが早い。 「喋れない・脇見できない・動けない」 厳しい条件の刑務作業だが、その分時間はすぐ過ぎる。 一方、休日は特にやることがない。 その辺りを細かく、時間を記しながら話していこうと思う。 ①7:00 起床  起床時間は一斉放送でチャイムが鳴る。  学校で流れたチャイム「キンコンカンコン的」なやつだ。  点検に向けて、布団を畳んだり洗顔したりする。  職員が点検時に整理整頓も確認するので、綺麗に整える。  布団の畳み方、服の畳み方、タオル

          休日の過ごし方【AM編】

          刑務所は0円生活【入浴編】

          お金が一切掛からない刑務所暮らし。 受刑者には、刑務という名の「義務」が生じている。 義務が生じるということは、対義語の「権利」もある。 今日はこの権利の中から、入浴について書いていきたい。 全ては訓令で定められている 受刑者の義務や権利は、すべて訓令で定められている。 そう、つまり国家レベルの話なのだ。 ちなみに、入浴の権利についてはこのような訓令が存在する。 被収容者の入浴の回数及び時間は、 気候、矯正処遇等の内容その他の 事情を考慮して、 刑事施設の長が定める。

          刑務所は0円生活【入浴編】

          刑務所は0円生活【食事編】

          刑務所は生活費が一切掛からない。 衣食住の全てが「0円」なのだ。 出所時に作業報奨金から差し引かれることもない。 後日、税金のような形で請求されることもない。 本日はその中でも、「食」に注目していきたい。 食事の回数 食事は、朝・昼・夕、の3回供与される。 朝食・・・7時頃 昼食・・・12時頃 夕食・・・17時頃 起床時間が6:30で、就寝時間が21:00の生活なので、 世間一般の常識で言えば早いが、妥当な時間なのである。 ①食事の量 これは法務省の訓令で定められてい

          刑務所は0円生活【食事編】

          刑務所は0円生活【官物編】

          今日は、持ち物のあれこれをご説明しよう。 刑務所は一円も持っていなくても生活できる刑務所にはお金がない人がたくさんいる。 私が知っている受刑者でも、何人か「所持金0円」に 限りなく近い人がいた。 それでも刑務所は生活ができる。 それは、施設が必要な物品を支給してくれるからだ。 これを、「私物」に対して「官物(かんぶつ)」と呼ぶ。 1.衣服 これは下着・靴下・パジャマなど、すべて支給される。 支給される衣服を「官衣(かんい)」と呼んでいた。 夏場にはランニング、冬場にはメ

          刑務所は0円生活【官物編】

          居室はどんな感じ?

          さて、受刑者の部屋を想像できるだろうか? 【受刑者・部屋・日本】と、 検索していただければ結構な件数がヒットする。 ただ、アメリカの刑務所画像も出て来てしまう。 分かりやすい見分け方は、『畳』である。 ただ、画像だけでは分からないことも多いので、 今日は居室について詳しく説明したい。 【雑居房】 これは、1部屋に複数人の受刑者が生活するタイプの部屋。 通称「雑居」。私が収容されていた施設は、 この雑居に収容されるのが原則の施設だった。 では、詳しく見てみよう。 1,収

          居室はどんな感じ?

          平日の過ごし方【PM編】

          今日は、「平日・午後以降」の過ごし方のご紹介。 12:30 午後の作業開始       午前中と同様、黙々と作業に取り組む。       基本的に行う作業は固定なので、ただひたすらに       与えられた刑務作業を行う。       誰とも話さず、脇見もせず。       午後は入浴があると早めに作業が終わる。       入浴のない日は16:00頃まで作業をする。       休憩(5分)       夏場は熱中症対策で、冷たいお茶(冷茶)が支給される。       

          平日の過ごし方【PM編】

          平日の過ごし方【AM編】

          刑務所の1日をご紹介しよう。 ただ、あくまでも私の収容された刑務所の1日だ。 施設によって多少の違いがあるのはご了承願いたい。 まずは「平日・午前中」の過ごし方。 6:30  起床       10分以内に身支度を整える       布団は決められたとおりに畳む       パジャマから官衣(室内着)に着替える 等         ↓       点検       これが刑務所あるある。       居室は外側から鍵が掛かっており、常人は脱走などしない。       しか

          平日の過ごし方【AM編】

          元受刑者の日々

          刑務所って、どんな環境か知っていますか? 知らなくてもいい場所。 知っていても得をしない場所。 知っていたら疑われる場所。 一般の方には馴染みのない、別世界です。 しかし、令和3年3月末現在で、 4万4,545人もの人々が、 日本全国の刑務所で生活しているのです。 (参考文献:令和4年版 犯罪白書) これは、下記市区町村と同レベルです。 ・神奈川県 南足柄市:44,452人 ・茨城県  下妻市 :45,541人 ・愛知県  高浜市 :45,990人 ・三重県  いなべ

          元受刑者の日々

          自由は、当たり前ではない

          朝、スマホから響くアラーム。 これでスヌーズは3回目か、4回目か。 とりあえず身体を伸ばしてみる。 昨日の夜は蒸し暑かった。 夜中に思わず、牛乳を飲んだ。 今日は何をするんだっけ? クリーニング出しに行って、買い出しするんだっけ。 でも今日は雨なんだっけ? 急がなくてもいいから、今日はゴロゴロしようかな。 3年振りに帰ってきた社会。 塀の中の人は「娑婆」と呼ぶ社会。 元々、梵語のsahaから来ている言葉。 煩悩や苦しみの多いこの世、という意味。 そんなこの世に戻ることを

          自由は、当たり前ではない